毎月お題の短編練習枠(🌱初心者歓迎)

皆さんこんにちは。
一向に文章が上達しないふたばです。(´・ω・`)
己の練習に他人を巻き込んでやろうと、掲示板を建ててみました。
以下、ここでのルールを説明します。( ᴗ ̫ ᴗ )

🌱ここは、短編の練習をする為の掲示板です。

🌱毎月単語を3つ、お題として出しますので、短編の「三題怪談」を募集します。

🌱「三題怪談」とは、1つのお話に決められた3つのお題のワードを入れなければならないという“縛り”で御座います。

🌱お話の長さの目安は、原稿用紙2枚分(800字)程度。
(あくまでも目安です、越えてしまってもヨシとします)
文字数カウント↓
https://phonypianist.sakura.ne.jp/convenienttool/strcount.html

🌱お題は毎月一日に更新されます。

🌱提出期限は毎月28日までとします。

🌱お話はいくつ投稿しても構いません。

🌱初心者大歓迎。実際私もほぼ読み専なので、文章が下手っぴです。軽い気持ちでご参加下さいませ。

🌱ここで投稿されたお話は、“ご自身で書かれたお話ならば”怖話の通常投稿にあげても構いません。
寧ろ、多くの方に見ていただけるよう、ここで試し書き、本投稿で完成品といったように使って下さいませ。
何なら他サイトでも投稿されている方は、そちらへあげるのも問題御座いません。
(※他の方の掲示板でも同じとは限らないので、その都度そこの掲示板主へご確認下さい)

🌱題名も付けて頂けると助かります(題名は文字数には含みません)。

🌱感想だけのご参加も大歓迎です。

🌱明らかな荒らしコメントは即刻削除致します。慈悲はありません。

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【5月お題】

「人混み」「電話」「花瓶」

投稿期間 5/1 0:00〜5/28 23:59

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ですがまぁ…建ててみたは良いものの、私が独りで短編を書き続ける寂しい場所になりそうな気がします……

そこで!ちょっとした特典代わりと言っては何ですが、ここで投稿されたお話は、私ふたばが朗読させて頂きます。ᕦ(ò_óˇ)ᕤ
具体的に言うと、YouTubeにてその月に投稿されたお題の回答を、纏めとして朗読してアップします。
素人の朗読ですのでレベルは低いですが、創作意欲の糧になれれば幸いです。( ᴗ ̫ ᴗ )

