中編3
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生きておくれ

テティです。

前作と似たような雰囲気です。

前作に続き私のお話は

『ホラー』とは

言いにくいかもしれません。

興味のない方は、

スルーしてください。

―――――――――――

『うわああああぁ!!』

わしは絶叫した。

凄まじい勢いで走るトラックが、

スピードを落とさないまま

こちらを目掛けて走ってくる。

しかし、

目の前の少女は

本に夢中で気付いていない!

危ないぃっ!!

わしは無我夢中で、

少女の服の襟をつかんで、

そのまま横に大きく跳んだ!

『きゃあ…』

少女はよろめいて倒れ込む。

その瞬間。

ゴオォォッ!

トラックが少女のすぐ横を

通り抜けていった。

まさに、間一髪…。

『お嬢ちゃん、大丈夫かい!?』

それを目撃した通行人が

慌てて駆け寄ってくる。

『ハァハァ…、はい。

バランスを崩して…。』

『危なかったなぁ!

偶然お嬢ちゃんがそこで

つまずいてよかった。』

―――――――――――

燃え盛る家。

酷い火事が起きた!

『こっちだ、こっち!

出口はこっちだっ!!』

わしは声を大にして叫ぶが、

少女は煙にまかれて、

咳き込みながらうずくまった。

ああ、まずい。

あああ、まずい。

そうだ!

わしはとっさに、

玄関の時計を、

炎の中へと放り込んだ。

パッポー!パッポー!

壊れた鳩時計が

時刻に関係なく音を出した。

はっとした少女は、

その音の方向へ向かった。

あの時計は、

玄関に飾ってあったはず、と。

音を頼りに少女が外に出ると、

『大丈夫かい、お嬢ちゃん!』

消防車が来るより先に集まった

野次馬の一人が慌てて駆け寄った。

『よかった!

中は黒い煙でいっぱいだった。

よく無事に出てこられたね!』

『玄関の鳩時計が焼けて、

玄関の場所を知らせてくれて…。』

『それはすごい…。

偶然時計が壊れてよかった。』

―――――――――――

ある時、

少女は酷く夢にうなされていた。

『うぅ、うぅーん…』

困った…、

夢まではさすがに

どうすることもできん。

その時、少女が呟く。

『おじいちゃん…、

どうして、どうして

死んじゃったの?』

そう言って、

涙を流していた。

わしはそっと、

少女の髪を撫でた。

そして、

聞こえるはずもないが、

何時ぶりかの子守唄を

ゆっくり歌った。

『悲しい思いさせて、

ごめんなぁ。』

―――――――――――

次の日、

少女は夢のことなど

忘れてしまったのか、

『おはよう、お母さん。』

寝ぼけた声で起床。

なんだ、案外、

平気そうだな…。

『あんた昨日の晩、

うなされてたみたいだけど、

大丈夫だったの?』

母親が少し心配そうに

少女に尋ねたが、

『うん、平気。』

そう、きっぱり言った。

それならそれでいいが…

虚しい気分にもなったその時、

『途中から、

いい夢に変わったの。

私がまだ小さい頃の夢…。』

少女は微笑みながら言った。

母親も、

そう、と言って、

くすりと笑った。

わしも、思わず微笑んだ。

そして改めて、

また決意するのだ。

じいちゃん、

これからもお前を

護ったるからな。

怖い話投稿:ホラーテラー テティさん  

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