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短編2
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女の願い

今から10年以上前、実際に体験した話です。俺は家が農家だったので、地元から少し離れた農業高校に入学しました。

農業科・酪農科・林業科・土木科があって、俺が入学した農業科と酪農科は地方出身者が多く、1〜2年生は強制的に寮に入らされました。(3年生は通える人は自宅から通学)

寮は1年生2年生各2人の4人部屋(3年生は別棟)で、同部屋の先輩は優しい人達だったので楽しく過ごしていました。

ある日実習で遅くなり校舎から寮まで帰る途中、同部屋のSと歩いていると後ろから足音が聞こえてきました。振り向くと誰もいません。

「なぁS、何か足音聞こえなかった?」

「気持ち悪い事言うなよ。それでなくても薄気味悪い道なんだから」

そう学校の敷地内は深い木々に囲まれており、車の音など聞こえずとても静かでした。校舎から寮までは徒歩10分。外灯はありましたが、1人では歩きたくないような道です。

Sの言うように気のせいか?と思い歩き出したのですが、するとまた足音が聞こえました。今度はSにも聞こえたようで、2人でほぼ同時に振り向くと……

10mくらい後ろには俯いた女、長い髪で淡いピンク色のパジャマに裸足の女が立っていました。薄暗くてあまりよく分かりませんが、土が付着したように黒っぽい斑点が付いています。

ここは学校の敷地内で部外者がいる事、ましてや人の後をつけるなんておかしいと思いました。

Sもそう思ったらしく、どちらからともなく俺達は走りました。全力で走り寮まであと5分くらいになった所で、Sが付いてきてない事に気づきます。

俺は怖いながらも振り返ると、やはりSの姿がありません。俺は立ち止まりSを探しました。

「…おいS……S!」

警戒しながら戻ると、道から逸れた木の下に人影がありました。

「Sなのか?」

人影は反応しません。少しずつ近づいていくと、学生服らしき格好にカバン、Sであると確信した俺は「何やってんだよ、心配したんだぞ」と隣に行くとSは立ち尽くしていました。

「気持ち悪いから早く帰ろう」と話しかけるとSは黙って指差しました。そちらを見ると…

「うわっ!!」

俺は驚いて尻餅をつきました。地面から人の足が飛び出していたのです。

急いで先生に伝えると、警察が来て色々事情聴取を受けました。

後日捕まったのは女性の旦那でした。殺したが隠す場所を探していて、この学校の敷地内なら森が深いから分からないだろうと埋めた供述。

先生から聞いた話ですが、先生の若い頃にも同じように人が埋められた事があったそうです。

その後何事もありませんでしたが、あの日の事を聞くとSは走っていると急に体が重くなり、何故かあの場所に足が向いていたそうです。

「早く見つけて欲しかったのかな」

そうSが寂しそうに言っていたのを今でも覚えています。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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