※朗読されるのが嫌だという方は、お手数ですが文末に「※否朗読希望」とお書き下さいませ。

📚過去のお題アーカイブ
【9月お題】「彼岸」「ぶどう」「ネジ」
https://youtu.be/DlNJ68yKIfA
【10月お題】「十五夜(月のみでも可)」「図書館」「菊」
(※お題提供:あんみつ姫さん)
https://youtu.be/iA4spsQlSMA
【11月お題】「りんご」「子ども」「落ちる」
https://youtu.be/UMVBBrycZqU
【12月お題】「肖像画」「塩」「M」
(※お題提供:むぅさん)
https://youtu.be/MJmFrqUqvj0
【1月お題】 「ウシ」「晴れ」「厄」
https://youtu.be/N0tX10EOJoE
【2月お題】 「僧」「遊泳」「踊り」
Extraお題「怪僧」「宇宙遊泳」「阿波踊り」
(※お題提供:嗣人さん)
https://youtu.be/9j2vK_kKzhE
【3月お題】 「風」「証」「波」
https://youtu.be/zZoV2ce7poU
【4月お題】「サクラ」「窓辺」「人形」
https://youtu.be/kZzfmq8cNvM
【5月お題】「母」「鬱」「川」
https://youtu.be/RNqUE92-K2k
【6月お題】「クラゲ」「雨」「失踪」
https://youtu.be/BM0ataca42E
【7月お題】 「天の川」「亀裂」「写真」
https://youtu.be/RcXTXfzfKUk
【8月お題】「手を振る」「扉の向こう」「呼ばれる」
(※お題提供:ラグトさん)
https://youtu.be/omL3byV-eF0
【9月お題】「アリス」「スープ」「ハサミ」
https://youtu.be/w20FnRK-bQQ
【10月お題】「バラ」「時計」「たばこ」https://youtu.be/g_zxwy1H73I
【11月お題】「無人探査機 」「提灯鮟鱇 」「地引網 」
(※お題提供:ロビンⓂ︎さん)
【12月お題】
「プレゼント 」「空席」「信号 」
【1月お題】
「トラ」「階段」「玉」
【2月お題】
「ネコ 」「チョコレート」「箱」
【3月お題】
「ウメ 」「日記」「歌声」
【4月お題】
「駅 」「看板」「ポスト」
【5月お題】
「灯り」「公園」「針」
【6月お題】
「カッパ」「アジサイ」「自転車」
【7月お題】
「浜辺」「貝」「欄干」
【8月お題】
「ニセモノ」「蝋燭」「指」
【9月お題】
「帰り道」「ビン」「コスモス」
【10月お題】
「先生」「空腹」「筆」
【11月お題】
「橋」「ゾンビ」「忘れ物」
【12月お題】
「足音」「雪」「吐息」
【1月お題】
「ウサギ」「獣道」「目」
【2月お題】
「鬼」「酒」「身代わり」
【3月お題】
「都市伝説」「ピアノ」「ボタン」
【4月お題】
「絵本」「珈琲」「霞」
【5月お題】
「シミ」「地下」「蝿」
【6月お題】
「ダム」「悲鳴」「カエル」
【7月お題】
「夏草」「鏡」「プラネタリウム」
【8月お題】
「漂流」「雲」「ラムネ」
【9月お題】
「神隠し」「お米」「カバン」
【10月お題】
「皮」「警告」「お札」
【11月お題】
「1週間」「影」「オレンジ」
【12月お題】
「ケーキ」「透明」「チャイム」
【1月お題】
「 」「 」「 」
【2月お題】
「穴」「遅刻」「節」
【3月お題】
「足跡」「惑星」「メッセージ」
【4月お題】
「卵」「楽園」「嘘」

※追記:ここのお話を本投稿へもアップされる方へのお願い
🌱先に述べた通り、ここに書いたお話は一般の怖い話にも投稿して頂いて構いません(そもそも著作権は作者のものですから)
🌱一般投稿分は掲示板のレギュレーションから外れますので、文字数を気にせず加筆修正しても何も問題御座いません。
🌱ですが、投稿の際には題名に“三題怪談”の文字を付けないで下さい(同じ企画系列の題名が並ぶとうんざりしてしまうユーザーが現れ、揉める為。実際、過去にそういう事がありました)
🌱また、お題の単語をお話の解説欄に載せると、その単語に気を取られて純粋な短編として楽しめないので、読者的には解説欄には“掲示板より”とだけ書いて頂けると助かります。
(コメントにお題の単語をネタバレ防止で公開するのはアリです)
(ここのページのURLは貼っても貼らなくてもいいです)
🌱代わりに、投稿作のタグ欄に、お題の単語タグ3種と“毎月お題の短編練習枠”タグが知らぬ間に付いております。十中八九私ふたばが犯人なので怖がらないで下さい。

企画というより常設となるこの場所は、細く長く続けていきたいので、何卒、ご理解下さいませm(_ _)m

今月の課題、どう消化しようか、かなり苦しみましたが、
皆様、課題が難題なほど、力入りましたね。
作品数も参加作家様たちも、多かったように感じます。
ふたば様、さすがの作品出してきましたね。

次回、来月のお題お待ちしております。
でも、リレーのことも在るし、程々に。

返信

@ふたばさん
読んでいただきありがとうございます。
というか、トリック云々は完全に自分のミスです。投稿する順番を間違えたー…失礼いたしました。

書いているときは感じませんでしたが、確かに最近留守電って聞かないですよね。時代設定を変えるとかフォローのしようはありますが、尺的には難しいかな… 思いついたからといって、なんでも形にすればいいというもんじゃないですね。

ともあれ、今月も貴重な機会をありがとうございました。

返信

@ラグト さん御参加有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )

今月は3話以上書いた方が3名もいらっしゃる月となりました。難易度高めだった筈なのに皆さん凄すぎです(;゚Д゚)

