友人から聞いた話です。
人から聞いた風に書くのもまどろっこしいので、友人の視点で自分が体験した風に書きます。
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2001年くらいの話。
予備校に通いだして、そこでユウイチという友達が出来ました。
その日はユウイチと他の友達数人で遊んでいました。帰ろうとした時にユウイチがさっきいた駅のベンチに携帯電話を忘れたことに気づきました。
その駅に戻って、駅員に確認すると携帯は届けられていました。
「良かった〜」と安堵の声を上げたユウイチ。取り合えず携帯を開いて確認しました。
ユウイチ「…」
ユウイチが携帯を手に持ったまま怪訝な顔をしています。
私「どうした?」
ユウイチ「変な着信がある」
どうやら変な番号から留守電があるようでした。
丁度その当時は映画の「着信アリ」なんかが話題になっていた時期だったので「うわ!こえ〜。でも面白そうじゃん!聞こうぜ!」という流れに。
ただユウイチ自身は気乗りしていない様子でした。
着信相手の電話番号はまるでデタラメで妙に桁の多い番号でした。
取り合えずユウイチが留守電を確認しようとしました。
ユウイチ「…やっぱ聞くのやめない?」
携帯を耳にあててすぐユウイチはこう言って、携帯を耳から離しました。
友人達「何ビビってんだよ〜、いいようちらが先に聞いてみるよ」
友人の1人がユウイチから携帯を取って耳にあてました。
友人A「…………うおっ!」
留守電を聞いていた友人が急に滅茶苦茶驚いた様子で、耳から携帯を離しました。
友人A「なんかボン!っていって空気が出てきた!」
友人達「はぁ?」
普通に考えて携帯から空気が出るとかありえません。
私「貸してみ」
次に私が留守電を聞きました。
ヒューヒュー…
(風の音…?)
ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜…
(電車が近づいてくる…?)
ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜!
(相当近づいてきてるな…)
キィィィィィィィィィ!!
ボンッ!!
激しいブレーキみたいな音の後に、ボンッ!と何かがぶつかったような音がして、その瞬間に携帯から空気が出て耳に当たりました。
私「うぉっ!」
友人A「な?空気出るだろ!?」
私「あぁ…なんだこれ…」
他の友人も一通り聞き、皆もやはり空気に驚いたそうです。
友人達「てか電車の音自体も気持ちわりーよ。ユウイチ、なんかこの番号心当たりないの?シンガポールの奴とか。」
ユウイチはシンガポールからの帰国子女だったので、私達はシンガポールの友人の悪戯だと思いました。
ユウイチ「わざわざこんな悪戯するような奴はいないよ…」
友人達「てか、ユウイチも聞いてみ。ビックリする以外は害ないし。」
促されてユウイチも留守電を聞き始めました。
ユウイチ「………」
友人達「おい?どうした?」
見る見るユウイチが涙目になっていきました。そして耳から携帯を少し離した状態で硬直しています。
ユウイチ「呼んでんじゃねーかよ…」
友人達「はぁ?」
ユウイチ「だから俺の名前呼んでんじゃねーかよ!」
友人達「いや、そんなん聞こえなかったぞ」
ユウイチが私に携帯を渡してきたので、もう一度聞きました。
ヒューヒュー…
(さっきと同じだろ…)
ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜
…チ…イチ…ユ…
(…女の声!?)
ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜
ユウイチ…ユウイチ…
(うわ・・・)
全身に鳥肌がたった。
せまってくる電車の音に混じって、確かにユウイチと呼ぶ女の声が聞こえた。
こんな声はさっきは聞こえなかった。
キィィィィィィィィィィ!!
ユウイチィィィィィィィ!!
ブレーキ音と女の叫び声が重なる様に聞こた。
たちっぱなしだった鳥肌が全身を舐めるように身体を駆け回った。
ボン!!
そして最後の衝突音。女が電車に轢かれたのだと確信的に思った。
空気も出てきていたが、今回は空気云々ではなく、女の声に凄まじい恐怖を感じた。
鳥肌が全身を駆け回るような感覚が収まらない。
ア゙ーーーーー
衝突音の後に、女の弛緩したような喘ぎ声が切れ間なく続いていた。こんな声もさっきは聞こえなかった。
私は首を左右に振りつつ、無言でユウイチに携帯を返すことしか出来なかった。
他の友人がユウイチから携帯を取り上げて、興味本位で留守電を再度聞いていたが
聞いた後は皆無言になってしまった。
ユウイチは留守電を削除した。
その日はそれで解散となった。
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話してくれた友人いわく、ユウイチと一緒にいると頻繁に怖いことがあったそうだ。
ユウイチの部屋で遊んでいたら、赤ん坊の泣き声がまるで部屋の中にいるかのように聞こえたり、玄関を激しくノックされたのに外には誰もいないなど。
友人の話は「霊感が強い奴の周りでは色々起こるんだな」というまとめで終わった。
時が経ってつい先日です。
その友人の結婚式がありました。そこでユウイチと会いました。
ユウイチと面識はなかったのですが、この話で存在は知っていたので話し掛けました。
私「なんか携帯で怖いことがあったって聞いたよ〜」
私がそう切り出すと、「その話はなし」と周囲が一斉に止めに入りました。
式の後に聞かされたのですが、当時ユウイチは彼女と分かれた直後だったそうです。
その別れた彼女はストーカー化していたようで「元に戻らないなら自殺する!」と頻繁に留守電を残していたそうです。
そしてついにはユウイチにキツイことを言われたのが原因で、駅のホームから飛び込み自殺していたことが後から分かったらしいです。
あの留守電の声の主が別れた彼女だったのかは分かりませんが…そう結び付けてつい考えてしまい、背筋が寒くなりました。
怖い話投稿:ホラーテラー Ssさん
作者怖話