皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )
↓
🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。
🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。
🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。
🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html
🌱お題は毎月一日に更新されます。
🌱提出期限は毎月28日までとします。
🌱お話はいくつ投稿しても構いません。
🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。
🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)
🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。
🌱感想だけのご参加も大歓迎です。
🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。
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【11月お題】
「黄泉」「狐」「エレベーター」
投稿期間 11/1 0:00〜11/28 23:59
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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……
そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )
※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。
📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」
【5月お題】
「人混み」「電話」「花瓶」
【6月お題】
「墓場」「毒」「待つ」
【7月お題】
「海」「境界」「糸」
【8月お題】
「打ち上げ」「ライト」「未練」
【9月お題】
「借りもの」「バス停」「斜陽」
【10月お題】
「骨董」「ピエロ」「姉」
※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。
企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m
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前後してしまいます、申し訳有りません(汗)。
『何で来てくれなかったの』
瓜柄孝平(うりえ・こうへい)です。
今回は奇妙な出来事に遭遇した御話でも致しましょう。
***************
私の率いるプロジェクトが一段落して、入札一歩前の肝になるプレゼンで、競り合っていた企画を気に入ってくれた企業が居た為、トントン拍子でその場で商談は成立、入札も各組織で割り振る形で決してどの場所も落とさないで、今で言うSDGs同然と言える形で、プレゼンの席は締め括られた。「競り合っていたのは何だったのか」と首を傾げるライバル組織も居たが、その言い分ももっともではある。
幸先(さいさき)の良い形でプロジェクトが軌道に乗り始めるのと同時に、商談成立も兼ねた或る意味での祝勝会とも言える打ち上げが予定される。
────だが、私は飲めずすぐに赤くなるか寝てしまったりするので、いわゆるハンドルキーパーとして烏龍茶で参加するのが精一杯で、それでいて和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気も嫌いで無い為、いつも飲み会には参加していた。
然し、今回はシフト上の夜勤が有ったのと、翌々日に同窓会を控えていたのも有って、断らざるを得ないのだが。
******************
「申し上げましたでしょう。夜勤と同窓会で………」
「ちょっと、打ち上げと同窓会のどっちが大事なのよ。瓜君が居ないと盛り上がらないのよ。ハンドルキーパーの貴方が頼りなのに………」
勝手にメッセージアプリを検索して私のID番号を登録した、勤務先の御姉さん兼上司を自称する、上歯朱麻(うわば・しゅま)先輩がアプリの電話機能で連絡して来た。
「────分かった。なら、別な日にでも飲みましょ。その時はちゃんと………」
仕事もこなせて、どちらかと言えば業務をこなすスピードとしてはトロい私に対して、邪険にせず扱ってくれる意味でも、飲みに連れて行くと称しても絡み酒やいわゆる一気飲みや飲め飲めコール────いわゆるアルコールハラスメント────をする訳でも無い、良い先輩ではあるのだけど………
蟒蛇(ウワバミ)を自称して、結局酔い潰れてしまうパターンが先輩の場合は多い。今回のプロジェクトが実を結んだのも先輩の御蔭な分、部署の皆も彼女のこの短所に少なからず困惑してもいる。
****************
仮眠を取りながら、資料室の見回りや小会議の報告書の掲示、警備の人が巡回しない小規模な箇所の確認をしながら、私はメモ書きをした奴の清書と、退勤時のメッセージを兼ねた書き置きをしていた。