お題の関係で不思議だったり不可解な現象が起こるお話が多かった今月ですが、それらとは違ったリアルな怖さのお話ですね……

袋の中身は何なのか、常連のヤクザさんのその後はどうなったのか、最後まで分からないことだらけでモヤモヤするのがまさに実話怪談といいますか、触れた闇の深さが見えなくて覗く勇気が持てないようなお話です( °-° )( °-° )

それにしても繭さんのお話とは…、これもう実質視えカノですが、同名の別人かもなので竹書房さんも読むのを許してくれる筈… (。-人-。)

返信

本当に23:59に投稿した超ギリギリ駄芽葉っぱ…orz
ちなみに題名を書き忘れていますが『膜で包めば』です……
皆様のお話とは全く違うベクトルを目指して迷走した結果がコレだよ…(´-ω-`)

…って、ラグトさんもお題短編書いて下さってる!?Σ(゜゜)
急いで読ませていただきますε=┌(; ̄◇ ̄)┘

返信

「批判を避けたいのであれば、何もせず、何も言わず、何者にもなるべきではない」

古代ギリシアの哲学者、アリストテレスの言葉だ。

本当、よく言ったものさ、上手く現代人を皮肉ってる。

皆何者かを名乗るべき人間じゃない。科学の更なる発展を目指す身でありながら、倫理だのモラルだのを破れないと宣う“彼ら”など、特にそうだ。

だが、私は違う。

臆病者の彼らが踏み込め無い研究「新たな生命の創造」こそが、私の命題だ。

「勇気がなければ、この世界で何も行うことはできないだろう。勇気は、名誉の次に価値のあることなのだ」

これも、アリストテレスの言葉だったね。

…さて、君は「有機物のスープ」というモノを知っているかな?
この地球において、生命の起源と呼ばれるものだ。

原始の地球の海には、メタン、アンモニア、二酸化炭素といった無機物が溶け込んでいた。
そして、地球誕生から6億年が経過し月が生まれ、潮汐が起こり、泡が立つことで、原始的な有機物が産まれた。そしてそれらがより高度な構造を持ち始め、複数のアミノ酸が形成された。

これらが溶け込んだ液体こそが、有機物のスープ…所謂生命のスープと呼ばれるのさ。

動物の主成分であるタンパク質の構成物質がアミノ酸だというのは知っているだろう?今時中学校の理科で習うことだ。

この生命のスープが濃縮されることで、形成されたタンパク質はやがて膜をつくり、そしてやがて細胞となった。

普通ならば、やがてここで産まれるのは単純な単細胞生物だ。
だけど私は、このタンパク質の塊が形成される瞬間に、現存する生物のDNAを含めれば、より高度な生物が発現すると考えた。

DNAはいわば、タンパク質の設計図。その設計図の文字は塩基アミノという4種類のアミノ酸によって構成される。

私は地球の生命の終着点であるヒト遺伝子のDNAをこの生命のスープに放り込んだ。DNA鎖を好きなように切って組み換えられるようハサミの役割をもつ酵素と共にね。

DNAの塩基配列を切って繋げ直すのは、近代の遺伝子組み換え技術で方法が確立している。

それを、生命のスープの中で、タンパク質の形成と同時に行うようにしたのさ。

そして、私の実験は成功した。

新たな単細胞生物が、この有機物のスープの中で誕生した。

複雑なタンパク質を膜で包んで、内部に新たな構造を持って……

まるでRPGのスライムのような見た目になったのは意外だったが、中々面白いだろう?

さて、長話が過ぎてしまったね。
今から君の仕事を伝えよう。

…この生物に、食べられろ。

おいおい、なんだい?その顔は?
「最新鋭の研究の手伝いをして、生まれ変わらせてくれるんじゃなかったのか」だって?

何も嘘は吐いていないさ。君は、あの生物に食べられ、そしてその一部になるんだ。

元々ヒトのDNAが材料だからね、その身体を維持するための食材は同じDNAを持つ生き物こそ相応しいのさ。

どうだい、ちゃんと研究の手伝いが出来て、新しく生まれ変われるだろう?

