短編2
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タマ

ペットの猫「タマ」が最近異常な程食欲旺盛になってきているので、飼い主のAは心配していた。

食事を特別な餌に変えたわけでもないのに、突然よく食べるようになったのだ。

昔から太っていたタマだったが、この事でさらに体重が増した。

心配になったAはタマを連れて動物病院に行った。

先生「食欲の増加の原因は不明です。しかし太ったのは間違いなく食べ過ぎのせいです。できれば食欲を抑える為の薬を出したいのですが、原因がわからないので今は出す事はできません。暫く様子を見て、何かあればまた来て頂けますか」

A「はい」

不安を抱えたまま自宅に帰ってきた。

A「タマ。ごめんな。原因がわからないから、今はお前を治してやる事ができないんだ」

タマ「ゴンゴン」

A「ん?」

変な鳴き方をしたタマだったが、Aは「大丈夫だろう」と思い、気にしなかった。

タマに少しだけ餌をあげて、Aはベッドで眠った。

翌朝、目を覚ましたAは悲鳴をあげた。

なんとタマが昨日の何十倍にも巨大化していたのだ。

タマが突然暴れ始めたのでAは止めに入った。

しかしタマはそんなAを後ろ足で蹴飛ばし、吹っ飛ばした。

A「う…タマ…」

タマはAよりも身体が5倍くらい大きくなっていた。

タマ「ゴンゴン ゴンゴン」

A「ゴンゴン?」

A「タマ!ゴンゴンてなんだ?」

タマが答える筈もない。その前に猫なので喋る事はできない。

そしてタマ突然走り出し、ある扉を開けた。

タンスだった。

タマはタンスの中にあった何かを取り出した。

それは「タンスにゴンゴン」だった。

タマはそれを口に入れようとした。

A「タマー!そんなの食ったら死んでしまうぞ!いいのか!!」

タマがAの方を見て鳴いた。

タマ「ゴン」

これがタマの「うん」という返事なのかは分からないが、Aはタマを止めにかかった。

しかし遅かった。

タマはタンスにゴンゴンを飲み込んだ。

A「あ…あ」

しかし次の瞬間!

タマが小さくなり始めた。

A「は…」

タマはみるみる小さくなり、ついに元の大きさまで戻った。

Aは状況を理解できなかった。

しかしAは思った。

A「もしかするとタンスにゴンゴンこそ、タマの特効薬だったのかも知れない。だからタマは(ゴンゴン)と鳴いていたのかも知れない。特効薬だと知っていての事か、私に特効薬だと知らせる為か。どちらでもいい。タマは元に戻った」

それからというもの。タマはタンスにゴンゴンしか食べなくなったという。

今ではタマはAと元気に暮らしている。

餌はもちろんタンスにゴンゴンである。

怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん  

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