中編5
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幻視鏡

その日Wは、先生に言われて体育倉庫の整理をしていた。

「何で俺なんだよ....」

Wはその日、同じクラスの友人達と近くのゲームセンターへ遊びに行く予定だった。

(美人先生に頼まれたから、ついついOKしちゃったけど、やっぱ断っとくべきだったな.....)

後悔先に立たず。Wはため息をつきながら、体育倉庫の整理を続けた。

体育倉庫の中は埃っぽく、じめじめしていて、ずっと居ると気分が悪くなりそうだった。

「これは処分、これは.....処分でいっか。さっさと終わらせてこんな所早くでよう。」

Wは一所懸命に体育倉庫の整理を続けた。

「これで最後か......」

Wはぼろぼろになったスコアボードを、処分する物の場所へ運んだ。

「やっと終わったー!俺超頑張ったな、後は先生に報告にしてさっさとかえ............あれ?」

体育倉庫の中の物を全て整理し終えたはずが、倉庫の隅の方に何かが置いてある。

「何だ?............あれ?」

それは一瞬サーフボードに見えた。

「かが...み?」

それは、大人の背丈ほどある、大きな木の枠の鏡だった。

「こんなのあったか?...........」

気づかなかっただけか?とWは思ったが、こんな大きな鏡気づかないわけなかった。それに、体育用具が所狭しとあったこの倉庫の中で、自分の身の丈より大きいこの鏡を置いておけるスペースなんてなかった。

「なんで鏡が体育倉庫の中にあるんだ?というか、これ、いつからあった?」

Wが色々と考えていると、

「おーい、Wくーん。いるものといらない物わけてくれたー?」

Wに倉庫の整理を頼んだ美人先生が、Wのことを呼んだ。

「あ、先生ー何か変な鏡があるんですけどー」

「鏡ー?」

美人先生が倉庫の中にやってきた。

「W君、鏡って何の事?」

「これです、先生...えっ?」

さっきまであった鏡は、いつの間にか跡形も無く消えていた。

「?何言ってるの、鏡なんて何処にもないじゃない。」

「あれ?さっきまでここにあったんですけど.........」

「まあ、いいわ。とにかく体育倉庫の整理してくれてありがとう。もう帰っていいわよ。」

「あっ、はい.......」

とりあえずWは先生にあいさつし、体育倉庫をあとにした。

外の空気は清清しく、気持ちがよかった。が、Wの気持ちには、大きなモヤが残っていた。

(確かに鏡はあったはず、突然鏡は消えてなくなった。...........一体なんだったんだ。)

Wはなけなしの頭脳をフル回転させたが、結局何も分からなかった。

(これ以上考えても意味無いな。)

Wは考えるのやめ、いつもどうり家に帰った。

(これってもしかして、つけられてる?)

その日、Wは一日中ずっと誰かの視線を感じていた。

気のせいだと思っていたが、今、おそらくその視線の主が、Wの後をつけてきている。

(ストーカー!?俺のファン!?なわけねぇよなー)

Wがそんなくだらない事を考えてる間にも、誰かがずっとつけてきている。

Wが歩いているペースとまったく一緒のペースで歩いている。Wが止まればそいつも止まる。

だが、Wの家がだんだん近づいてくると、そいつの気配もだんだん離れていき、Wが家にたどり着くと、その気配は完全に消えた。

(たまたま方向が一緒だっただけか?........)

気持ち悪りぃ。最初はそんなふうにしか思わなかった。

だが、その日から毎日そいつはWの後をつけてきた。

あくる日もあくる日もそいつはWに視線を浴びせ、後をつけてきた。

ただひとつだけ、最初と違うことがあった。

だんだんだんだん、そいつが近づいてくる。

(これは、本当に、ス、ストーカーだ!)

Wは、いよいよやばい、と思い、母親に相談してみた。

「.........で、毎日誰かが後をつけてくるんだよ。」

「うーん........あんた、誰かの恨みでもかうような事したんじゃないの?」

「えー!んー.......俺そんな悪い事したかな?」

「あんた、そいつの姿見たの?」

「えっ!いや...恐くて.....」

「それなら、まだストーカーって決まった訳じゃないでしょ。もしかしたら、あんたの事好きな人かも」

「それならいいけど.........」

Wは次の日、そいつの姿を確かめる事にした。

下校途中、いつものようにそいつはついてきた。

最初の日よりも、かなりそいつが近づいているのが分かる。

(この距離なら、振り返ればすぐ誰だか分かるぞ.........後は、勇気だけ。勇気だけ。)

Wはそう自分に言い聞かせた。

だけど、もし、本当にストーカーだったら........嫌な想像が頭をよぎる。

(根性をだせ!!俺!!よしっ!振り返るぞ!)

「誰だ!!ずっと俺のことつけてくるの!!」

Wは、怒鳴りながらふりかえった。

「うっうわーーー!!!」

Wは悲鳴を上げた。

そこにいたのは、全身真っ黒の人。いや、人かどうかも分からない。それはまるで、人のシルエットをそのまま切り取ったように、厚みというものが感じられなかった。顔にある目と口だけは、はっきり見える。

「な、なんだよこれ..........」

Wは逃げようとしたが、足がすくんで全く動けなかった。

汗が一気に噴出してきた。体が小刻みに震えている。

「...........見たね。」

「....えっ?」

「見たね、見たね見たね見たね見たね見たね見たね見たね.........」

そいつはにやにや笑い、目ををきょろきょろと動かしながら、そう繰り返した。

「うわーーー!!!」

そこでようやく足がいう事を聞くようになり、Wは家に向かって、一目散に走り出した。

(なっ何だよあれ、人じゃねぇ!!)

Wは走りながら後ろを振り返った。

そいつはにやにや笑いながら、歩いてついてきていた。

(振り返るんじゃなかった!)

Wはやっとの思いで家にたどり着いた。

「お母さん!!!」

「あら、お帰り。あんた、ちゃんと見てきた...........」

「見たよ!!!やばい!!」

「えっ!まさか本当に不審者だったの?ストーカーだったの!?」

「違う!もっとやばい奴!!」

Wは見たまんまのそいつの姿を母親に話した。

すみません。時間が無いので続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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