中編3
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出場日誌

私はある町で救急隊員をやってます。仕事柄、人の死に接する機会が多く、その中で経験した少し怖かった出来事を投稿させていただきます。特に霊とか出て来ませんがよろしかったら感想などお願いします。

救急隊は通常3名で1隊を編成しています。

その日は救急隊員の資格を取得したばかりの若い隊員を現場の経験を積ませるため同乗させていたので4名で出場していました。

夜になって女性が電車に飛び込んだ列車事故があり、私の小隊に出場指令がかかりました。私の今までの経験上、電車に飛び込んで助かった人はいません。体幹が切断されていれば社会死状態ということで病院に搬送する事は無いのですが、そうでない場合は処置を実施しながら病院に搬送しなければなりません。そうなった場合は救急車内から資機材から血塗れで、ひどい時はそれに脳漿や各排泄物が仲間入りです。その後の清掃やら消毒やらを考えると気持ちはいささか萎えるばかりです。

現場に到着し、資機材を持って駅のホームから軌道敷を歩いていると、先着していた顔見知りのレスキュー隊員が現場の方から歩いて来て私に話しかけてきました。

レ 「よう○ちゃん(私です)、頭すっ飛んでたぜ。搬送しなくていいんじゃない?」

私 「そうなんだ。でも確認しなきゃいけないから行くわ。」

隊長と私と見習隊員の三人は現場に到着すると、遺体にはブルーシートがかけられていました。活動報告書を作成する関係上、遺体の状態を確認しないといけません。隊長がシートをめくりました。その遺体はうつぶせの状態で、頭部が無りませんでした。おそらくは走行する電車に接触した瞬間に頭部が飛ばされたのでしょう、出血はあまり見られませんでした。

隊長 「社会死だからひきあげるぞ。」

私 「頭部も確認しますか?」

この時私は、見習いの新人を少しビビらせて、救急活動の特殊性を視覚的に理解させてやろうという教育的配慮を隊長に意見具申をしました。

隊長はほどほどにな、といった感じでニヤリとすると資機材の撤収をはじめたので、私は見習いを促して、更に数十メートル先まで歩きました。 そこにも既にレスキュー隊によりブルーシートがかけられていました。 私には霊感といえるようなものは無いのですが、それでも感じられる程の、実に嫌な、重い空気が澱んでいました。シートの端からは長い髪の毛の束がはみ出ていて、私にはそれが怨念の塊のように思えました。それでも私は頭部を見習いに見せようとシートをめくろうとしたのですが、その時、いきなり頭の中に

「絶対に見ちゃだめだ」 という声が響き、瞬間的にシートに伸ばした手を引っ込め、先輩の威厳をもかなぐり捨てて頭部を覆ったブルーシートから後ずさりました。

私は現場から救急車に戻りながら(隊長は報告のため先に戻った)、多分あのシートをめくっていたら祟られたのだろうな、と考えていたら、私の横を歩いていた見習いが

「○先輩、シートめくらなくて正解でしたよ。ヤバかったですよ、あれ。」

私 「…」

わかっていたなら先に言ってくれよ、 しかし、あの頭の中に響いた声は誰だったのだろうか?

消防署に戻り念入りに塩ふった事は言うまでもなくありません。長々と駄文にお付き合いしてくださり有り難う御座いました。

怖い話投稿:ホラーテラー マッチョ専用さん  

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