俺は驚いた。
「殺されたって誰に?」
「その日はさ、いつもより親からの虐待が酷かったんだ。
仕事の失敗でね。
さくらさんに花瓶を投げつけてしまったんだ、気づいたときには遅くてさ、さくらさんの頭からは血が溢れてね、それを見た父親は逃げたけど、ふっきれた母親は台所から包丁を持ってきてさくらさんを切りつけようとしたんだ」
「そんな…まともじゃない!」
「あぁそうだ。
間一髪避けたが腕に深い傷を負った。さくらさんは2階にあがり鍵を閉めて押し入れに逃げこんだんだ。
あいにくスペアキーはさくらさんの部屋にあったからしばらくは手をだせない。
だが、さくらさんは腕から流れる血を見つめて急に生きる気力が完全に抜けてしまったんだ…。
…さくらさんはその傷口を手でえぐった。」
「気持ち悪くなってきた」
「さくらさんはそのまま死んだ…。
押し入れの中は血の海さ…。」
「なんか悲惨だな…ちょっと待てよ、それとこれとなんの関係があるんだよ」
「実はな……」
ここでTが口ごもる。
「何だよ」
「さくらさんは自分を見捨てた人に憎しみを持った。
人間を激しく憎んだ。
誰もかも不幸になればいいと…」
「で?」
「押し入れの中には血で殺してやるって書いてあった…、何度もね…」
「だから何の関係が…」
「その次の日、さくらさんの両親が死んだ。見るも無惨な姿でね、次の日から次々とクラスメートが死んでいく………。
これで噂ができたわけだ。
さくらさんっていうね」
「でも関係ねーじゃん、俺達にはさっ、復讐はすんだんだろ、ってか意味わかんねーよ」
「あぁ復讐は終わったはずなんだ……。
だけどな…」
ガタッ。
突然2階から物音がする。
その物音に敏感に反応する俺ら。
「気のせいだよな…」
急に俺は怖くなった。
なぜだかわからない。
「だよな。
続きを話そう。」
ガタッ。
「……………………」
また2階から物音がする。
「行ってみるか…」
Tが突然言った。
マジかよ…。
でも怖じけついたと思われたくねーしな。
俺は自分に何度も気のせいと言い聞かせついて行った。
2階にはなんも変化もなかった。
ただ、押し入れが少し開いていた。
続く。
怖い話投稿:ホラーテラー 桜さん
作者怖話