みなさんは『アンパンマン』のテーマソングの歌詞に、違和感を感じた事はありませんか?
そもそも正義の味方としてアニメで描かれるアンパンマンなのに、歌詞中に
「愛と勇気だけがともだちさ」
という一文があるのは、少し不自然ではないでしょうか?
実は「アンパンマンマーチ」の作者、やなせたかしさんは、戦争体験者で実際にやなせさんの弟さんは神風特攻隊として、出撃して若くしてお亡くなりになられました。
自信は持てませんが、おそらくこの曲はやなせさんが亡き弟さんのことも含めて唄われた曲なのではないでしょうか。
私は小学生の頃に、この歌詞に違和感を覚えました。と言っても、深い意味ではなく「友達少なっ!」という少し的外れなものでしたが。
ですが、年を重ねるごとに歌詞の内容の深さというか、深刻さに気づき、ますます変な気分になりました。
…子ども向けのアニメなのに、歌詞の内容全体が重いのです。そして、仲間の大切さを一切説いておらず、とても孤独なのです。
「そうだおそれないで、みんなのために」とありながら、次に「愛と勇気だけがともだちさ」と来るのです。
「なんのために生まれて、何をして生きるのか。答えられないなんて、そんなのはいやだ!」
という歌詞も、ありきたりな正義感的なものではなく、「お国を守るために生きてきたんだって胸を張って言いたいのだ」と読みとることができます。
この部分だけではなく、「だから君はいくんだ、ほほえんで」「いけ! みんなの夢、まもるため」など、歌詞全体がとても孤独で悲しいのです。
このとても孤独な戦いを強いている歌詞を、子ども向けアニメで流しているのですから、やなせ氏の『アンパンマン』に込める気持ちが垣間見えるとおもいます。
私は『アンパンマンマーチ』を思い出す度に、死ぬ為に出撃する家族や友人をどういう気持ちで見送り、そしてどれだけの思いを抱えてこれまで生きてきたのか…それこそ、孤独な戦いを今尚続けているであろう、多くの戦争経験者の方を想います。
「愛と勇気だけがともだちさ」と頑なに言い切る、やなせ氏の切ない気持ちに泣きたくなるのです。
「なんのために生まれて、なにをして生きるのか。こたえられないなんて、そんなのはいやだ! 今を生きることで、熱いこころ燃える。だから君は行くんだ。ほほえんで」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー ニャージさん
作者怖話