────ジャァーン!ジャァーン!ジャァーン………
ギクリとはしたが、離れた場所に置いてあるモバイルバッテリーに繋いでいた私のスマートフォンの着信音である黒電話だ。
「おっと」と仮眠を取っていながらも残る眠気につんのめりながら、私は鳴っていたスマートフォンを手に取る。
「瓜柄です。申し訳有りません」
「瓜柄君、夜勤なのに済まない!大変だ!上歯君が!」
私や先輩と共にプロジェクトに参加していた、上司である吉藤さんの顔面蒼白なのが窺える、言わば酔いを覚まさせられた声が受話器のスピーカーから響く。
クラクションを鳴らしたフラつき運転の、有ろう事か右車線を走って来た軽自動車が、眩しいながらも歩行者を認識出来るハイビームにせず、暗いヘッドライトのまま直進し上歯先輩を………
轢(ひ)いたまま、ヘロヘロと左端に停められた軽自動車から、顔を真っ赤にした高齢者が被害者に駆け寄ろうともせずに、何処かに行こうとした為、皆で取り押さえて警察を呼んだのだと言う。
「………?」
「ナンデキテクレナイノ、ナンデキテクレナカッタノ」
電球色のLED照明が灯っていた筈の一室が、紫色とピンク色の、言うなれば不気味な夕方を思わせる空間になっている事に気が付く。
上司の吉藤さんの声も「ガガーっ、ガっ」と変な音に遮られて上手く聞こえず、眉間に皺を寄せた私は一旦通話ボタンを押して遮断した。
「───上歯先輩?」
確かに上歯先輩の姿には似ている、だがあのビデオ映像の井戸から這い出て来るあの女の様な不自然な長い黒髪、白いワンピースと、彼女のチョイスする服装とは掛け離れており、目にクマの出来た不気味な顔だけが先輩を模したものだと判断出来る。
「何で来てくれないの、ナンデキテクレナイノ、何で来てくれなかったの、ナンデキテクレナカッタノ、何で来てくれないの、ナンデキテクレナイノ、何で来てくれなかったの、ナンデキテクレナカッタノ」
私は怖さよりも、救急搬送されただろう先輩の悔しさや逃げようとした高齢者への怒りがゴチャ混ぜになり、身体が動かないながら、急に呼吸する事が出来る様になった為、何故か口許に笑みを浮かべて思い浮かんだ言葉を行って見る。
「未練がましい面(ツラ)曝(さら)してんじゃ無ェよ!先輩の顔を借りてんじゃ無ェぞっ!!大体にして手前ェ誰だよ!何様なんだよオイ!」
言い切った私は、ドサリと椅子に座って逆襲するだろう目の前の得体の知れない存在を睨み付けた。
『良くやった青年!』
男の声が紫色とピンク色の混じったオフィス内に響き渡り、言わば上歯先輩の姿をパクった奴が突如苦しみ始める。
「オマエカァァァ!ナンデイチイチ、コッチノジャマヲスルンダァァァ!アリメェェェ!チクショウォォォゥ!」
ドロドロに溶けて、得体の知れない存在は破裂する。
元の電球色のLED照明の灯る、オフィスの一室に空間が戻る。
私はふと思い出して、再び吉藤さんの電話番号へと掛けようとする。
「────あれ?」
先程掛かって来た筈の、上司の着信履歴が無い。
「どどどど、どうなってんだコレ」
取り乱し掛けた直後、着信が来る。今度こそ吉藤さんだ。
「もしもし。どうされました」
「いや、危なかったよ。上歯君が、又出来上がっちゃって、千鳥足でね………」
「ま、ま、まさか、軽自動車が………」
「凄ェな、エスパーか君は。その軽自動車がな………」
街灯の付いた電柱にぶつけて、単独事故を起こしたと言う。しかも、千鳥足だったのにうずくまってしまった、上歯先輩の数m先で。
「しかも上歯君がな………うずくまって君に謝り始めたんだ」
その場に私が居ないのに?
「単独事故を起こした爺さんを応急処置して救急搬送して貰おうとしたら、飲酒運転だったから、いや参った参った。そんで警察に爺さんを引き渡したらな、上歯君が素面(シラフ)になって、君が心配だからオフィスに戻るって言い出してな」
「へ?」
直後、バンと勢い良くドアが開いて、違った意味で顔面蒼白の上歯先輩が飛び込んで来た………後ろに吉藤さんやプロジェクトに参加してくれた皆を従えて。
「瓜君!御免ね!又別な日に飲み直そう!同窓会楽しんで来て!」
「────あ、有難う御座います」
連れ立ってのオフィスからの撤収になって、私は同窓会も後日改めて開催された飲み会も雰囲気を楽しみつつ、ハンドルキーパーとして、上歯先輩始め上司も送り届けた。
**************
「青年よ、厄介なオフィス霊によくぞ立ち向かってくれた」
瓜柄青年の乗る軽自動車を誘導し、地下駐車場の出入口から安全に発進させた警備員が踵(きびす)を返すと、制服が煙を上げて消え失せ、黒い背広の有芽元次が現れ、地下駐車場にて姿を消した。
**************
改めまして、あんみつ姫さんの投稿と前後してしまっているかも知れません事を、御詫び申し上げます(汗)。
遅くなりました。
締め切り間際の投稿となります。
ご笑覧いただけましたら幸に存じます。
タイトルは「八月の月光」になります。
この猛暑な今よりもまだマシな暑さの夏の頃でした。
中学生の頃からの同級生の女の子と高校生の時に付き合う事になり、それはもう私は大喜びしたものです、初めての彼女ですから浮かれてしまうのも無理はないですよね。
彼女は物静かな人で読書が趣味で本屋さんや図書館に行ったりしそれから2人でご飯を食べに行ったりしました。
「ここの料理おいしいね。」
「だね、この後どうしよっか」
「まかせるよ」
そういった他愛のない会話をよくしたりしました。
高校を卒業する頃には私は家庭の都合もあり働きに社会に出て、彼女は進学する事になってしまいお互いあまり時間が取れないようになったり会うことも少なくなりましたがお互い恋愛は続けました。