だから、さっさと食べられてしまいなよ。

おっと、そういえばアリストテレスは他にもこんな言葉も残しているんだっけ。

「若者は容易に騙される。なぜなら、すぐに信じるからだ」

はは、本当に彼は凄いなあ、古代ギリシアのヒトだとは思えないよ。

さて、

…それじゃあ、そようなら。

返信

ああ、何とか今月は間に合いました。
皆さん、先月の締め切り間違いは本当に申し訳ありませんでした。

皆さん巧くお題を消化されてて、すごいなあといつも思います。
アリスに関する教養なんかも深くて、お題小説楽しいですね。

返信

『業の深い汚いお仕事』

この話は性的な描写、一部不快な表現を含んでいる可能性があります。

知り合いの繭さんから聞いた話。

生活と学費のために風俗で働いてたことがあるのよ。
風俗って言っても、本番ありの重いやつじゃなくて、巫女服とかアリスみたいなメイド服着てマッサージするコスプレメンズエステってやつだったんだけど。

でね、やっぱり変なお客さんはいっぱいいたのよ。
自分で持ってきたコスプレを着させて、ハサミで切りまくる人もいたし、私の体液や排せつ物をスープのように飲みたいというキモ客もいたし。

そんな中にね、キモイわけではないけど、変なお客さんも時々いたの。
手のひらに載せるぐらいの巾着袋を取り出して、これを指定された駅の何番ホームの休憩室に決められた日時もっていってほしいというお使い。お礼に前金で2万、後払いで4万くれるという。お使いの裏事情は聞かないことも条件。

報酬と内容がつり合ってないので、怪しさ満点。中身を確認してもいいか聞いたけど、建前上だめって言われて、触った感じは石とか紐が入っているような感じだったけど。
やばい取引とかいろいろ考えたけど、人の多い駅のホームでそれもないでしょと思ったから引き受けた。

お使いを引き受けたすぐあと、私の常連にヤクザ屋さんがいたんだけど、背中に不動明王かなんかの入ったモノホンのおじさん。その人が預かった巾着袋に気が付いて尋ねて来たんだよね。
私が正直にお使いのことを話すと、君にはまだ先があるんだからこんな汚い仕事しちゃだめだと注意された。
いつも裏の仕事をしてるヤクザが何言ってんだろと思ったけど、そのおじさん2万円出して巾着袋のお使いを引き受けてあげると言ってきたのよ。袋を預けた人も知ってるので話をすると言う。どういうことかしつこく聞くと、今までひどいことばかりしてきたので、少しでも業を流したいとか言い出して、さっぱり意味が分からなかった。

結局、巾着袋は渡しちゃって、その後お使いのことは気になったけど、指定された時間に駅で何か事件があったっていうニュースは見てない。
ただ、ヤクザのおじさんは今回私が手にした4万は正真正銘「汚い」金だから早く使った方がいいと言うのよ。

お金に汚いも綺麗もないでしょって反論したら、いいや明確にあるんだよって返された。何から何まで意味不明だったけど、雰囲気は真剣だったから私と同じようにいいモノ食べてない仕事仲間に焼き肉ふるまって使い切っちゃった。

その後、袋を預けた人もヤクザ屋さんも二度とお店には来なかったんだ。なんだったのかなとお店をやめた今でも時々思い出すのよね。

返信

@綿貫一 さん今月3作目ですねΣ('◉⌓◉’)
しかも全部怖いお噺……
(おっかしいなぁ、今月難易度高い筈なのに……)

ちなみに私は『不思議の国のアリス』を読んだ事が無くて、そのお話の続編が『鏡の国のアリス』だというのも最近知りましたw

林檎亭紅玉さんに続く、会話のリズム感と言いますかテンポが詩(うた)のようで読んでいて楽しいです(*´꒳`*)

この息子さんは遅かれ早かれワンダーランド行き決定ですねꪔ̤̥ꪔ̤̮ꪔ̤̫

返信

@カイト さんお久しぶりです( ᴗ ̫ ᴗ )

実は本文を読むより先に叙述トリックの文字を見てしまい、初見読みにあるまじき失態をしてしまいました……
ですが、それでも中々読み応えのあるお話でした。モノが喋るなんて現象が不思議の国っぽくて、図らずもアリスらしさが出ているのが秀逸です(*´꒳`*)

