中編6
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家系

島根の田舎の話です。田舎の中の田舎って事ですね。

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山間で鮎も採れる母の実家。

小学生になったばかりの自分は夏休みにそこに来た。

虫も沢山いたし、川とか綺麗で流れの浅い、緩やかな水辺で時間を過ごしたりした。

一番のお気に入りの場所は神社に流れ込む小さな小川があって、その畔に雨宿り出来そうな小さな祠がある広場。

ばあちゃんが手入れして、たまにお供え物を持って行かされたりしてた。

夏休みの間事情があってずっとこの田舎にいたんだ。

で、二週間位して、近所の友達も少ない事もあって、ある日凄い退屈になった。

で、思いついたのが山探検。

1人ピクニック。普通なら怒られるって今なら思うけどばあちゃんは笑顔で送ってくれた。

「いってらっしゃい。

なんか困ったらこの袋開けなさいね。東の山だけは行ったらダメだから、西のお山にしときなさい。

暗くなるまでに帰るんだよ」

そう言って、小さなリュックに弁当、水筒と謎のババ臭いような古くさいちょっと大きめの袋を持たされた。

朝出発して、昼には西の山のてっぺんに着いた。

じいちゃんがたまに手入れしてる山らしいからあまり苦労もせずに子供の足でも着いた。

まあじいちゃんの持ち山だって後で分かったからピクニック許されたんだと後で分かったけど。

頂上付近に開けた場所があって、粗末な山小屋みたいなもんがあった。

丁度いい時間だからそこでばあちゃんの弁当を食べた。

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食べおわって何しようか思案していると目の前に犬が現れたんだ。 

出現した訳じゃなく、テクテク向こうから歩いて来ただけだけどね。

それで嬉しくなって近づいたら、それはそれは立派尻尾をブルンブルンと寄り添って来た。

撫でてあげたりして凄い可愛くなって時間を忘れて犬と遊んだ。

ふと気付いたら雲が出てきていて、10分もすると雨が降って来た。

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ちょっと心細くなって、さらにうんこしたくなったので、野ぐそを木陰で済ませた。

小屋に戻るとさっきまで懐いていた犬がいない。

しばらく辺りを散策しながら探したけど見当たらない。

つまんなくなって帰る事にした。

来た道を下っているとある不安が訪れる。

一本道に近いはずの道だったのに迷ったかもしれない。

でもそんな高い山でもないから楽観視してた。

山ってのは暗くなり始めると早いんだよね。

暗くなりつつある山って怖いんだよ、凄く。

田舎に来てから近所のガキんちょ同士で何度も山で暗くなりかけまでは遊んだはずなのに、1人ぼっちは怖い。

「1人ぼっち」って言葉が頭から離れなくなった。

七歳程度のガキんちょで「怖い」っていう感覚や「不気味な静寂」ってのを体験して来た訳でもないから、今初めてどうしようもない不安になった。

明るい子で楽天家な子供だった自分が山のなかでぼっちが怖くなって、迷った事を理解して大声で泣いた。

 さらに時間が経つ。

泣いても意味がない、そして泣き付かれた自分は取り敢えず走った。

何を思ったか下り坂なら必ず麓の道に出るという勘が働いたんだ。

そんな勘が正しいなら誰も、大人でも遭難などはない。

さらに迷って獣道も無くなった。

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呆然とほぼ前も見えにくくなって夜が近づいてる。

ザザッと音がした。

「ハッ、ハッ!」

あの犬が息を弾ませて、立派な尻尾を降ってピョンピョン跳ぶようにやってきた。

僕の前まで来るとチョンと正面に座って頷く動作を何度か繰り返した。

さらにピョンピョン跳ねながら背中にあるリュックをつついてくる。

僕は思い出した。

ばあちゃんに貰った袋。

困った時の為の謎の袋。

開けるとビニール袋が出てきた。

そのビニール袋を開けると何か匂う。

丁度お腹が空いてきた自分にはなんとも言えない気分になる匂い。

 前に視線をチラッと戻すと犬が四匹に増えてた。

!!? ビックリした。

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shake

いつの間に増えたんだろう?

