短編2
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人生のサイコロ

とあるお店が在る。

俺は曰く付きなコレクション兼商品にまるで磁力に引き寄せられるように何度も訪ねてしまう。

そして今日も…

「やあ、いらっしゃい。

今日もコレクションを見たいそうだね。存分に見ていってくださいな」

この店は会員制だ。

会員になる条件は一つだけ、いつか商品を買う事。

いつになるかは、客次第だそうだ。

特典は好きな時に品物を閲覧できる。

ここは、そんな店。

整然と並べられたコレクションを端から眺めていると真っ白なサイコロが目に入り足が止まった。

「店主、このサイコロはなんですか?」

「ああ、このサイコロは…」

店主の話が始まった。

このサイコロはあるギャンブラーの男の物。

男はとにかくギャンブルが好きだった。

寝ても覚めても考えるのはギャンブルの事だけ。

中でもサイコロを使う勝負が好きだった。

だが、好きなだけでギャンブルは弱くいつもカモにされていた。

たまに勝つとこの時の為に生きていると思うくらい喜んだ。

ある時から男は勝ち続けた。

男は思う。

やっと自分にツキが来たと喜んだ。

それが地獄の入り口と気付かずに…

男は調子に乗り自分の分を越えた金を賭けるようになった。

そして負け続けた。

もう一度ツキが来れば取り返せると無茶な賭けを続けどうにもならなくなった。

妻に土下座をし体を売らせた。

妻が体を売り稼いだ金と解っていながらギャンブルを辞められなかった。

もう一度、もう一度勝てば取り返せると…

妻が泣きながらギャンブルを辞めてくれと懇願する。男は聞かなかった。

それどころか、もっと稼げと罵った。

答えは解っていたが妻は最後の質問をした。

私とギャンブルどちらが大事か。

男はギャンブルと答えた。

妻は男を殺した。

そして男の望みを叶える事にした。

自分より大事なギャンブルを永遠と出来るように、相応しい形にした。

そして、真っ赤な部屋にサイコロが転がっていた。

「その男の骨を妻が削り出来たのが、このサイコロです。まさに男の人生そのものですね」

たかがサイコロに人生まで賭ける男の気持ちが解らなかった。

「どうですか?一勝負」

そんな気分に為れず手を振り店を出た。

怖い話投稿:ホラーテラー 月凪さん  

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