俺は占いなど信じていないが、彼女は相当の好き者だ。
ある日のこと、二人でとある町に温泉旅行と称して出掛けた。
温泉につかった後、温泉街をぶらぶら歩いていると、占いと銘打った看板が目にとまった。
案の定、彼女は入りたいと訴えてることがまる分かりの瞳で見つめてくる。
「…入るか?」
まぁ、たまには付き合ってやるのも良いだろうし、俺もどんなものか、多少は興味があった。
「うん!」
彼女は嬉しそうに頷く。
先に彼女が入っていくと、「いらっしゃい」と太った中年女性と容易に想像できる低い声が聞こえた。
後に続き、俺も洋館風に仕上げた建物に足を踏み入れた。
マツコデックス(に似ている)だ。
第一印象でそう思った瞬間だった。
マツコの絶叫が耳をつん裂く。
俺は思わずたじろいだ。
「悪魔め!去れぃ!!出てけ!今すぐ出ていけ!!」
何も悪いことはしていない。
だが、その迫力に圧され思わず店を飛び出した。
彼女も同じだった。
今となっては後の祭だが、一言だけ文句が言えるなら、せめて『悪魔憑き』にしてくれ。
俺は悪魔じゃあない。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話