若い男の一人暮らしでしたら、固定電話はそうそう置いて無さそうですし、スマホを家に忘れていたのでしょうか。
「えっ留守電っスか?いや〜、丁度その日スマホ家に忘れちゃってて、慌てて帰ったらドロボーがいたんスよ〜」
というやり取りを脳内補完していましたが、短編だといちいち説明するのは逆に邪魔になりそうなので今の文章のが良いですね(。-∀-)

オチはこれでしっかりつけれていると思います。
というより、文字数のせいでこれ以上文章を増やすのは難しいですし……
もし電話が固定電話だったら「あれ、塚本さんなんで俺の家電の番号しってんだろう…?」とか付け加えれそうですね(塚本さん一体何者なんだ感が増しそう。笑)

返信

「アリス問答」

ーー君の名前を教えてくれるかい、かわいいお嬢さん?

「わたしはアリス。アリス・リデル」

ーーではアリス、僕と少しお話をしよう。13年前の9月28日午後4時のことを覚えているかい?

「もちろん覚えているわ。昨日食べた木苺のように。明日降るお砂糖雪のように。その日はわたしの生まれなかった日だから。なんでもない日のことだから」

ーーそれは良かった、ではアリス。君はその時、病院の屋上にいたね。そこで誰かに会ったかな?

「もちろん会ったわ。高い塀の上に、卵のおじさんが座ってた。みんな彼のこと知ってるわ。ハンプティ・ダンプティのことを」

ーーそう。君はその卵男と何か話をしたのかい?

「もちろんしたわ。彼はなぞなぞが大好きだから、あれこれ訊かれて困ったわ。『なぜ渡りガラスは机に似てるか?』とか、『スープをハサミで飲むコツとは?』とか。まあそんなお話よ」

ーーそうかい。いやいや違うだろう?彼は君に訊いたはずだ。君は何かを答えたはずだ。彼はその後どうなった?

「もちろん彼は塀から落ちたわ。落ちて割れた音がした。王様のお馬をみんな集めても、王様の家来をみんな集めても、もう彼をもとには戻せなかったわ」

ーーそれはそうだろう。でも君は、落ちた後を見ていない。彼はね、フェンスを乗り越えて、確かに地上に落下した。だけどね、地面に叩きつけられた直後、まだかすかに息があったんだ。彼は言ったよ。『屋上で、アリスに答えを教えられた』と。そして彼は息絶えた。屋上にいたのは君だ、アリス!彼に何を吹き込んだ!

「わめくなドクター。この娘(こ)が起きるぞ」

ーーアリス、君は。

「私はアリス。アリス・リデル。この娘の悪夢から生まれた、鏡の中の女の子。そうね、たしかに彼は訊いたわ。『妻はなんで自殺した?お前はアイツになに言った?』って」

ーーそれで君はなんと答えた?

「もちろん『お前の夫はわたしのことを、裸に剥いて舌なめずりして、たいそう喜ぶ変態だ』と、あの女に言った通りのことを。一字一句、寸分違わず。聞き漏らさないよう、ゆっくり、はっきり、大きな声で答えたわ」

ーーそれで……父は落ちたのか。それで……母は死んだのか。

「そんなことを訊くために、わざわざ医者になったのね。こんなことをするために、わざわざこの娘に近づいた。恋人になって、眠らせて、過去を覗いてみたかった?あの親にしてこの子あり。親はロリコン、息子は出歯亀。救いがないったらありゃしない」

ーーそれでも父は……僕にとっては優しい父親だったんだ。

「わたしにもとっても優しく口づけしたわよ、身体中ベタベタと。カエルに吸い付かれているようで鳥肌が立った。もういい?出歯亀息子さん。そろそろわたしも眠たいわ。せいぜいこの娘と仲良くね。もしもこの娘を泣かせたら」

ーー泣かせたらどうするかい?

