短編1
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手に「人」の意味

誰もが聞いた事があると思います。

緊張した時に、手に「人」という字を三回書いて、飲み込むと落ち着くというおまじない。

あのおまじないについてです。

ある、刑務所での話。

「おい、新人さん。何をそんなに怯えてる?」

『死刑を待つ人間が落ち着けるわけないだろ』

「お前の罪状はなんだ?コロシか?」

『そうだ。二人殺した』

「二人か。だからそんなに落ち着かないのさ。俺は三人だ」

『何の関係がある。二人も三人もコロシはコロシだ。人は殺せても、自分が死ぬのは誰でも怖い』

「こんな話を知っているか?手に人と書くおまじないを知っているだろう?あれの由来はな、三人以上殺した死刑囚はなぜか、すんなり死を受け入れ、落ち着いた態度になるそうだ。三人も殺したから当然だというふうにな。だけど、二人以下のやつは、二人しか殺してないのに。とやたら、びびるらしいぜ。それになぞって三回書くのさ」

『だから、アンタは三人殺したのか?』

「そうだ。一人は何の恨みもななかったがなぁ。」

『馬鹿馬鹿しい。ただの迷信だ』

「だけど、俺は落ち着いているだろう。何故なら、お前さんが馬鹿にする迷信になぞって、三人とも喰っちまったからなぁ。最後に飲み込まなきゃ、おまじないは終わらないからな。」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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