なかでも二人で毎年ある八月の地元の花火は良く見に行って手を繋いで眺めたのは今でも彼女と見たあの打ち上げ花火の光は瞼の裏に脳裏に焼きついたように覚えています。
数年後の事ですが、彼女は失踪しました。理由は未だよく分かっていません。
私や彼女の家族も探したり警察に行方不明届を出して捜索もしてもらいましたが見つからず。
やがて捜索は打ち切られました。
それから何年も何年も…。
何年も経ちましたが彼女は帰ってきませんでした。
生きているのかもういないのかわかりませんが生きてるなら連絡ぐらいはせめてほしいと願い続けましたが叶わずで、それからの自分の人生灰色のようなセピアのような世界になっていました。
ある八月の日のことです。
私は仕事が休みだったので木々が生い茂り、地面は舗装された道ではなく、離れた県の山の中を歩いていました。
なぜここにきたかは改めて考えてみてもわかりませんがスマホの画面で時間をみようとすると夕方になっていました。
気がつくと、日が落ちて夜が空を覆い満月の光だけが差すこの街灯もない道をただあるいてました。
仕事でよく夜遅くに帰ったりしていたせいか幸いにもライトを常備していたので道を照らしながら歩いていると少し離れたところに女性でしょうか?それらしいのが見えました。しかも、こっちを見ているような。
私は何かあったのかと近づいて声をかけようとして違和感を感じました。
話かけても後ろ姿のままなのです。
何度か話かけましたがその女性は返事をしてくれませんでした。
何度かそうしているうちに私は苛立ちを覚えたのもあり諦めて帰る事にしました。
知らないところだったのですが、なんとかスマホのナビを使い帰れました。
その日は、家に着くと疲れもありそのままぐっすり眠ってしまいました。
翌日、仕事から帰るとビールとおつまみを楽しんだ後、いつもよりすぐに布団に入ってしまいました。
しばらくうとうとしていると夢でしょうか?あの山にいた顔を合わせない後ろ姿の彼女が夢に現れました。
後ろ姿で何か言っているのですがよくわからずで問いかけるも反応はなく気がつくと夢から覚めて朝になっていました。
二、三日でしょうか、それが続きましたがそのあとは見なくなり普段の日常に戻りました。
さらに何日かしてふと気がついたのですが、あの女性の着ていた服どこかで見たような既視感があるような、と私は考えこみました。
次の休日に私は再びあの山のあの場所に行き周辺も探しましたが彼女はいませんでした。
一度降りてはまた夕日が沈む頃にも行きましたがいませんでした。
それから一年後の八月頭のことです。
夢に彼女がまた現れました。
相変わらず何を言っているかわかりませんでしたが何かを伝えたいのかと思いました。
その週の休日に私はあの山に行きましたが彼女はおらず。
そういえば、夜だったなと私は時間を潰したあと夜まで待ちました。
街灯もない舗装されてない道でしたが今日は満月で月だったのか月の光が山道を照らしていて歩けはしました。
どれくらい歩いたでしょうか、膝に手を置きため息を出して前を見たら彼女はいました。
月の光が彼女を照らしていてどこか美しくて私は見入ってしまいました。
しばらくして私は後ろ姿の彼女に近づき抱きしめていました。
その身体は冷たくも暖かいようなそんなかんじに思えました。
…私はいつのまにか気づいていたようです、彼女が何年も前にいなくなったあの子だという事に。
彼女の身体に回した片腕に水があたるような感触がして私はもっと抱きしめました。
目が熱い感触に気づき私自身も涙を溢していたようです。
私は彼女にいっぱい話かけました。
いままでのこと、君がいなくなって辛かったこと、再び会えて嬉しかったことを。
すると彼女はとある方角を指差しました。
その先はすぐわかりました。谷でした。
月の光で下が見えるくらいの深さでライトも使い目を凝らしてみると人の頭や身体の骨が2人分ありました。
片方は服も当時のままの彼女でした。
もうひとつは男のようでした。
振り返ると彼女はいなくなっていました。
私は警察に連絡し事情聴取を受け現れた彼女の事をぼかして説明して問題ないと思われたのかすぐに解放されました。
後日分かったのですが、彼女は何のゆかりもない男に拉致され女性としての尊厳を汚されそうになり揉み合いになり2人とも谷に落ちたようです。
私は泣きました。
寂しさと怒りと悔しさとで頭がおかしくなりそうです。
ええ、そうですとも。私は彼女に未だ未練があるのでしょう。
でも、やっと再会したのに彼女は亡くなっていて悲しみに暮れる日々が続きました。
それでも、それでも嬉しいこともありました。
満月の夜には彼女が私のそばにいてくれるのです。
先ほどこちらを見かけておもしろそうだとなりましたので参加させていただきます。
いましがたひさびさに話をつくっておりました。
朗読もされていただけるようでうれしくおもいます。
末席の駄文ですがよろしくお願いいたします。
ふたば様
あっついですね~。
今月のお題は季節柄、高校野球が真っ先に思い浮かびましたが、さてさてどうしますかね。
何を打ち上げるのか、『ライト』を何と解釈するか。
お盆休みもありますし、ゆっくり楽しませて頂きます。
ふたば様
8月になりました。
連日の猛暑に辟易している日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。
今月のお題三題ありがとうございます。
なかなか、面白いお題ですね。
先月は、一話しか描けなかったので、今月は、少し頑張ってみようかなと思っています。