「明日始まって昨日まで続く、終わらないお茶会にご招待するわ。わたしはアリス。アリス・リデル。悪夢の中で、また逢いましょう?」

返信

お久しぶりです、数ヶ月ぶりの参戦です。間に合ってよかった……

今回、柄にもなく叙述トリックに挑戦してみました。手垢のついたネタですが、最後のオチがうまく効いているか、それとも失笑ものか……
忌憚なきご意見をいただけると嬉しいです。

返信

『メッセージ』

「アリスに気をつけて」
 留守番電話は、か細い女の声でそれだけを告げた。
 アリス? なんのことだ? 
 思わず俺は室内を見渡す。ごく普通の若い男の一人暮らしだ。「アリス」らしさはない。
「間違い電話か」
 あえて声に出したのは、そこはかとない不安を打ち消すためだった。妙な訛りのある女の声は、脳裏で点滅のようにリフレインされている。
 これから大事な仕事だってのに、出鼻を挫かれた気分だ。
「気分転換に、何か食うか」
 まだ時間に余裕はある。俺は勝手知ったる手際のよさで、電気ケトルで湯を沸かし、粉末スープを用意する。
 小気味良い音でお湯がカップに注がれ、好物のスープの香りが立ち上る。心を落ち着かせるのにちょうどいい。
 が、その時。
「悪い人には、バチが当たるよ」
 また、女の声がした。
 総毛立ってあたりを見渡す。電話ではない。室内には俺以外誰もいない。先程と何も変わりがない部屋━━いや、違う。
「バチが当たるよ」
 刃を閃かせて、ハサミが喋った。
 さっきスープの封を切ったやつだ。それが、持ち手を足のようにして自立している。
「バチが当たるよ」
 今度は、手の中のカップから。恐る恐る見ると、白濁した液体の底から、ぽかりと赤い唇が浮かび上がってきた。
「悪い人には」
「バチが当たるよ」
 ハサミとスープが迫る。動けない。もうダメだ。
 その時。
「ただいまー」
 間抜けな声と共に、玄関が開く音がした。
 もう帰ってきた? 予定と違う! 
 いやでも、これは天の助けだ。この訳の分からない空間よりも、恐ろしい場所なんてありはしない。
「助けてくれ!」
 俺は叫んだ。軋むような体を動かし、カップを放り捨て、この部屋の家主に縋りつく。
「ここはなんだ、化け物屋敷か⁈」
「え、あんた誰⁈」
「いいから、俺をここから出してくれ〜〜!」
・・・・・
「いや〜、参りましたよ。最近よく聞いてはいたけど、まさか俺んちに入るだなんて!」
 崇村は、朝からこの武勇伝を吹聴し回っている。犯罪者の逮捕に一役買った経験なんて、人生でそうあるものではない。
 しかし、目の前の相手は驚いた様子もなくにこやかに聞いているだけなので、少し物足りなかった。
「塚本さん、リアクション薄いッスよ」
 つい口を尖らせると、彼女は笑って言った。
「あら。私、崇村さんに忠告したわよ。留守録に入れといたんだけど」
「え?」
「空き巣に気をつけて、ってね」
(954文字)

返信

御参加の皆様へ🌱

9月のお題短編の締め切りは、明日28日の23:59までで御座います。
お忘れのないようお気を付け下さいませ( ᴗ ̫ ᴗ )

(…間に合えふたばっ!)

返信

@ふたば 様
もう今月は、三作で辞めるつもりだったのですが、先輩の体験談を聞いているうちに、想像の翼が広がってしまいました。
私も、本投稿の表紙画像好きです。
写真画像やイラスト画像で著作権に問題のないフリー素材を選んで投稿しています。
喜んでもらえて嬉しいです。
ハサミはハサミでも、キレないハサミ、怖くないハサミをお題にしてみました。
アリスは、固有名詞でしか使えないですね。
ある意味限界と制限がある言葉は、創作意欲が湧いて来ます。
実は、あと3つほど構想とプロットは出来ていますが、さすがに7作は冗談じゃないレベルなので
今回で、本当に打ち止めとします。
来月、また新しいお題がんばりますね。
そろそろ、ロビンさんの第4階リレー怪談の詳細が決まりそうですね。
あと5枠でしょうか。
20日までに埋まるといいですね。

返信

@あんみつ姫 さん
ひと月に4作品は新記録ですね(๑˃̵ᴗ˂̵)!

