短編2
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りょうくん

不幸な事故だった。

隣人が車にひかれ、死んでしまった。彼とは小さい頃良く二人で遊んだものだった。

同い年の私のことを「りょうくん」と呼んで、いつでもどこでも付いてきた。

彼は良くいじめられていたから、私はいつも彼を守ってやった。

中学に入り、私は私立の中学に進むことになった。

彼は、「りょうくんは頭がいいから、良い中学でもきっとやっていける。でも僕はダメだ。りょうくんが居なくなったらまたいじめられるよ。」と、良く私に言っていた。

私は、「大丈夫だよ、なんかスポーツでも始めて体を鍛えればあいつらもいじめをやめるさ。」

中学に入り、私は寮で生活することになった。

家に帰るたびに彼は私に話をした。

「りょうくん、俺野球部に入ったんだ。最近は全然いじめられなくなったよ。」

「りょうくん、高校どこに行くの?俺も同じ高校に行きたいなぁ。」

「りょうくん、次はいつ帰ってくるの?」

彼は中学に入り、一人称を俺と改め、野球部に入り、見た目にもどんどん変わっていった。

しかし、私に付き纏うのは全然変わらなかった。私は心底うんざりして、とうとう言ってはいけないことを言ってしまった。

「もう、俺に話しかけんな。煩わしいんだよ。」

彼はこの世の終わりを見たような顔をして、家に帰った。

ここのところ成績が下がり、イライラして八つ当たりしたのだった。彼を深く傷つけたと思った。私はひどく後悔した。

それから私は彼を避けるようになった。

できるだけ寮から家に帰らないようにした。

彼に謝りたかったが、勇気が出なかった。

中学を卒業した春休みのことだった。母親からの電話で、彼の死を知った。

今から通夜に行かなければならない。

慣れないネクタイに悪戦苦闘していると、どこからか声が聞こえた。

「りょうくん、なんであんなこといったの?」

私は鏡を見つめた。後ろに彼が立っていた。恨めしそうな顔だった。私は

「ごめん、ずっと謝りたかったんだ。ごめん。」

と言った。彼は不気味に笑った。

私は高校に入った。彼はいつも後ろに付いてくる。だが、もう二度とあんな言葉は言わないだろう。

私は死ぬまで、彼と一緒に過ごさなければいけないのだから。

怖い話投稿:ホラーテラー しろくろさん  

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