短編2
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恨まれた友人 その4、

悪人にはならない 優しすぎたから

悪人にはなれない 真っ直ぐ生きて来たから

悪人にはできない 僕の友達だったから

それでも幸せにはなれない 既に過去の人だから

Aは薄暗い部屋に明かりを点けた。この広い和室は昼は園児の遊技室として使用している。親父に散々絞られた挙げ句この部屋を貸してもらった。

ハンチングは相変わらず睨んでる 厳密にはもうハンチングってキャラじゃない だって、ここに着いてからずっと小脇に抱えてるし

マジンガZにいたよね こんなキャラ 頭を小脇に抱えた軍人みたいな敵

今回は確かに俺が悪い たぶんあの頭は元の場所には戻らない もう、そのハンチングは被れない。だって彼がそう認識しちゃったから。

A兄いわく「一番気に入ってたイメージだろな。特にあのハンチング帽なんかお気に入りとかだろ?生前のトレードマークかもな。気の毒に」

死人にオシャレもへったくれも無いだろう?どうせ見えないんだし…あ、こっち見た めっちゃ怒ってる うん、ゴメン

親父も親父だ どさくさ紛れに俺にも家業を継がせようとしている 中途半端だからこうなるだとか

目的無く家業継がないのは納得出来ないとか オレのターンとばかりに責め立てられた

そもそも実家に戻って来てからも納得出来ない 憑払い中に何やら三人(親父・A兄・B)でゴソゴソ話してるかと思えば

「やっぱ俺らはやらない事にしたから自分で払え」ときたもんだ 俺には無理って知ってるよね?ゴスハラですか?

A兄は俺君に会いに行くと言ったままもう一時間は経つ きっとタバコだ。相変わらず抜目ない

Bさんは金魚に餌をやりに行ったまま戻らない …使えねえ

とにかく、徐霊するにもハンチングの怒りが収まらなきゃ始まらない なにぶん霊の思考は人とは違う。

シンプル過ぎて漫画みたいな説得は不可 あのまま怒ったブロッケン公爵みたいなキャラで霊が定着したら不憫だよな~

?!凄い事思い出した!

胸の中のモヤモヤがひとつ晴れた「さっきのキャラ、ブロッケン公爵だわ」

夜八時。今日は徐霊は諦めて部屋を出る事にする 戸締まり確認し廊下から鍵を閉める。突き当たりの管理人室に鍵を返しに廊下を端まで歩く。

ギシギシギシ…パシッ はい、来ましたラップ音 おいおいハンチング~(´Д`)カワイイヨ

そう思って振り向くと ハンチング、全然後ろの方にいるし めっさ距離取ってる

廊下が異様に暗い あ~多分コレ、ヤバイわ

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー なみすけさん  

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