本腰を入れて取り組みたいところですが、コロナ感染や手足口病等の蔓延に翻弄されており、よもや、自身の身体も・・・と暑さと疲労に引き摺られながらも、仕事だけは頑張らないと「空元気」「作り笑顔」で、なんとか生きながらえているところでございます。
ふたば様、毎回、月並みな言葉で申し訳ございませんが、くれぐれもお身体ご大切になさってくださいませ。
ふたば様
初めて投稿いたします。掲示板初心者ですので、至らない点もあるかと思いますが温かい目でお読み頂ければ幸いです。
なお、この話は創作ではありません。私は昔から霊感体質で何度も不思議な体験をしております。その中から「境界」にまつわるお話を、と思い投稿させて頂きました。
何度も調整を試みたのですが難しく1000文字を超えてしまいました、ごめんなさい。
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「あの世とこの世の境界」
12年前の夏の終わり。
幼馴染Aとその姉Mの運転で夜中のドライブを楽しんでいた。
ドライブといっても小さな離島の片田舎なので見慣れた道をただひたすらグルグルと走り回るだけ。もう大分遅いし家に帰ろうと言うと、Aはいつもの道じゃなくて県道を帰ろう、言い出した。
「私嫌なんだけど」とM。それもそのはず、県道にはN大橋と言って自殺の名所、いわゆる心霊スポットがあり、そこを通らねば自宅まで辿り付けない。
Mは極度の怖がりだ。私に「行かないほうがいいよね?」と尋ねてきた。しかしこの日の私は特別嫌な気配を感じていなかったため、大丈夫じゃない?と軽い気持ちで返してしまった。Aはお化けに会えるかも、なんて笑っている。いよいよN大橋が目前に迫ってきたころ、橋の手前ののり面の上に一体のお地蔵様があることに気づいた。「こんな所にお地蔵様なんてあった?」言いかけた時、道路と橋の繋ぎ目の段差を踏み車がゴトンと大きく揺れ、その瞬間突然目の前が真っ白な靄で覆われた。慌てて運転席に座るMを見たがまるで靄など見えていないように平然と運転している。正面を向き直ると白い靄の中に小さな人影が見えた。そして耳元で「あの世とこの世の境目に遊び半分で来てはならない」と男性の声がした。その瞬間、全身が泡立ちひどい耳鳴りがした。ひたすらに二人の名前を呼んだがAとMは見向きもしない。前だけを見つめ運転するM、後部座席ではタバコを咥えながら外を見つめるA。
靄は少しずつ消えていき、気づいた時には自宅近くの集会場の前に車は停車していた。
AとM曰く、橋を過ぎた辺りから私は寝ていたと。勿論その体験を話した上で確認したが私は二人の名前など呼んでいなかった。
帰宅し、いつの間にか眠ってしまったようで6時の目覚ましで目が覚めた。
目覚ましを止めようと携帯を開いてみると、着信が20件近く入っている。朝5時過ぎから立て続けにAとMから交互に着信が入っていた。かけ直すとすぐにAが出た。声が震えている。二人とも夜中に金縛りにあった、白い世界にお地蔵様がいて『あの世とこの世の境目に遊び半分で来てはいけない、次はない』と言われたとの事。
後日、地元で有名な物知り(霊媒師のような人)にお祓いがてらその話をしたところ、N大橋の下は深い谷で昔からよくないものが溜まる場所として有名で橋の近辺には民家はおろか農耕地もない。それだけ忌み嫌われている場所だと教えられた。その場所で命を絶った人々はよくないものに呼ばれてあの世とこの世の境界を超えてしまったのだと。
それから今まで、N大橋は仕事で何度も通っているが妙な体験はしていない。
さすがにあの件以来、夜に通ることもしていない。
そして、何度も確認したがのり面の上にはお地蔵様なんて立っていなかった。
ふたば様
海に糸とくれば…
今月はオーソドックスに攻めてみました。
それでは、今月もタイトル除きでドンピシャ800字で投下します。
*********
「逢魔が時の防波堤にて」
夜明け前、まだ真っ暗な駐車場に車を停めて釣り道具を手に防波堤へと向かう。
いつもの場所に陣取り、仕掛けを準備すると、竿を鳴らして思い切り遠くへ投げ込んだ。
糸を巻上げたるみを取り、竿を置いて折り畳み椅子に腰を下ろす。
平日の早朝だけあって他には誰もいない。
空が徐々に明るさを増し、到着した時は全く区別できなかった海と空の境界が次第にはっきりしてくる。
日の出まであと三十分程だろう。
缶コーヒーを口に運びながら、じっと竿先の糸を見つめていると、ふと視界の隅で何かが動いたような気がした。
しかし周囲を見回しても、猫の子一匹いない。
気のせいだったかと思ったが、それは数メートル離れた防波堤のへりにいた。
左右の手の指が四本ずつコンクリートの縁に掛かり、まるでよじ登ろうとするかのように蠢いている。
ここには誰もいなかったのだから、今ここで滑り落ちそうになったのではないはず。
しかしこの防波堤は海面から四、五メートルの高さがあり、とてもよじ登っては来られない。
そして気味の悪いことにその指は薄闇の中でじんわり青白く光って見えるのだ。
手の指のように見えるが、ひょっとすると夜光性の生き物なのかもしれない。
傍に寄っていきなり飛び掛かられたら怖い。
俺は防波堤用の長いタモ網を掴むと柄の部分でその蠢く指をつついてみた。
するとまるで驚いたかのようにしがみついていた指がぱっと開き、それと同時にそのまま下へと落ちた。
(うわ~っ)
防波堤の下から叫び声が聞こえ、続いてドボンと海に落ちる音が聞こえた。
まさか人間だった?
恐ろしくなり、俺のせいじゃないと心の中で言い訳しながら帰り支度を始めた。
