短編2
  • 表示切替
  • 使い方

お父さん…

『テレビ』を投稿させて頂いた者です。

今回はうちの若社長から聞いた話です。

若社長が参加した、酒の席で同業の友人が話していたそうです。

仮にAさんとしておきます。

一年程まえから、お付き合いのあるお客様宅での出来事だそうです。

元々、家電量販店で購入していたそうなのですが、ご主人が亡くなり、奥さんと娘さんだけになり、電球交換等が大変なので、ちょくちょく注文が、来るようになったそうです。

ただ、気になることがあり、奥さんがことある事に

「お父さん」 「お父さんに聞かなきゃ」

など 言われるそうです。

Aさんは、ご主人が亡くなったショックで、精神的に参っているんだなくらいに思って、話をあわせていたそうです。

ある日、奥さんから

「お父さんが、テレビ買い替えようかと言ってるから、カタログ持ってきてね。」

と電話があり、早速お伺いしたそうです。

お客様宅にお伺いして、奥さんと娘さんと話をして、ある程度決まったそうですが、奥さんが

「お父さんにこれでいいか? 聞いてくるね。」

と寝室にカタログ持って行ってしまい、娘さんは苦笑いしてたそうです。

暫くすると、奥さんが戻って来て

「お父さんは、せっかくだから、もうひとつ大きいのが、いいって言ってるのよ。」

と、娘さんも困った顔しながら

「それで、お願いします。」

と決めて頂いたそうです。

配達の日は、翌日から親戚が法事で来て、翌々日の午前中で帰るので、午後からとなったそうです。

配達の日に、お伺いすると、奥さんが1人でいらっしゃって、娘さんは親戚の方を見送りに行っているとの事でした。

Aさんは作業に取り掛かり、テレビを置いた所で、視線を感じたそうです。

あたりを見回すと隣の部屋との境の引き戸が、10センチ程開いていて、片目だけが覗いていたそうです。

Aさんは親戚の方が、まだいらっしゃったのかなと思い

「こんにちは、お世話になっております。」

と、愛想よく挨拶したそうですが

奥さんが

「駄目じゃない、お父さん寝てなきゃ」

と、その人を、違う扉から隣の部屋に入り、奥に連れて行ったそうです。

Aさんはポカーンとしてましたが、『親戚の方が付き合ってあげてるのかな? 大変だなー』と思い、気にしなかったそうです。

が、

暫くすると、娘さんが帰ってきて、

「お母さん、おじさんたち、みんな送ってきたよ」

Aさんは、『じゃあ、さっき覗いていたのは誰だ?』と思い、背筋が寒くなって行ったそうです。

その後も、相変わらず、奥さんは「お父さん」といい、 娘さんは苦笑いしてるそうです。

Aさんは酒の席で

「覗いてたのは、やっぱりお父さんだったのかな? まだあの家にいるんだろうな」

と行っていたそうです。

文才なくて、怖さ伝わりにくいですが、 若社長の話し方では、かなりゾクッとしました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