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中編4
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Yowll Shard Cuty(Begining)

別宅のPCからの投稿になるので読みにくいかもしれません.

ヨウルシャードの町は朝靄に包まれていた.

8月の夜明け前・・・

一台のセダンが町の門を潜った.

車を運転しているのは,20代後半程の男.

髪は乱れ,顔はやつれきっている.

車内には紐で封のされた紙袋が大量にある.

男は目も虚ろにただ車のハンドルを握り続けている・・・

ヤージェはこの町で薬局を営んでいた.

彼は夜明け前の午前3時に悪夢にうなされ眼が覚めた.

「・・・嫌な夢だ.」

彼はそう呟くと,隣で寝息をたてている妻のジェシカを起こさぬ様に

そっと寝室を出た.

キキキキ・・・

ヤージェの耳に車のブレーキ音が入る.

どうやら,車はこの店の前に停車したようだ.

ヤージェは何か嫌なものを感じ取った.

・・・そして,それは現実になる.

店のシャッターをしきりに叩く音.

近所迷惑も考え,ヤージェは渋々シャッターを開けた.

僅かに朝日の差し始めた店のシャッターの向こうには,

口から涎を垂れ流し,目も虚ろに何かを呟く男の姿がそこにはあった.

「・・・!?何だ?あんた.どうしたんだ?何かの病気か!?」

「・・・・・ううっ・・・・」

男はヤージェの目の前で思い切り嘔吐した.

吐しゃ物は何か見慣れないような色合いで,とてつもない異臭を放った.

ヤージェは反射的に店のシャッターを閉じて,救急隊に電話した.

5分ほどして,けたたましいサイレンを鳴らし救急車が到着した.

この頃には,ヤージェの店の近所の者達が野次馬として現場に群がっていた.

男は相も変わらず嘔吐を繰り返していた.

吐しゃ物の匂いと,その量に,さすがの救急隊も驚いた様で,

なるべく男の嘔吐物に触れないように,男を救急車の中に搬入した.

4時間後・・・

AM9:00

ヨウルシャード市立病院

ICUに隔離された男の身元が割れた.

男の名はエリック・デイリーズ.ヨウルシャードから西へ300km,

都市ハインデイル.エリックはその都市の大学病院の医者だった.

何かの伝染病の危険性を考慮され,彼は隔離シートに包まれたベットの上に居た.

抗生物質の投与も意味無く,

相変わらず,激しい嘔吐を繰り返すエリック.

ヨウルシャード警察署

ほぼ同時刻に警察はレッカーしたエリックの車を調べた.

異臭を放つ車内.大量に置かれた口の閉まった紙袋の中身は,

すべてエリックの嘔吐物だった.

「・・・うえ,マジかよ.」

検証に立ち会ったバイル巡査が嫌悪感を込めて言った.

その横から,レジダブ巡査が相槌を入れる.

「確かに,酷いな.・・・・この匂い,一体こいつは何を食ったんだ?」

「・・・食った?何だ,あの男,食あたりだったのか?」

「いや,それは知らんが,この量のゲロだぞ?」

「は?それだけで食あたりとは限らないだろ?」

「・・・じゃあ,何なんだ?」

「さあな.だけど,ただ事じゃ無いだろうな・・・

この嘔吐物の量・・・どう見てもあいつの胃袋の許容量超えてるだろう?」

エリックの車から出てきた紙袋の数は66.

一つあたりに約500ml当りの嘔吐物が入っていた.

「おい,二人とも,出動だ.

その車は後回しにしろ.」

検証を進める二人にベン捜査官が仕事を回す.

「一体何が?」

「レジダブ,そのゲロ袋を置いてからこっちへ来い.

その匂い,かなわんな・・・」

「殺人ですか?」

「・・・?感が鋭いな,バイル.

その通り,町外れの川で仏さんが上がったそうだ.

さあさあ,そのゲロ車は後にして,現場に応援に行ってくれ.」

そう言って,ベン捜査官は二人に背を向け立ち去った.

AM9:45

ヨウルシャード郊外の小川.

バイルとレジダブがパトカーで現場に到着すると,

辺りには先発の警官達がごった返していた.

パトカーを降りた二人を新人の警官が出迎えた.

レジダブが新人警官に声をかけた.

「お疲れ,ベン捜査官に頼まれて応援に来たんだが・・・?」

「ああ,お疲れ様です.遺体を引き上げるのに手こずってまして・・・」

「・・・おいおい,いくら事件が少ない町だからって,そんな言い草はないだろ.」

「いえ,そうじゃなくて.遺体が異常なんです.」

「異常?」

「ええ.見ていただければすぐに分ると・・・」

そう言うと,新人警官は二人を川のほとりへ案内した.

緊急車両の赤色灯に囲まれた川のほとりに横たわる女性の遺体.

バイルとレジダブはこの女性の異変にすぐ気づいた.

女性の胴体部分が異常に膨らんでいたのだ.

まるで赤ん坊が10人位入っているかのような・・・

さらに,その膨らんだ胴体は内側から裂けていた.

飛び出した女性の臓器が川の浅瀬に散乱していた.

遺体の引き上げに手こずっていたのは,きっとこのせいだろう.

と,二人は認識した.

=今回限りです.勘弁してね・・・=

By ジョーイ・トリビアーニ

怖い話投稿:ホラーテラー ジョーイ・トリビアーニさん  

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