とある廃墟。
ここに棲む二人の幽霊が、怖い話で盛り上がっていた。
「…で、そいつはさあ、毎日一歩づつ階段を上がって行ったんだ。アパートの二階に隠された自分の死体を見つけるためにね…
2週間かけて、階段を上がって、やっと最後の一段になったんだ。そして最後の一段を上がろうとしたその時…後ろから誰かに肩を叩かれた。
振り返るとよ、なんとそこには…
アパートの大家と、その横には、海坊主のようなお坊さんがいてさ、(悪霊退散!!)とか言い出してよ、そいつを無理矢理、成仏させちゃったんだってよ…」
「怖エエ!何それ、マジ話?」
「ああ…花子から聞いた話だから間違いない。
じゃあ次お前ね。
飛び切り怖い話を頼むわ。」
「えーと…ああ…
これは友達から聞いた話だけどよ…
あるお婆さんがさ、静かに暮らしたいからって田舎の廃墟に棲み憑いたんだ。
だけどよ、心霊好きのやつらがどんどんその廃墟にやってきてさ、全然静かに暮らせなかったんだ。
だから、お婆さんは、誰か来るたびに、
(呪い殺すぞー)だの(生きては返さんぞー)とか言っておっぱらっていたんだ。
そしたら、しばらくは誰も来なくなった。
お婆さんは、(良かった良かった、これで静かに暮らせるわ)と安心していたんだけど…
ある日、廃墟の前に大型バスが止まったんだ。
お婆さんは何事かと、廃墟の窓から覗いて見ていると、なんとバスの中からは…
TV局の人と、霊媒士とお笑い芸人がゾロゾロと出てきてよ、廃墟に向かって歩いて来たんだって…
お婆さんは、こりゃたまらんっつて、廃墟から逃げ出したんだってさ…」
「なんか…怖いつうか切ない話だね…
お婆さん可哀相…」
「だよな!なにかっつうと人間はすぐ悪霊にしたがるよな!
本当に一番怖いのは、何も知らない人間だよ!」
と、その時、玄関の方からドンッという音がした。
二人は顔を見合わせ息を飲む…
「怖い話をしてると…本当に出るって言うからなあ…」
二人はビクビクしながら消えようとしたその時…
部屋のドアがバアンと開いた、
そこには、若い男女四人がボーと突っ立っていた…
それを見た幽霊二人は叫んだ。
「出たああ!人間だああ!」
そして我先にと闇から闇へ逃げ隠れた。
部屋のドアを開けた瞬間、幽霊達が逃げ隠れるラップ音を聞いた男女四人は口々に叫んだ。
「出たああ!幽霊だああ!」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話