中編5
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高校最後の旅行

高校三年の冬休み。

高校生最後の思い出って事でオレ、A、Mの男3人で旅行に行った事があった。

山をちょっと登ったところにある旅館で、周りにはこれと言った物はなかったが空気は美味かった。

とりあえず無事に到着し

「先ずは荷物置いてぷらぷらその辺で遊ぶか」

なんて事話しながらチェックインする事にした。

高校生の金銭で泊まる旅館だったから対していい旅館がじゃなかったけど

よく言えば、古きよき日本の象徴!的な古ボケた旅館だった。

旅館の玄関に入ると、凄く美人の女将さんが出向かえてくれた。

「ようこそおいで下さいました」

声もキレイで男3人はつい

「おぉぉ!」

なんて情けない声発してしまった(恥)

女将さんが

「さ、お荷物をお預かりします」

って荷物を受け取ろうとしたが、普通なら使用人が荷物を受け取るんじゃない?

なんて思ってるとMが

「女将さん一人なんですか?」

「いえ、もう一人使用人がいるのですが今立て込んでおりまして…申し訳ございません…」

なんて言うもんだからオレは

「荷物は自分達で持って行くんで部屋だけ案内してもらってもいいですか?」

と言うと申し訳なさそうに部屋に案内してくれた。

案内してもらう時女将さんがこっちに背中を向けるとギョッとした。

女将さんの背中に子供が背負われていた。

何気なく女将さんに

「…お子さんですか?」

と聞くと、これまた申し訳なさそうに

「すみません…この子、私が側にいないと泣きじゃくってしまうもので…」

大変そうだなぁなんて思いながら少し違和感を覚えた。

だってその女の子どう見ても5歳くらいの大きさでもう背負う年じゃないだろ…って思ったから。

まぁなんか事情があるんだろなって思いながら部屋に案内された。

それから3人で山の中を探索したり、山のふもとにあった店でいろいろ物色したり、対して何もないけどそれなりに楽しんで旅館に戻った。

部屋に戻って友達と話ししていると女将さんが来て。

「お食事の用意が出来ますけどいかがいたしましょう?」

と尋ねてきたので

友達とどうする?と相談し

「じゃあお願いします」

とお願いした。

しばらくして使用人の人が食事を持ってきてくれた。

(ここで初めて使用人を見たのだが、60歳くらいの少し足の不自由そうなおじさんだった)

「ごゆっくり」

使用人がそう言い終わり、ふすまを閉めあとにするとオレ達はご飯を食べ始めた。

少しすると女将さんが来て。

「すみません…この子もお客様と一緒にご飯を食べたいと言うもので…ご一緒させていただいてもよろしいですか?」

って言ってきたもんだから、

(あぁ、あの背負われてた女の子か。まぁ別にいいかなぁ)

なんて思い友達と目で合図しながら

「いいですよ」

と快く受けた。

女将さんはまた申し訳なさそうに、ふすまの後ろからご飯を出してから子供を引っ張り出し

「よかったね。お兄さん達とご飯一緒にできるよ」

オレ達は言葉を失った。

その子供ってのが人形だったのだ。

「すみません。ちょっと行儀悪いところがありますがこの子の事よろしくお願いしますぅ。」

笑顔で女将さんは去って行った…。

オレ達は終始無言。

まともに飯なんか食えたもんじゃない。

どのくらい時間が経ったかわからないが、使用人が来て。

「片付けに来たのですが。まだお食事中でしたか?」

みたいな事言ってきたが、オレ達はもうお腹いっぱいで…みたいな事言って引いてもらった。

その後少しすると女将さんが来て。

「あら、この子いつもはこんなに食べないんですよ〜。よほど楽しかったのかしら。フフフ…」

なんて言いながらその人形が食べていたであろうご飯とその子…人形を引いた。

オレ達は唖然。

気味が悪くてたまらない。

しばらく沈黙があり、オレが

「とりあえず風呂でも入ってスッキリするか?」

と二人に言うと、二人とも首を振りもう寝ると言うのでオレ一人で風呂に入りに行った。

風呂に入って気分良くなり部屋に戻ってると、部屋からキャッキャッはしゃいでる声がする。

(なんだ、結局起きてなんか楽しんでんじゃん)

と思いながら部屋のふすまを開けると

そこでは二人があの人形を挟んで楽しげに話しをしていた。

Aが

「おい、この子けっこういろんな事知ってて面白いぞ」

続いてMが

「お前もこっち来いよ。ホントに楽しいよぉ〜」

二人とも目の焦点が合ってない。

「バカ!お前らそれ人形だぞ!何言ってんだよ!」

「人形〜〜?おまえこそ何言ってんだ〜ぁ?この子さみしがってんだぜぇ〜ぇ」

友達のどっちともつかない声で言う。

背筋がゾクっとし後ろに気配がし振り返ると

「お連れさんはウチの子を気にいってくれたみたいです〜ぅ、あなたも仲良くなってくださいなぁ」

女将さんと使用人のおじさんがすごい形相でニヤニヤしていた。

「うわぁぁぁぁっ!!!!!」

オレは無我夢中で旅館を飛び出した。

山を必死で下りる。

恐い物見たさなのか後ろを振り返ると

ありえないぐちゃぐちゃな動きと奇声を発しながら女将と使用人が追いかけてくる。

ふもと付近に微かな明かりが見えたので、オレはそれを目掛けて必死で走った。

その明かりはタクシーだった。

無理矢理乗り込み。

「おじさん!早く出して!早くっ!」

運ちゃんは「??」っとなっている様子だったが、オレがあまりにも必死だったのか

「お、おうっ」

と言いながら車を発進させてくれた。

少し走ってから運ちゃんが

「あんちゃん、何かあったのかい?」

と聞いてきてくれたから、信じてくれるかくれないか関係なくオレは説明した。

運ちゃんは少し沈黙した後

「あんちゃん…そこの旅館は5年前に潰れてるよ?…勘違いじゃないの?」

オレは絶句。

話しを聞くと、その旅館は経営難で更に借金まみれでどうにもならなくなり一家心中したらしい。

女将、身体の不自由な使用人の旦那、4歳の娘。

……言葉も出ない…。

友達が心配だったがその時は恐ろし過ぎて戻りきれず、夜明けになったらその旅館に連れて行ってくれないかと運ちゃんにお願いすると了承してくれた。

明け方、内心びくびくしながらも運ちゃんに連れて行ってもらうと

そこには外観から中が見えるくらいのボロボロな旅館があり、中で倒れ込む二人の友達がいた。

幸い友達二人は風邪を引いたくらいでなんともなく。

ご飯を食べるってなったくらいから何も覚えてなかったらしい。

旅館自体が幽霊って事もあるんだなって思いながらも、後日その事を二人に説明すると

「なんでオレ達をほっといて逃げたんだよ!!」

ってめちゃ怒られた。

怖い話投稿:ホラーテラー カステラさん  

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