急いで竿を上げ、リールを巻き上げ始めると、何やらズシッと思い。
魚の感触ではなく、根掛りでもない。何やら重たいものをゆっくりと引き寄せている感触。
先程の指と叫び声。
針に掛かっているものが頭裏に浮かび、俺は慌てて糸を切って急いで防波堤から逃げ帰った。
ふたば様
なかなか800文字に収まりませんが、今月も書いてみました。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
題:白昼夢
一番初めは、5年生の初夏の理科の教室で起きた。
プール授業の後に座学と来ては、寝るなというのは無理な話だ。眠気を誘う先生の声にぼーっと意識を飛ばしては、はっと我に返るのを繰り返していた時だった。
背もたれが消えたかのように体が落ちた。落ちた、と思ったがすぐに教室の床ではないところに浮かんでいた。
静かな海のように気持ちのいい場所だった。ゆっくり目を開けてみると、薄暗い空間を糸を引く雲のようなものが流れて行っている。体は動かないが、怖いという感じもしなかった。
何時間経ったんだろうかと思った瞬間、ブランコのような勢いでぐわんと体が持ち上がり、もとの教室に戻っていた。同時に先生の投げたチョークが額に当たった。
その日から、ことあるごとにその現象は起きた。
人には言わないほうが良いということは早くに学んだ。級友に話してみても寝ぼけていたんだろうと怪訝な顔をされるだけで、信じてくれる者はいなかったからだ。
何度も落ちるうちに、気疲れした日や落ち込んでいる日は特に落ちやすいことが分かった。
夢と現実の境界を行ったり来たりしているような気分で、自分だけの特別な空間だと信じ込んでいた。何度も落ちているうちに最初の頃のフワフワした感じは薄れ、だんだん空間の闇と質感が濃くなっている気がしていた。
社会人になり、残業だらけの毎日に気が滅入っていたころ、この現象は完全に日常化していた。流れていく雲がどうやら魂のようだと気づいていたが、干渉されることはなかった。だんだんと圧迫感の増してくる闇も、あまりにも変化が緩やかなため危険だと思っていなかった。たった今この時までは。
目が、醒めないのだ。
長年の経験で、こちらの時間の流れと現実時間の換算ができるようになっていたが、いつまでたっても戻れない。部長も参加する長くて重要な会議が終わって昼飯を食べている途中に落ちた後、もうかれこれ5時間は経っているはずだ。
いつもなら小一時間すれば現実に引き戻される。
だが今回は違う。
音が聞こえる。海に潜った時のような揺れ動く音。
突然、背中に何か冷たくて質感のあるものが当たる感覚があった。
地面に到着したのだ。今までこの世界に入るたび少しずつ落ちていて、ついに底にたどり着いてしまったのだと理解した。
頭を動かせることに気づいた。
恐る恐る右を見ると、フジツボがびっしりと生えたスーツを着た骸骨がこちらに顔を向けてゆっくりと口を動かしてこう言った。
「ヤア、キミモカイ。オタガイ、サイナンダッタネ」
7月のお題三題。
今回は、早めの投稿となりました。
800字に纏められずすみません。
相変わらずの駄作。拙作。迷作で申し訳ないです。
本作は、一部、過去作と被っています。
皆さんの優れた作品に触れ、もっと精進しなければと、改めて身が引き締まる思いでございます。
それでは、このへんで。
おやすみなさいませ。
「海の夜咄」
母は、海辺の小さな町で育った。
幼い頃、たった一度だけ、母の実家に行ったことがある。
リアス式海岸の最北端に位置するその町は、どこか淋しく太陽が燦々と照りつける真夏の白昼でも、霞のかかったように薄暗く感じた。
ある夏の日、まだ夜も開けやらぬ薄暗い時刻に、私は、母に手を引かれ、波打ち際を歩いた。
というより、歩かされたと言った方があたっている。そのくらい、あの日の母は、常軌を逸していた。
「もうじき生と死の境界線がやって来るわ。細く長い糸のような境界線がね。」
母はが何を言っているのか、私には、さっぱりわからなかった。
「イトノヨウナ キョウカイセン?」
オウム返しに たどたどしい口調で尋ねる私に、答えることもせず、急に立ち止まると、意を決したように海に向かって対峙した。
恐る恐る見上げた母の視線の先には、紫色に煙る水平線が広がっていた。
20分ぐらい待っただろうか。
あたりが、うっすらと白み始める頃、水平線の彼方から、微かな洋光を背に、楕円形の黒い影が、ゆらゆらと揺れながら漂う姿が見えた。
明るくなるにつれ、その姿は、白く大きなヨットのようにも、帆に風をはらみながら前進する船のようにも見えた。
程なくして、どこからともなく、大きな声が聞こえてきた。
「おーい。日が昇らないうちにこーい。今なら間に合うぞ。」
その声に導かれるかのように、母は、私の手を強く握り、足早に海に向かって歩を進め始めた。
波打ち際すれすれに歩いていたせいで、ズブズブと湿った砂が買ったばかりのズックの中に入り込み、濡れた砂と漂う波に足を取られ、バランスを失った私は、その場に尻餅をついてしまった。
「冷たいよ。痛いよ。」
予想外の痛さと、海水の冷たさに、母を見上げながら叫んだ。
「あの声何?怖いよ。」
母の顔色が変わった。
私はすかさず、叫び続けた。
「帰りたい。帰りたい。こんな気持ちの悪い所。もう嫌。」
「海も嫌。怖い。こんなところで生まれたお母さんなんか大大嫌いだ。」
これ以上、ここにはいられないと言わんばかりに泣き続けた。
母は、「ごめんね。やっぱり、連れてくるんじゃなかった。もう帰ろうね。」
私を抱き起こすと、
「ごめんね。ごめんね。お母さんが悪かった。」