Yさんはカッコ良くて優しい先輩なのですね、ヘルパーにハンティングした所長の気持ちもよく分かります(*´꒳`*)
例え亡くなった方でさえも、人間として扱う心の広さに好感が持てます。
怖い思いをしてしまったTさんはちょっとかわいそうでしたけど。笑

個人的には本投稿のサムネイルが可愛くて好きです´ᯅ `

返信

ふたば様
調子に乗って四作目を投稿します。
先輩から聞いた話です。
もう、これで最期にします。
よろしくお願いいたします。

返信

「ハサミ将棋」
先輩ヘルパーのYさんは、お酒やタバコが大好きな愉快な方です。
元風俗嬢だったと憚ることなく公言し、怖いものなんかねぇ。と初対面の利用者さんやご家族に対しても、抜群のコミュニケーション力で、すぐに打ち解けてしまいます。
ちょっとしたことで落ち込んだり、凹んだりするヘルパー仲間を、「そんなことで、いちいち気にすんな。爺婆死んだわけじゃねーだろ。」と励ましてくれる優しい一面もあり、底抜けに明るいYさんがお休みの日は、火が消えたように静かで何か物足りない気持ちになりました。

今季一番の寒さを迎えた日のことでした。
新人看護師のTさんが、血相を変えてへルパーステーションに駆け込んできました。
Tさんは、東南アジアのご出身で、この春、日本の看護学校を卒業し、併設してある特別養護老人ホームの看護師として着任したばかりでした。

Tさんは、昨夜、夜勤中に、洗濯室から微かにパチリパチリという音がするので、乾燥機を止め忘れたのかもしれないと思い、洗濯室を覗いてみました。
すると、うすぼんやりとした常夜灯に照らされた着物姿の男性が、こちらに背中を向けて将棋を指しているというのです。
聞こえてきたパチリパチリという微かな音は、将棋の駒を置く音でした。

「こんな時間になにをしているんですか。」と問いかけたところ、男はゆっくりと振り返り、Tさんに向かって、
「やぁ、久しぶりだね。アリスちゃん、元気だったかい。」
目玉のないまっくろな目が、しばらくの間、Tsさんを、じっと見つめていたそうです。
Tさんが驚きのあまり、その場に動けないでいると、男は、右肩を落とし、目を伏せ、煙のようにあとかたもなく消え去ってしまったのだそうです。
洗濯室に幽霊が出るという噂は聞いていましたが、こんなにリアルな話を聞くのは初めてでした。

Yさんは、ストックしてあったク○ール○ップスープをマグカップに入れ、ポットのお湯を注ぐと、涙を浮かべながら怯えているTさんに差し出しました。
「いやぁ、まさかこんな形で出るとはなぁ。Tさん、アリスちゃんに似ていたんだね。きっと。」
と話し、
「悪いねぇ。その幽霊、私の古い友人で斎藤さんっていうんだよ。私がキャバクラに努めていた頃の常連さんでさ。当時、店にいた、東南アジアから出稼ぎに来ていた若い子アリスに入れあげて、とうとう自己破産までしちまった。将棋が好きでさ。時々、私、相手してやってたんだけど。日本語もろくに話せないアリスには、難しすぎたんだな。いつまでたっても、駒の動かし方すら理解できなかったのよ。

しょうがないから、将棋が出来なくても簡単に遊べる「ハサミ将棋」を教えてやったんだ。
斎藤さんもアリスちゃんも喜んでさ。以来、時間を忘れるほど楽しんでいたんだ。
たかが、「ハサミ将棋」だよ。笑わせるって。
斎藤さんは、その後肝硬変を患い、しばらくの間、隣の病院に入院していたんだけど。すぐ裏が飲み屋街じゃん。勝手に夜、病院を抜け出して、アリスに会いに来るんだよ。斎藤さんは、病院に入院している手前、飲めないから、ふたりで仲良く「ハサミ将棋」をして遊び、巡回の看護師がくる少し前に病院に戻る。客とキャバ嬢というよりは、中の良い父と娘みたいに見えた。
そんな嘘みたいな時間、そう長く続くわけ無いじゃん。

