あれは、僕がちょうど14歳の誕生日を迎えたばかりの、あついあつい真夏の日だった。
僕の家はお父さん、お母さん、お兄ちゃん、そして僕、の4人家族だ。
僕達家族は、いつもみんなで仲良く暮らしていたんだ。
お母さんは優しかったし、お父さんは、たまに帰りが遅くなることもあったけど、休日にはよく遊びに連れて行ったりしてくれていた。
そしてお兄ちゃんは、僕より2つ上で、強くて優しくて、頭も良かったから僕の憧れだったんだ。
だから、僕もいつかはお兄ちゃんみたいな人になりたい。
って思ってた。
僕達は毎年真夏のこの時期になると、おばあちゃんの家に帰ることになってる。
おばあちゃんは、遠い田舎の村に住んでいて、いつも見たことのないお菓子をくれるから大好きだった。
つまるところ、僕は家族みんなが大好きだったんだ。
おばあちゃんの家に行く日の前日、晩御飯はそれはもうビックリする程ご馳走だったんだ。
理由はわからなかったけど、こんなご馳走はめったにないしすごく嬉しかった。
僕は1年ぶりに会うおばあちゃんが、今年はどんなお菓子を用意してくれているだろうかと、楽しみにしていたんだ。
でも、その日の晩のお兄ちゃんはなんだかいつもと違って、機嫌が悪いみたいだったんだ。
気になった僕は
「何か悪いことでもあったの?」
って聞いたんだ
でもお兄ちゃんはなんとなく哀しそうな顔で
「なんでもないから、気にすんな。」
「おまえはもう寝ろ。」
とだけ言って、自分の部屋に行ってしまった。
僕は少しだけ気になったけど、明日は朝早いし眠気には耐え切れず、その日は寝ることにしたんだ。
おばあちゃんの家に行く当日の朝、準備はもう昨日のうちに出来ていたので、朝早くからの出発だったためか、お兄ちゃんはとても眠そうだった。
おばあちゃんの家に向かう途中の車の中で、僕が眠りから覚めかけていたときだ。
どこからだろう、すすり泣くような声と、慰めるような声が聞こえてきたんだ。
誰が泣いているのか、どーして泣いているのか気になってなんとか起きようとしたけど、意識も薄く眠かった僕は、気づくとまた眠りについてしまっていた。
「ほら、起きろ!着いたぞ。」
というお兄ちゃんの大きな声で目が覚めると、僕達を乗せた車はもう、おばあちゃんの家に到着していた。
※また分割でごめんなさい。
続けさせていただきます。
怖い話投稿:ホラーテラー 鏡の女さん
作者怖話