11月の怖話アワード受賞作品に対するオカルト研究家・ホラー作家でもある山口敏太郎氏による動画書評が公開されました。上位8作品全てをレビューしています。
受賞作品の面白いポイントを詳しく解説してくれますので、レビューを見た後は、よりその作品を楽しめるようになります。また今後作品を作るにあたって、描写方法やストーリーをより盛り上げるための参考にもなりますので、是非ご覧ください。
動画を文字に起こしました。
山口敏太郎です。ちょっと遅れてしまいましたけど、怖話の11月期の書評をさせていただきたいと思います。僭越ながら私が所感や感想を述べたいと思います。
8位:強ち起こりえない話
投稿者:修行者
廃墟スポットにいった若者がとんでもない事件に巻き込まれるという王道のストーリーなんですけど廃墟スポットの異常な雰囲気に人間の狂気が触発されて非常に恐ろしい結末になる。人間の狂気にスポットを当てている作品です。
読後感がかなり悪いです。僕はそこをほめたいですね。最近、怖話に読み心地がいい読後感がいい作品が多かったのですが、今回は不快なまま終わるところがある意味怪談らしくて逆によかったんじゃないかなと思っております。
7位:ドライブ
投稿者:龍悟
佐々木さんに振り回されるシリーズが非常に楽しくなってきました。幽霊とかに取り付かれる以前の問題ですね。佐々木さんと妹の女の子にもう取り憑かれているんじゃないか。よっぽどそっちの方が怖いんじゃないかという展開がシリーズ化していくととても楽しく読めます。
面白かったのはトンネル内のドアですね。異界内の異界。僕にもこういう発想がなかったですね。最後、「霊に賞味期限がある」という表現もなかなか秀逸ですね。霊っていうのは、霊能者やお坊さんに聞くと、いつまでも形のあるものではなく、最後は形が崩れ風に溶けていくような最後になるという話を聞いたことがある。霊に賞味期限があるから佐々木先輩は食わなかったというのが非常に面白かったですね。
6位:ピエロ~再来~【前編】
投稿者:upa
ピエロってね。非常に怖いです。あの顔が泣き顔なのか笑い顔なのかよくわからない。人間の表情が理解できないというのが逆に怖いですね。怒っているなら怒っている。笑っているなら笑っている方がいいんです。ところが、怒っているのか笑っているのか泣いているのかわからないピエロだからこそ怖いんですね。
あと、キラークラウンという都市伝説があって鏡の中でピエロを呼び出すとピエロが出てきて殺人を犯すという都市伝説があります。これは実際の猟奇殺人者をモデルにしていてると言われています。それを連想させるようなストーリー展開でピエロのどSぶりが発揮されている作品ですね。
5位:幽霊アパート
投稿者:upa
これはね押し入れに子供の霊がいるという典型的なパターンなんですけども、押し入れというのは霊界の入り口なんですね。ドラえもんだと机の引き出しがタイムマシーンのしまい場所になっているじゃないですか。子供部屋の一部が異界とつながっているという概念はよくあるんですね。
この作品では人間を守る霊と攻撃する霊がお互いにつば競り合いを繰り返してる。最後少年の霊が子供たちを守ってくれるというのは非常にいい話ですね。泣けたのは最後に声が聞こえたと。ずーと少年の霊の声が聞こえなかったのが最後に聞こえるというのが泣ける感じでいい仕上がりになっている。
4位:ピエロ
投稿者:upa
ピエロは夢の中で怪物が攻撃してくるんですね。夢の中っていうのは稀人の世界なんですね。人間の支配する現実とは違う、異界とも違う現実と異界の境目にあるのが夢の中。だから人間は夢の中で稀人にあうことが出来るんですね。エルム街のフレディのように夢の中でどSな攻撃をしてくるピエロっていうのが怖いですね。
また、人形というモチーフを入れこんでいる点も設定上非常にいい。よく構成ができていると思います。どういう結末になるのか非常に楽しみです。
3位:幸せ目前。
投稿者:まめのすけ。
この作品は1人称が最高です。客観的な描写の作品が多い中、1人称がいいですね。女ストーカーの話です。最初は単なる幸せな話なんですが、だんだんとやばい話になるのが素敵です。この女ストーカーはリカちゃん電話の都市伝説のようにだんだんと対象者に迫っていくというところがいいですね。
2位:シキタリ
投稿者:龍悟
旅館に泊まるんですけど、妖怪目目連を連想させるような化け物がでてきたり、生首が次々と浮かんでくる風呂、生首風呂というんですかね。こういう表現が秀逸です。舌の長い女の化け物、こいつも怖いですね。かなり妖怪じみてますけど。
やっぱりさびれた旅館が旅情を感じさせてイメージを豊かにさせますね。こういう恐ろしい旅館というのは日本中にあります。泊まってはいけない旅館の典型的な例ですね。
1位:樹海
投稿者:ダレソカレ
典型的なヤバい場所です。そこに迷う込んでしまった人の体験なんですけども。これも人を助ける霊、それと人を食らうような魔物この2つがでてきます。人間を守る側と食らう側が人間を挟んで競い合う。そこがいいですね。
テープレコーダーに死者の生前のメッセージが入っている点がいいです。これね北海道に実際にあった事件なんですけど。遭難者が「助けてくれー」というメッセージをテープレコーダーに入れていて、それがワイドショーで何回も再生されたんですけどなんとも言えない悲しさと怖さを感じましたね。その事件を彷彿とさせるような設定で非常に怖い感じがしました。これがICレコーダーではなくテープレコーダーである点がなんともいえない怖さを強調していると思います。
ということで11月のトップは樹海でダレソカレさんでした。
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