何度も誤りながら、強く抱きしめ涙を拭った。
私達は、踵を返すかのごとく、大急ぎで母の実家に戻ったのだった。
「どこに行っていた。」
玄関先で濡れた身体を拭いていると、叔父さんが声をかけてきた。
私は、とっさに、
「お母さんとお墓参りに行こうと思って。間違って海に行っちゃった。」
と、見え透いた嘘をついた。
叔父さんは、母に向かい、始発の汽車で今日中に帰るように促すと、深い溜め息をつき、家の奥へと姿を消した。
程なくして、仏間から、慟哭とも叱責とも取れる叔父の叫び声が聞こえてきた。
「ばかやろう。もう、いい加減に諦めろ。な。あの男との糸は、とっくの昔に切れてんだ。」
「そうね。やっぱり、もうここに来るべきではなかったわ。生と死の境界線は、勝手に超えてはいけないのよね。」
人と人との縁は、見えない糸で結ばれているという。
だが、見えないがゆえに、糸と糸とが縁が絡み合い、本来、結ばれてはいけない縁とつながれてしまったとしたら。
それは、取り返しのつかない「業」となってしまうのだろうか。
かなり後になってから、母の生まれ故郷に伝わる昔話を聞いた。
『明け方近く、薄紫色の空の下、ぽっかりと姿を現した帆船は、目には見えない細く長い糸で、この世とあの世の境界を繋いでくれている。』とのことだった。
私は、写真でしか父の顔を知らない。
いつどこで どうして亡くなったのかも知らされぬまま今に至る。
数年前、母が急死した。
持病のヘルニアの手術のための入院だったはずが、突然、様態が急変し、3日と待たずに亡くなった。
遺体は、身体中が浮腫み、風船のようにパンパンに膨れ上がり、溺死体と見間違われるほどだった。医者も、こんなことは前代未聞だと話していた。死亡後、解剖にまわされたりもしたが、原因不明のまま荼毘に伏された。そんなこんなで、葬儀までかなりの時間を費やした。
「死なば盆前彼岸前」(亡くなるならお盆、彼岸前に限る との古くからの言い伝え。)
とはよく言ったものだ。
母の死を境に、なぜか、旧盆の最中、午前2時を廻る頃、水平線から現れる、あの帆船の夢を見るようになった。
船の上から、数名の男女が手を降りながら、見えない糸で手繰り寄せるかの如く、私を誘うのだ。
「おーい。早く来い。」
「みんなこっちで待ってるぞ。」
「会いたいだろう。まだ見ぬ父に。哀れな母に。」
と。
『墓場の主』
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馳沼凪斗(はせぬま・なぎと)です。
就職して以降、御盆や御彼岸に墓参りが出来なくなって、致し方無く季節外れに御墓に行って、その時は居ないかも知れない御先祖様に、顔を見せております。
そんな中での奇妙な事と御話を致しましょう。宜しく御願い致します。
**************
学生時代の終わり辺りだったろうか、就職活動が中々厳しかった僕は、息抜きも兼ねてと言うと語弊が有るかも知れないが、一息つく目的も有って墓参りに来ていた。
「………どなたですか」
「え?」
ちょっとした焚き火をしながら線香に火を点け、供え場所に置いたタイミングで声を掛けられたので顔を上げると、キョトンと背広姿の眼鏡を掛けた青年と目が合う。
僕は座り込んでいたのに気付いて腰を上げて、彼の目を見ながら答える。
「あっ、孫です。馳沼の」
御先祖様と言うか、僕の生まれる数年前に他界した、父方の祖父が眠っているので、別段隠す事も無い。
「そうでしたか。では」
(………おり?)
御辞儀をして、彼は僕が墓石に掛ける水を汲んだ井戸の方へと去って行った。
(全然見た事無いな。ありゃ誰だろ)
僕以外は誰も墓地には居ないし、身内に彼の様な知り合いが居る話も聞いた事が無いのと、従兄も再従弟(はとこ)も男ばかりなのだが、そう言えば私以外は全然眼鏡を掛けていない。
家族に話した所で、怪訝(けげん)な顔をされるだけだろうと踏んで、僕は今回の事を誰にも話さない事にした。
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市街地に熊が出没するニュースが頻発しており、山菜や筍(タケノコ)、茸(キノコ)を採りに行った先で襲われたり、農家さんの納屋で急に出くわして怪我をするケースが少なからず有って、いずれも高齢者が被害を受けているのを知って、喋れないにせよ熊の側の言い分も有るだろうが、僕は何故か「怪我させてんじゃ無ェ!」と身勝手な怒りを滲ませていた。
そんな矢先、夜更けの墓地で酒盛りをしていたと言う若者が襲われ、怪我をすると言う或る意味自業自得な事態が起きる。
しかもアルコールが回っていて出血も酷く、逃げ出す際に藪みたいな場所や砂利と土の未舗装の場所も有ったから、切り傷に擦り傷、引っ掻き傷が酷かったとの話である。
僕は用心を兼ねて、地方局に周波数を合わせた携帯ラジオを持ち込んで、季節外れの墓参りに来ていた。
「グォルルルルルル………」
「え?え、嘘っ………」
線香に火を点ける為に焚き火をしていた際、視線を感じて見上げると………喰い物も無いのに、巨大な黒い塊がのし掛かって来る。
「ウォォゥ!」
「ひぐっ!」
ガリリと鋭い爪が、幸い墓場を仕切るボロボロの、低いコンクリート塀を抉って、更に焚いていた火に前足を突っ込んだか、低い唸り声にドスが利き始める。
「動けない………どどどどど………」
「どうしよう」さえ言えず、頭を守ろうと手を置いた瞬間、ビュンと刃物を振り回す様な風を切る音が響く。
(ああ………ズタズタにされる………)
何故か目に涙を浮かべて、諦めの境地に達した瞬間、
パァーン!
