短編2
  • 表示切替
  • 使い方

派遣社員

先月会社を馘になった。

不況の波にあおられ、会社が大々的な社員切りを実施したのだ。

自分はそれなりに仕事をこなしてきたし、会社にも貢献してきた。

なのになんで・・・

馘になってからは妻に離婚を迫られ、子供の親権もとられてしまった。

今は派遣会社で働いていてなんとか生活しているがやはり仕事は少ない。

電話がなった。会社からだ。

「お仕事です。」

やった。今月はこれでなんとか生活出来る。

担当の女性は依頼人の名前、仕事内容、場所と時間を丁寧に説明して電話を切った。

今回は珍しいヤツから依頼が来たものだ。

仕事の日、私は駅にいた。構内は相変わらず人が溢れている。

この人込みの中から依頼人を見つけるのは大変だなと思っていたが、以外とすんなり見つかった。

依頼人は待ち合わせをしていたらしく、一人の男を見つけると2人で駅から出て行った。

後をつける。

2人は歩きながら何か話している。

聞いてみると、どうやら今から合コンへ行くらしい。

クソ!オレだって昔はよく合コンで女の子をお持ち帰りしたんだぞ、と過去の栄光を自慢したい気持ちになる。

信号が赤になり依頼人と男が止まった。

さて、そろそろ仕事をするか・・・

依頼人の隣にいる男の後ろに立つとトンッと背中を押した。

男は前へつんのめるとそのまま車に引かれた。

依頼人は何が起こったのか分からないのか、唖然としていた。

なんでそんな顔をする?お前が依頼したんじゃないか。

とりあえず依頼人には仕事のマニュアルに書いてあったお決まりの言葉を呟いておいた。

「ご依頼ありがとうございました。A様の魂は我々が責任をもって地獄にお送り致します。」

そして、引かれた男の魂を拾い死神派遣会社へと戻った。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