2年前に友人Aから聞いた話ですが、実話なので何のオチもありません。
当時Aは離婚したばかりで、アパートの一人住まいでした。
悪い事は重なるもので数ヶ月後に会社は倒産。収入源を絶たれたAは、悩んだ末実家に戻る事にしました。
Aの実家は両親と祖母の3人暮らし。祖母は喜んでいましたが、30半ばで実家暮らしは、近所の目もあり居心地の良いものではありませんが、金銭的な事もあるので気にはしていられません。
不景気でひと月程経っても就職先は中々決まらず、Aは日中は就職活動にあて夜のバイトをする事にしました。飲み屋のバイトで帰宅時間は毎日午前2時過ぎ。
週末でバイトがいつもより遅くなり、Aが歩いていると家まであと数十mというところで電柱の陰に人影が見えました。
(まさか通り魔や変質者じゃないだろうな…)
と警戒しながら歩いていると、人影が電柱から飛び出してきました。
出てきたのは20才くらいの女で、胸元がはだけ顔は殴られたように腫れ上がっていました。
「!?大丈夫ですか?何かあったんですか?」と尋ねると女はAの顔を睨むように見回し一言
「おまえじゃない…」と呟きAの目の前で消えてしまいました。驚いたAは逃げるように家に駆け込みました。
翌朝家族に話しても「うちの前で人が死んだなんて事はない。酔っ払っていたんじゃないのか?」と誰も相手にしてくれません。
おかしいな、と思いましたがそれ以上は触れない事にしました。その日はバイトも休みでゆっくりしていたのですが…
翌日のバイト帰り、女は立っていました。
(うわ〜…またいるよ)
と思ったAは道の端により下を向きながら歩いていると、気づけば下から覗き込む女の顔。そして一言
「おまえじゃない…」
そう言って消えかけた時
「どうして!…君は誰を探しているの?」
怖かったけど毎晩立たれてはかなわないと思い、Aは意を決して聞きました。
Aを見る女は悲しそうな顔で何も言わず消えてしまいました。
その後も女はAのバイト帰りに必ず立っていました。結局Aがバイトしている間の1ケ月ちょい、毎日のように立っていました。
その後就職したAに女がどうなったのかは分からないそうです。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話