あれはおれが小学生だった時の話。
夏休みに田舎のばあちゃん家に遊びに行ったんだ。
田んぼとか畑ばっかの、山々に囲まれてるすごい田舎で、コンビニもないような所。
山に行けばカブトムシやらクワガタやらがいて、川に行けば魚がたくさんいてさ、都会育ちのおれにはかなり新鮮だった。
空気もおいしくて川も澄み切ってて、川の水をまんま飲めるくらい、自然豊かな所なでさ。
そんなある日、そこで友達になった奴らと川遊びしてたんだ。
やっぱガキってすぐに誰とでも仲良くなれるじゃん?
そんなノリでキャッキャッしながら魚捕りとかしてて。
そしたらおれ、足の届かない深さまで行っちゃってさ、あれよあれよという間に溺れて激流に流されちゃったんだ。
もうとにかくバニックだったよ。
友達は皆何か叫んでたりしてたんだけど、全然聞こえなくて。
視界の友達は段々小さくなって、どんどん流されてって。
薄れゆく意識の中、ガキながらにして「あぁ、おれもう死ぬんだな」って思ったな。
そしたら誰かに手を掴まれたんだ。
グイグイ引っ張られるんだよ。
目つむってたから誰かはわかんなかったけど。
てかそんな余裕なかったしね。
そこでおれは完全に気失った。
気づいたら川岸に寝転がってたんだ。
あれ‥おれ生きてんのか‥
ここどこだ?
見渡すと、そこは木々に囲まれた沼(小さな湖?)みたいな所だった。
木漏れ日に所々が照らされてて、時々鳥のさえずりが聞こえるような閑静な場所。
そしたら、いきなり沼の中から変な生き物が出てきたんだ。
人間みたい‥だけど確実に人間じゃないなって思ったよ。
頭はツルツルのハゲで体は深緑色で、なんか体表がヌメヌメしてる感じでさ、そのくせ目が超でかくて。
手には水かきみたいのがついてて。
そいつ、岸に上がると2本足で立ち上がったんだよ。
体長が大体140~150cmくらい。
おれはもう口開けっ放しで、とにかくただただ唖然としてた。
そしたらそいつ喋りだしたんだ。
「生きてるか、良かった良かった。」
俺「な‥な‥なんなのっ?誰っ?」
「おれはその‥あれだよ。水底人。まぁあれだ、お前らが言う河童ってヤツだ。」
俺「か‥河童ぁ?!!」
「おれが助けなかったらお前、今頃溺れ死んでたぞ。たまたまあそこを泳いでたから良かったけど。人間は頭は良いが、泳ぐのが苦手な生き物だな。」
‥信じられない。嘘だろ?夢?
続く。
怖い話投稿:ホラーテラー へいぽーさん
作者怖話