続き。
落ち着きを取り戻し、現状を理解したおれはその河童?とたくさんの話をした。
“彼ら”は何百年も前からこの土地に住んでるという事。
今ではおれ達人間に住む場所を追いやられ数も減ってしまい、家族や仲間達を合わせて30人くらいでこの沼を住家にしているという事等など‥色んな事をそいつと話した。
河「ちょっと前までここは今よりもずっと綺麗な所だったんだんだぞ。川も森も山々も。それがお前、人間が森を壊したり川を汚したりしてよう、空気も汚れて段々おれ達の居場所が無くなっちまった。」
俺「ふーん‥じゃあおじさん、おれ達の事嫌い?何で助けてくれたの?」
河「‥嫌いじゃないっつったら嘘になるが、おれは子供は好きだ。今の人間の大人に責任はあってもお前らに罪はないからな。おれ達はただお前ら人間とうまく共存していきたいだけだ。手を取り合って助け合えたら、なんか素敵だろ?」
俺「そうだね。おれもそう思うよ。こんな綺麗な所守りたいって思う。いつまでもあって欲しいって思うから。」
河「そうか。‥それにしても人間っつう奴らは、よく生み出すがよく壊す困った生き物だな。この大自然を全て壊すようなマネをしたら、同時にお前達人間も破滅するぞ。当然“おれ達”も。おれ達全ての生き物は自然と共存していかなきゃいけない。それが掟というか‥まぁルールだからな。お前はせめてそのルールを守れる大人になってくれよ。」
俺「うん、わかった。そういう大人になる。助けてくれた代わりに約束するよ。大きくなったら、川とか森を守れる大人になる。だからそれまで待っててね。」
河「お前は素直な良い奴だな。期待しないで待ってるよ。―ありがとう。」
そしておれは目覚めると、ばあちゃん家にいた。
あれ?河童は?
夢だったのかな‥
聞く所によると、おれは溺れた場所より上流の岩場で、猟師に発見されたらしい。
溺れたはずなのになんでそんな場所で?って皆首ひねってたよ。
ばあちゃんの話では、ここの川で溺れたりして死んだ人間は、不思議と昔から一人もいないらしい。
水神という神様に守らている川だからだと。
おれは河童の話をしようとしたがやめた。
信じないだろうし、何よりそっと胸に閉まっておきたかったんだ。
今?
今おれは河童から助けて貰った命で大学と専門学校で猛勉強中。
環境保全に尽力できる政治家を目指してる。
あの日の、河童との約束を果たす為に。
終
怖い話投稿:ホラーテラー へいぽーさん
作者怖話