初投稿です
中学生の時の話なんだけど、
今までは親の買ってきた服を着ていたのだが、
「この歳になったんだから自分の服は自分で買う」
とか言って友達引き連れて、若者が集う街に出かけた。
初めて来る土地、人がうじゃうじゃいて、お洒落な店もいっぱいある。
2人とも興奮して
「俺達、すげえ大人だな」
とか言って浮足立っていたが、どういったお店に入ればいいか分からずただウロウロしていた。
そこに金髪で帽子を被った顔立ちの整った男が馴れ馴れしく
「お兄ちゃん達、どこから来たの?」
と話しかけてきた。
今思うとただの呼び込みなのだが、
不安な俺達にとってはすごく親切な人に思えた
俺達は初めてこの土地に来て、服に関しても初心者なので困っている事を伝えると
「よっしゃ、付いておいで。うちの店でお洒落にコーディネイトしたるわ」
俺達はすごく頼もしく思い、
やっと服が買えそうだと
その帽子の男に付いていった。
しばらく歩くと、人気の少ない路地に出た。
俺は
「後、どれくらいで着きますか」
と尋ねると
帽子の男は
「ほら、もう着いた。ここやで」
え………
そこには今さっきまで並んでいた店とは全くもって違ったボロいマンションみたいなビルがあった
ボー然とする俺達をよそに
帽子の男は
「こっちこっち」
と地下への階段を降りて行く。
さすがに何か怪しいなと思ったが、断って引き返す勇気も出ず、
俺達は言われるがままに付いて行く
帽子の男がドアを開けて店内に入ると俺達も続いて中に入る
店の中はひどく狭かった
服が棚に並べられてはいたものの
いわゆる親父世代が着てそうな服ばかりで値札も付いていない
客も俺達しかいない
ここは適当に服を見て、
気に入った服が無かった
と言って、店を出ようと思っていたが
帽子の男が話しかけてきて
言い出すタイミングを掴めずにいた時
店に短髪で髭の男とスキンヘッドの男が入ってきた
2人の男達は
帽子の男と
お疲れ~とか言い合っている
俺は思いきって
「すいません、気に入った服が無いのでまた来ますね」
と言うと
スキンヘッドの男が
「もっと見ていってくれへんかぁ」
と高圧的な態度で言ってくる
俺達はビビって
じゃ、じゃあ
とか言って再び服を見る
恐る恐る1番安そうな無地のTシャツの値段をきくと
「2万や」
にっ、2万…?
これが?
これはさすがにきついと思い、
「すいません、お金無いんです」
すると、帽子の男も態度が急変し
「嘘つけ、さっき予算3万って言ってたやろが」
俺達は
しまった…完全に悪徳な店だと気づいたが時すでに遅し
携帯も地下なので圏外になっている
逃げようにも出口に髭の男が立ち塞がっている
スキンヘッドの男もすごい剣幕で
「兄ちゃん嘘はあかんで。さすがに俺もキレてしまうで。気つけよぉ」
俺達はもう頭の中がごちゃごちゃで
ただ服を手にとっては棚に直すをしていたら
金髪の男が
「はよ決めろやっ。いつまでも悩んでんとちゃうぞ」
と大声で怒鳴ってきた
スキンヘッドの男も
「こいつがキレるのも仕方ないでぇ。早く選んだらどうや。そないにしてたら、おちょくってるんかと思ってしまうで」
と言って、服を手に取って、俺達を壁に
押し付け
「もうこれ以上待てんわ。この服買いや。なっ。3万ぴったりや」
と言って、差し出しだしてきた
隣では帽子の男が睨みつけてくる
観念した俺達は手持ちの3万円を渡し
男達は満足そうな笑みを浮かべ
やっと解放された
すでに外は薄暗くなっていた
せっかく貯めた貯金の3万円で得たものは
真っ赤な生地で裏と表に紫の文字で、でかでかと『HOUSE』とプリントされたTシャツであった
友達は半泣きでヨレヨレの染みの付いたタンクトップを手に握りしめていた
怖い話投稿:ホラーテラー ヤメカニさん
作者怖話