あっけに取られて見てたら、さらに

四匹が同じ動作で寸分違わず頷いてる。

すげーな。賢いわんちゃん達だと僕は凄く感心した。

ばあちゃん袋は食べ物みたいな匂いがするけど、暗いせいか何か分からない。

でも僕はこの賢いわんちゃんズにご褒美をどうしてもあげたくなった。

袋を開けて地面に置くと

四匹が

「ケーー−−−−−−ン」と鳴いた。

その時なんだか急に眠たくなって、ほぼ日が落ち視界が暗くなっていたのが真っ暗になった。

さらに眠くなってしまった。

気が付くと布団の中だった。

じいちゃん、ばあちゃんが笑顔を向けている。

「おかえり。」ばあちゃんが言う。

じいちゃんが話し掛ける。

「ご飯食べなさい。」

食事をしながら子供である僕にも分かるように時間をかけて、ゆっくり説明された。

僕が1人ピクニックを言い出した時にばあちゃんは丁度いいと思ったらしい。

実は夏休みの間に何かしら理由を付けて山に用事をさせついでに行かせようとしていたらしい。

じいちゃんも幼い頃行かされたらしい。

これはウチの家系ではしきたりのようにやるらしい。

ここから思いっきり胡散臭いだろうし、オカルトなんだが暇な人はまあ読んでくれ。

music:4

長文もここまで読んだんだからついでにお願いします。

山に子供を放つ理由。

ウチの先祖が昔猟を生業としている時にひょんな事からキツネを助けたらしい。

そのキツネが夢に出てきてお礼がしたいと言ってきた。

まあくれるんなら貰うと答えると次の日に縁談が来て嫁を貰う事になった。

 「ははあーん、これかな?あのキツネのお礼ってのは」

と解釈した。

しかし実際は嫁を貰ってからだった。

嫁の家系は巫女だったり、神主だったり、拝み屋だったり、占いや陰陽師みたいな人やらとにかくオカルトとか神様に関係する人ばっかり。

そして嫁さんは特にその力が強いらしい。

で、嫁さんが言うには

「キツネがあなたを好きになったらしく、ずっといたいから祭って欲しいと言っている。」

先祖さんは稲荷神社を立ててそれから祭ってきたらしい。

それで代々稲荷に仕える人を探すらしい。

それも神主じゃダメで、とにかくウチの家系で男だけらしい。

さらに必ず嫁になる人は何故か霊能力とか強い人や何かしらそういう関係の人になるらしい。

僕は習わし通りに山に送られ、キツネ様に遭って、油揚げをお供えして、家に送って貰うって事をしたらしい。

そして自分で歩いて帰って来たらしい。リュックに鮎や山女をパンパンに詰めて。これはじいちゃんも同じだったらしいです。

魚臭くなったリュックは綺麗になるまで時間かかったけどね。

やっぱガキんちょだったから犬とキツネの違いも分かないもんなんだね。ケーー−ンって鳴くのも初めて知った。

コンコンなんて漫画だけらしい。

僕はキツネ様に合格だったらしく、今はここで就職して、来月結婚します。

相手は大学で知り合った奈良のお嬢さん。このコは稲荷神社の娘さん。結構有名な神社です。

僕はあれきりキツネ様にたまに山で見かけると会釈くらいはする位です。

婚約者が昨夜夢でキツネ様が出てきてこう告げられたそうです。

「油揚げよりもおはぎとおからが好きらしいからそうして欲しい。

日本酒も欲しい。

僕にもっと近づきたいけど、タバコ臭くて出来ないからやめろ。

妊娠したら、待っていたように寄ってくる女がいるから気をつけろ

将来大きな地震があるから窓の近くは気を付けろ

僕の親友が人に恨まれて悪い念を跳ばしてるから懲らしめておいた」

といっぺんに色々言われたらしい。キツネ様に関しての引き継ぎはばあちゃんは嫁、じいちゃんの役は僕らしいから嫁の所にきたそうです。

ばあちゃんは力が弱くなってるから神様の声はもう聞こえないから嫁にいっぺんに伝えたらしいです。

力仕事で学がない自分の長文を読んで頂いてありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 松葉さん  

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