短編1
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レンタンカー

大学生のA君は去年の夏休み、海水浴場の案内係のバイトをしていた。

そのバイト先で起きた奇妙な出来事。

A君は客の人数を見間違えることが度々あった。

駐車場に入ってくるときは、見た感じ4人連れに見えるのにいざ車に近寄ると乗っているのは2人組みだったり‥

まぁ暑さで参っているのだろうとあまり気にとめてはいなかった。

いよいよ夏休みも終わりに近づき、バイトの最終日。

一緒に案内係をしていたおじさんが「兄ちゃん、お疲れ」とジュースを差し出す。

もらったジュースを飲みながら談笑していると、おじさんが妙なことを話し始めた。

「兄ちゃんさ、よく客の人数間違えてたろ。あれには理由があるのさ」

「理由‥ですか?」

「ああ。兄ちゃんが人数間違える車はレンタカーが多くなかったかい?」

「あ‥そういえば‥でもどうしてですか?」

「レンタンってあるだろ?」

「レンタンて‥あの練炭ですか?」

「そう。練炭自殺とかに使った車ってなかなか買い手がつかないじゃない。それをレンタカー業者が安く買い取って普通に貸し出してる場合もあるらしいよ。だから何人も人が乗ってるように見えるの」

「え‥‥」

「なんてな。兄ちゃん、来年もまたバイトしに来いよ」

そう言っておじさんはA君に笑いかけた。

今年、A君は別のバイトを探すそうだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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