派手に爆竹を破裂させた様な音が木霊(こだま)する。
「グルルァァァォォォルルルァ!」
毒を喰らった様に絶叫し始めた黒い塊は、悶え苦しみながら赤黒い液体を狭い通路にボタボタと落としながら、よりによって焚き火の場所に倒れ込んで動かなくなる。
「………御免なさい、驚かせてしまいました。大丈夫ですか」
通常なら「あんた!怪我は無いか!」と大声が響きそうな所を、穏やか且つ冷静な声で………眼鏡を掛けた背広姿の青年が、いわゆる猟師の格好で僕の前に現れた。
「ピーンピーン」と今更ながら、あの強烈な破裂音の余韻が来て、暫く僕の耳は聞こえなかったが、段々と聴力も戻って来て、「ああ………大丈夫です」と返せるタイミングになる。
何でも、今回仕留めたのが酒盛りをしていた若者の集団を襲った奴らしい。逃げて仕留め損ねたらしく、僕の来るタイミングと待ち構えていたタイミングとが、悪い意味で重なったのだと言う。
だが、彼も彼で猟銃を構えている際に、過去に逢った男だと気付かなかったらしく、仕留めた際の余韻が落ち着いた所で、僕の顔を見てビックリしていた。
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間に合いました………皆様の力作、ゆっくり御読みしたく思います(汗)。
書き直しました。
誤字を見つけましたので、ここで訂正いたします。
移動✗→異動❍
です。
何度も通知が行って、ご迷惑をおかけしたと思います。
申し訳ございませんでした。
本稿をもって、6月のお題三題 投了となります。
ご笑覧いただきありがとうございました。
「廃墟ビル」
「視えて良かったことなんて、過去一度もないですね。」
Aさんは、そう呟くと深い溜め息をついた。
「視える程度で、金を稼ごうという人間の気がしれないです。」
ウィスキーを煽りながら、過去、最も戦慄したという話を教えてくれた。
新人の頃、上司に連れられて訪れたそのビルは、都心にほど近い歓楽街にあった。
地下1階から地上5階建の雑居ビルだが、立地自体は悪くない。
ただ、オーナーが変わること5回。当時、Aさんの系列会社が管理運営していたらしく、新たなオーナーが、改築工事をしようとすると、事故が多発。やむなく中止を数回繰り返すうちに、いつしか廃墟となってしまった。
「ありがちのいわくつき物件ってやつですね。でも・・・ここは、ここだけは、少し違ったんですよ。」
上司の話によると、ビルは、設立から数年間は人気があった。
ここで起業した人は、驚くほどの勢いで、業界トップクラスの売上や成果を上げ、必ず成功するのだという。このビルを出て、海外へ進出した社長もいたことから、男性誌に記事が載るほどの人気ビル。
験を担いで、一時期は、各フロアが満室だったらしい。
ところが、一転、ある時期から、嫌な事件が度重なるようになった。
急に金回りが良くなったことで社長や所長、また、ビルのオーナーまでが、不倫や結婚詐欺といった「男女間の過ち」をしでかしてしまうというのだ。
そのビルの地下1階は、小洒落たカフェバーやバー、スナックなど飲食店が入っていたのだが、どうやら、これ幸いとばかりに、男女の待ち合わせ場所に使われたらしく、深夜、地下へ続く階段やビルの前に佇む男女が見られたそうだ。相手を待つ間、一服するタバコの煙があたりに充満し、紫色に染まるほどだったというから呆れる。
「いくらなんでも、わかり易すぎませんか。場所移して会うとか出来なかったんでしょうか。」
空になったグラスを見ながら、Aさんは、同意を求め向き直った。
道ならぬ恋などろくなことにならないのは、最初からわかりきっている。
懇ろになると、にっちもさっちもいかなくなる。
その結果、入居した会社の社長や所長が全員服毒自殺をしてしまうのだという。
他殺でも事故死でもない。
なぜか自ら毒を煽(あお)るのだと。
毒自体は、フグ・トリカブト・青酸カリ等など様々。
いずれも素人がそうそう手に入れることなど出来ないものばかりだ。
現地に赴く前に事情を聞かされていたとはいうものの、正直気が滅入る。
顔には出さないが、渋々現地に向かった上司とAさんは、ビルの中に入る前、地下1階に足をかけたとたん、踵を返し、ダッシュしてその場を跡にしたという。
そこには、廃墟ビルなどではなく、灰色の大きな墓石が、聳え立ち、地下街だった場所には、魑魅魍魎と化した男女が食い合い、絡み合い、挑み合い、血反吐を吐きながら、泥仕合に興じていたのだという。
「あそこは、天国にも地獄にも行けず、もちろん、この世でも生きることの出来なかった男女たちの色と欲の「墓場」でした。」
「おい!お前、どこに行く。」
ー逃げるな、待て~。
背後から叫ぶ上司を残し、ほうほうのていで会社に戻ったAさんは、その場で転勤願いを出し、その日から一週間有給を取った。
久しぶりに出社したAさんの机の上には、支社への転勤の辞令が置かれてあった。
時期でもないのに、転勤願いは、なぜかすんなりと受理されたというわけだ。
Aさんは、移動先の支社で定年を迎えるまで勤め上げたという。
根が真面目な人なのだろう。
ちなみに、あの日、件のビルを一緒に訪れた上司も、数カ月後、自主退職したことを社内報で知ったのだった。
「あんなモノ見せつけられたら、結婚も社会的な成功も要らないと思いますよ。」
Aさんは、特に寂しさも感じないと、還暦後も独身生活を謳歌している。
「死んだ先のことまで考えたくはなかったのですが、昨年、両親の墓をコチラに移すことを決意したのと同時に、市が管理運営しているという樹木葬の手続きをしました。廃墟ビルのような冷たい石の中に入りたくはないですよ。墓場なんて、死んでも行きたくはないですね。」
Aさんは、私の目を見据え、同意を求めるように話し始めた。
「まぁ、視えてしまうリスクについては、諦めましたけどね。毒を喰らわば皿までもという心境です。ただ、視えるというだけで、安易に金儲けしようとする人間にだけはなりたくないですね。あの日、あのビルで蠢いていた奴らと同じ匂いを感じるんでね。」
ふたば様
