短編2
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国語の時間

女性教師「は〜い。それでは生徒のみなさん、本を読む手を休めてくださ〜い

今、みなさんに読んでいただいた『バウムテスト』。どんな感想を持ちましたかぁ?」

男子生徒「心霊は出てこないけど、背筋がゾクゾクしました」

女生徒「最後の一行に恐怖だけでなく、とっても深いものを感じました」

不良A「こんなもん。ただの作り話だろ!しかも、途中で文体が変わってるのもワケわからんし!」

女性教師「お!A君、さすが!よいところに気が付きましたねぇ〜

実はこれにはちゃんとした訳があるのですが、分かった人はいますかぁ?

単純な国語の問題なので、文章の流れをつかめばわかると思うのですが…」

優等生「はい!前半は主人公が読者に対して語り書けるように説明しているのでデスマス調、後半は主人公自身の内面を表現しているので淡々とした文面にしているのではないでしょうか?」

女性教師「正解で〜す。よくわかりましたねぇ〜」

生徒たち「おぉ〜!さすが優等生〜」

不良A「ケッ!だからなんだよ!どうせこんなくだらねぇ話読んだところで意味ねぇし!」

このクラスを受け持ったばかりの新米教師の私は、どうやってクラスのみんなをまとめていこうか、ずっと悩んでいた。

そして、この国語の授業を通して決断した。ターゲットはAだ。

彼にはクラスの団結のために犠牲になってもらう。彼を徹底的に「悪」とみなすことで、ほかのみんなの団結が強まる。私はそう確信している。

それによってAがどうにかなったところで、私にはどうでもいいことだ。また新しいターゲットをみつければいいだけのこと…

私のやり方は間違っているのだろうか。いや、たとえ間違っていたとしても、誰も私を責めることはできない。

なぜなら、世界一の大国でさえ、国民の人気取りのために、あえて敵対国を作り出し、無意味な戦争と殺戮を繰り返しているのだから。

人間ひとりひとりに当てはめても同じだ。みんな表面はいい人ぶっておきながら、常に誰かを見下し、蹂躪しているではないか。それが例え無意識であったとしてもだ!

それがこの世界の掟なのだ!

Aよ。お前にはこれから長く苦しい中学校生活が待っている。

その結果、お前は私を憎むだろう。しかし、それは違う!本当に憎むべきは、この世界そのものなのだ!

怖い話投稿:ホラーテラー 「目」作者さん  

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