その後、アリスちゃんは、不法滞在外国人ということで、自分の国へ強制送還。斎藤さんは、肝硬変が悪化して、高齢のひとり暮らしは、そう長く続かなくて、結局、特養で最期を迎えた。一度面会に行ったけど、家族以外は駄目だって言われ門前払いを食らったの。頭にきて、喫煙室でタバコ吸っていたら、ここの所長に目をつけられて、「もうあなたもいい年なのだから、夜のお仕事辞めて、うちに来ない。未経験でも働けるわよ」ってハンティングされたんだわ。
キャバクラも、行政や警察の介入があったりして、なんやかんやとめんどくさいことになってたし、それこそ、いつまでもキャバクラ嬢っていうのもどうかと思ってね。即、辞表を書いて辞めたんだわ。キャバ嬢とヘルパー、どっちも接客商売だからさ。お酒提供する以外は、似ている所あるから。

今、洗濯室として使用している部屋は、、昔、娯楽室だったんだよね。
斎藤さん、ここに来て、たったひとりで将棋指してた。
今の娯楽室にある、月刊「将棋」は、斎藤さんの蔵書。
所長も私も、斎藤さんを知る人達は、捨てるに捨てられないって話してさ。

「なんだよ。ゆかり、なにか言いたげだけど。」
「いえいえ、なんかいい話だなって。昭和の一番羽振りの良かった時代を思い出してしまいました。」
私は、胸にこみ上げるものがあり、そう答えるのが精一杯でした。
Yさんの頬も、キラリと光っていたように思います。
その場に居たヘルパーたちは、皆 俯き、言葉を発することも出来ず立ちすくんでいました。

Yさんは、ぷいっと横を向き、Tさんに、
「こら、スープ覚めてるじゃないか。ちゃんと飲んで。」
と促しました。
「すみません。私、泣いちゃった。アリスさん、家族のために働いていたんですね。今、どうしていらっしゃるのかしら。Yさん、お時間のある時でいいので、ハサミ将棋、私にも教えて下さい。」
Tさんは、そういうとYさんに向かってお辞儀をしました。

「ちょっと、そういうの止めてくれない。斎藤さんの幽霊、しばらく、見かけなかったから、てっきり成仏したと思っていたんだけどね。あのバカ、アリスに似た子を探して、未だにふらふらと飲みに行ってたんだろな。Tさんさぁ、あんた見える人みたいだから、お願いがある。時々、深夜勤の時でいいから、会いに行ってやって頂戴?幽霊だけど、元は人間。いいヤツだったんだ。」
「え?でも、それって。」
「いいんだよ。そのうち、飽きれば成仏したくなるよ。アリスちゃんが迎えに来てくれなかったら、私が、引っ張っていくわ。安心せぃ。」
「死因は、肝硬変ですか。」

「最終的には、ターミナル病棟に移ってるね。だから、酒なんか辞めてさ。スープか味噌汁で我慢しとけばよかったんだよ。酒は、飲むもので、飲まれるもんじゃねぇんだ。」
「そうですよね。私もそう思います。」
Tさんは、頷くと、すっかり覚めてしまったスープを嬉しそうに飲み干しました。

返信

@ふたば さん
クトゥルフ神話TRPGとSAN値、(・・?だったのでニコニコ大百科で調べました(笑)
ラヴクラフトが原作のゲームがあるのですね!RPGゲームをほぼやった事が無いのですが…勢いで書いた話にそんな雰囲気が出ていたとは(;゚Д゚)
一般投稿枠で続編を書く予定なので、彼女達の秘密が明らかになるかも…です。

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@rano_2 さん今月も有難う御座います( ᴗ ̫ ᴗ )

これまた難解なお話ですね(・・;)
アリスに、エリサに、スープに、緑黄色の……、こう言うクトゥルフ神話TRPGシナリオありそうですね。
知ってしまったらSAN値が削れそうと言いますか、知ってはいけない背徳的神話生物との関わりがありそうと言いますか、知りたいという探究心と知ってはいけないという危機感が半々で残るお話でした(л・▽・)л

2人だけの約束と聞くと、ちょっとドキドキする様な感じがしますが、どちらかというとビクビクの方が強いですね(@_@)

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@ゴルゴム13 さん
簡単に殺せない方法での殺人の方が、執着と言いますか怨みの強さが感じられたヒヤッとしますよね(・・;)

果たして、今月は正しい用途でハサミを使う方は出てくるのでしょうか…(°▽°)?

ちなみに私はやはりアリスといえば、某弦樂団とそのサークルが手がけるprojectに出てくる人形使いさんが真っ先に思い浮かびます(*´꒳`*)

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