調子に乗って、三作目投稿しました。800字、超えましたね。数えてませんが、1,000字程度にはなったかな。(^_^;)
三作目は、二作目のオプション作品と思っていただければよろしいかと存じます。
少し説明的すぎましたが、ただの心霊スポットとしての「廃墟ビル」ではつまらない。
やはり、心霊スポットの醍醐味は、その由来にあると。
由来についても、真の原因は、更にその奥にある。
それは、隠されてわからない。
時に、それと遭遇した人のその後の人生までも変えてしまうほどの恐怖体験となれば、尚更丁寧に描かないと陳腐になってしまいます。
怖い幽霊は出てきませんが、「視える人」の独話を通してイメージを膨らませるといった手法を使って描いてみました。
加門七海先生の「祝山」のような 幽霊や恐ろしい出来事は起こらなくても、ただ、淡々と語るだけにもかかわらず、最恐に戦慄する作品を描いてみたいです。
「墓場」、「毒」、「待つ」
三題お題。
果たして満足いただけましたでしょうか。
ふたば様
ありきたりの怪談じゃつまらないということで、私らしくないテイストの作品を描いてみました。タイトルは、少し大げさすぎましたか。(笑)
会話の多い作品となりましたが。先の読めるチープな展開となってしまいました。
今月は、この2作。いずれも800字前後ということで、ご容赦くださいませ。
「どんでんがえし」
女が指定した待ち合わせ場所は、築30年にはなろうという雑居ビルの地下にあった。
A4コピー用紙に黒いマジックで書かかれたBAR「楽園」の文字を確かめ、高鳴る鼓動を抑えつつ店のドアを引いた。
「いらっしゃい。」
ペンキの剥げたドア。コンクリート打ちっぱなしの灰色の壁。ろうそくが数本灯るだけの窓のない店内。ひんやりとした空気に、一瞬、墓場の中に入ったかのような錯覚に陥る。
狭いカウンター席の丸椅子に、腰をかけ、ウィスキーの水割りをダブルで注文した。
震える手でウィスキーを飲み干し、腕時計を見やる。
約束の時間は、15分過ぎていた。
「遅い。遅すぎる。」
苛つきながらタバコに火を点け、煙を吐き出す。
「待ち合わせですか?」
「まぁ、そんなところかな。」
無造作に灰皿を置くマスターの横顔を見、驚嘆し、腰を抜かした。
「や、山本じゃないか。お前、こんなところで何をしているんだ。」
「あぁ、あなたにお目にかかりたくて。お待ちしておりました。」
男(山本)は、カウンターから出て来ると、顔を近づけ右の口角を上げた。
「お前、たしか、死んだんじゃなかったのか?」
「えぇ、あなたに、毒を盛られて死にました。そう、死んだはずでしたが。」
「お待たせしましたぁ。」
その時、勢いよく店のドアが開いて、女が入ってきた。
唖然としている俺の前で、カウンターの中にいる山本の腕にしがみつく。
「スマホとか証拠隠滅していたら遅くなっちゃった。さ、こんな男置いて早く行きましょ。」
う、うぐっ。
胸が焼け付くように痛い。
「さ、さては。お前ら謀(はか)ったな。」
「ご察しの通りです。俺は、元劇団員。死んだふりなんてお安い御用。」
「死体の処理を女の私一人に任せるなんて。アンタ馬鹿じゃないの。」
「つうか、バレても自分に火の粉は降りかからないってわけだ。卑怯者。」
血反吐にまみれ、薄れゆく意識の中、女の声が響く。
「ここは、廃墟ビルの地下。誰も来やしない。アンタにふさわしい墓場でしょ。」
ふたば様
こんなお話になりました。
今月のお題三題 楽しかったです。
すぐに連想されるようなありきたりな怪談になってしまいましたが、私の住む地方では、彼岸花は、見かけません。寒冷地には、咲かない花ですよね。一部、咲いている場所があると画像を上げていらっしゃった方もいましたが、ほんの数本とのことでした。
早いもので、今年も半分が過ぎてしまったのですね。
大幅に遅れてしまった作品の数々。
そろそろ仕上げにかからなければ。
ではでは。
このへんで。
5月のお題、「あいうえお怪談」に近々アップさせていただきますね。
お暑い日々が続きます。
くれぐれもお身体ご大切に。
「田舎の風習」
数年前、大学のゼミの先輩Kから聞いた話。
差し障りがないよう地名は伏せておくね。
K先輩が育った村には、先祖代々受け継がれている独特の風習があった。
「✗✗✗の年。盆には、国内外どこに住んでいても必ず帰省して墓参りをしなければならない。」というもの。
✗✗✗とは村の神様で、数年に一度、つまり✗✗✗の年にあたる盆に行われる大切な祭祀らしい。
大学生活も板についてきた時期で、更に夏休み真っ最中。バイトやゼミの仲間との飲み会。彼女とのデート等。青春を謳歌しているうちに、田舎の村の決まり事などどうでもよくなってしまった。
「待っているから必ず戻ってこい。」
手元のスマホには、K先輩の帰省を促す親や親戚から電話やLINEが何十通も届いていたが、当の本人は、盆の最終日に間に合えば良いだろうと無視し続けた。
盆の入りの13日。深夜0時。バイトからの帰り道、ふと違和感を感じて立ち止まった。
いつしか、忙(せわ)しい人の往来や街灯は消え、気がつくと、田んぼの畦道に一人佇んでいた。両脇には、彼岸花が群生し、足元からは、カエルや虫の鳴き声が聞こえている。
K先輩にとって、懐かしい村の見慣れた夜の風景が広がっていた。
―一体どうしたってんだ。
急に寒気が襲ってきたと同時に、暗闇の中、何者かがコチラに向かってやってくる気配がした。地域的にクマやイノシシの類ではない。
じゃぁ、何だ?
暗闇に目を凝らすと、
ずるー、ずるー、ずるー
真っ黒い大きな影が、何かを引きずりながら ジリジリとK先輩に近づいてくるのが見えた。
✗✗✗か。
―早く~来いよぉ~。いつまで待たせるんだよぉ~。
翌朝、目覚めたK先輩の手には、このあたり(東京より北の地方)には、生息していないはずの彼岸花が、根が就いたままの状態で握られていたとのことだった。
以来、K先輩は、お盆になると、毎年、帰省し、ほぼ毎日墓場に出向いているそうだ。
彼岸花は、墓場に咲くんだ。その根っこって、猛毒なんだよな。
ガチで田舎の風習って怖いなって思ったわ。