私はあるアパートに引っ越してきた。
親に縛られていた私は晴れて自由の身になれた。
私は荷物の片付けをしていた。夕方頃すべて終わり何をしようか悩んでいると突然チャイムが鳴った。
急いでドアを開けると私と同じくらいの女性がいた。
顔はひどくやつれている。
突然の訪問者に私はアタフタしていた。
「隣に住んでいる○○です」
その女の人は目が悪いのか焦点があっていない。
私は隣人に挨拶するのを忘れていたので来てもらって申し訳ないと思った。
「あっここに住むことになった響です。よろしくお願いします」
そういい頭を下げた。
女の人はそのまま右隣の部屋へと戻って行ったのである。
私はすぐに左隣の人にも挨拶をしに行った。
家に入り夕飯の支度を始めていた。
やばい、卵がない。
オムライスを作ろうとしたが卵がないことに気づき、買いに行くことにした。
あぁ~ここに来る前の買い物でどうして気づけなかったんだとへこんだ。
ガチャ。
私は出た瞬間心臓が止まるかと思った。
女の人が立っていたから。
「あっあのぉ」
私は恐る恐る話し掛けた。
「今からお出かけですか?」
その女の人は笑顔でいった。
「はい、卵を買いに…」
「よかったらどうぞ」
と女の人は卵をひとぱっく差し出した。
えっ!
なんでわかったんだろう。
エスパー!?
「いっいいんですか?」
「もちろん」
「お金払います」
「いいんですよ」
そういい、また部屋に戻って行った。
私は何度も心の中で感謝し、いい人だなと思っていた。
無事夕飯を終え、テレビを見ていた。
そろそろお風呂に入ろうかなと立ち上がる。
ピンポーン。
チャイムが鳴り慌て駆け出す。
ドアを開けるとまた女の人がいた。
「どどどっどうしたんですか?」
あまりの驚きに動揺を隠せない私。
女の人は満面の笑みで
「チョコレート、好きでしょ?」
と言って差し出してきた。
確かに私はチョコレートが大好きだった。
偶然だよね…。
そう思い、
「ありがとうございます」
と言ってうけとると女はまた部屋に戻って行った。
私は部屋に戻り、チョコレートの箱をみて悩んでいた。
どうしようかな…。
何故か怖かった。
ごめんなさい。
心の中で言い、私は捨ててしまった。
私はその夜お風呂に入り、眠った。
朝、その日の目覚めはよかった。
親がいないとやっぱりさみしいなと思いパンを焼いていた。
ピンポーン。
チャイムが鳴り向かうと女がいた。
「チョコレート、どうでした?」
ドキッ。
女は笑みで聞いてきた。
目が笑ってない…。
「おいしかったですよ~、バッチリでした!」
「そう…ですか」
女はそう言い部屋に戻って行った。
私は朝食を終え、会社に向かった。
「そういえば一人暮らし始めたんだって?」
休憩のときに同僚に言われた。
「うん、まぁね」
他愛のない会話をして仕事に戻った。
仕事が終わりアパートに戻ると部屋の前に女の人がいた。
私は咄嗟に身を隠した。
女の人はずっとチャイムを鳴らしている。
私は怖くて怖くて友人に電話してその日は友人の家に泊まった。
しかしどっちに戻らなくてはいけない。
朝はやく起きてアパートに向かう。
鍵をバックから探してると隣の部屋がガチャリと開いた。
私は鍵を見つけ、すれ違いのように部屋に入った。
ピンポーン。
予想通りにチャイムが鳴り怖くて身をかがめる。
帰って…。
何度も鳴るチャイム。
私は会社に休むと伝え、部屋の隅で縮こまっていた。
………………。
チャイムがやみ、私は安心した。
時計を見るともう夕方だ……。
背筋がゾッとした。
警察に連絡しようか悩んだ。
でも直接的的ではないよね?
私はそのまま眠った。
次の日、会社のため部屋をでると女がいた。
「残業だったんですか?」
「えぇ、まぁ…」
「これ、あげます」
ちょっと大きめの箱。綺麗に包装されている。
「……ありがとうございます」
「捨てないでくださいね」
その言葉にドキリとした。
急いでドアを閉めた。
ガサガサ。
開けると思わず顔をおった。
猫の死体だった。
私は猫が大好きだった。
余計悲しくなった。
腹には荒い縫い目があった。
どうしてこんなことを………。
私はすぐに警察に連絡をした。
警察はすぐに来て猫や私にいろいろ質問してきた。
猫の腹からは大量のチョコレートが入っていた。
隣に女はいなかった。
大家さんによるとずっと空き家だったらしい。
あの女は一体……。
私はずっとブルブル震えていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 響さん
作者怖話