沙羅です。
今回はあまり怖くありませんが、また体験談です。
プレハブ事件から時が流れ、自分は見事高校三年生に昇格していた。通っていた高校は五年生でその性格上、大学のようなシステムになっており、油断していると容易に留年してしまうのだ。
自分の親友の一人、松村は抵抗虚しく留年。後輩となった。松村はかっこつけのダメキャラというか、面白いやつで、色んな面白武勇伝をもっている、大の親友だ。
ある日、クラスメイトのM男が自分のとこにやってきて、「野○病院につきあってくんねーか?」と切り出した。
??野○病院?
どうやら自分の学校のあるT木県では有名な心霊スポット?となっている、廃墟と化した病院の事らしい。
「なんでまたそんなとこに?」
M男が真顔で自分に話しかけていたのを珍しく感じたのか、バイクチームメイトのT男が「どしたん?」と寄ってきた。
M男が語り始めた…
「実は先日、夕方家に帰ると電話がなった。家の人誰もいなかったので出たらば
………して下さい
…………さい
なんかボソボソ言ってて、聞き取れないから、もしもし!もしもし!と聞き返したんだけど、ずっとボソボソ。
よーく聞いてみると
…の…返してください
わたしの…返してください
わたしの注射器返してください
気味が悪くなって電話きったんだ。その後はかかってこなかったから、イタズラだと思って、晩飯の時に家族にその事話したんだ。
そしたら飯の後、兄貴が青い顔して部屋に来て、これ見せてきたんだよ」
そういってM男は一本の注射器を出した。
どうやら兄貴は、野○病院に肝試しに行った際、注射器を持って来てしまったらしい。そんでもって怖いから弟に返して来てくれと頼んだらしいのだ。
「うまいね〜♪ありそうな感じの話♪でもそんな手の込んだ誘い方しなくても行くよ」と自分が言うと…
「マジなんだって」とT男
「だっておめぇ、おかしいべよ。私の注射器って?看護婦さんマイ注射器つかわねぇだろ。」
と突っ込んだが、どうしても一緒に来てほしいと言うので、行く事にした。その日は金曜だし、バイトもなかった。
せっかくなので後輩になった松村も誘い四人で行くことに。
夕方から単車四台で現地へ
その頃には自分のバイクもNSR250に成長し、爆音Jhaチャンバーは夕暮れの町にけたたましい騒音を撒き散らし走っていった。
病院到着。一応途中のコンビニで塩をかっておいた。M男が懐中電灯を持っていたので先頭で突入。ケツ持ちは自分。
病院内はボロボロで、落書きだらけ。落書き無かったらもっと怖い雰囲気なんだけどな〜。
注射器は三階の病室?ベッドのある部屋から持ってきたとのことなので、まずまっすぐそこに向かった。
向かう途中、T男が靴紐なおしたりしたため、順番が入れ替わり自分は三番目。
三階の廊下を歩いていると右手にトイレがあった。
真ん中に廊下にそって水道と鏡があり、そこから左右に男女別れる形になっている。
ひび割れた鏡には自分が映っていた。
すると…
自分の後ろを人が、進行方向に通り過ぎた。
自分はT男が自分を抜いていったのだと思い、「なんだよT男、また俺がケツかよ〜」と進行方向に向き直ると…
あれ?T男がいない?
「なに?」
と後ろから声が…
ん?もしかしてアレか?
やっぱいるのか?
まあ気にせず任務を遂行しよう。ということでミッションコンプリート。無事マイ注射器を返した。
そのまま、屋上まで上がり一服した。円く座り病院についてあれこれ感想などを話してた。
ふぅ〜 ぷか〜〜
ん?んん?
「あんま怖くねーな、霊より現地ヤンキーのがこぇーよ」とヤンキー座りでタバコをのむ松村の肩に、手がのってる…
みんな松村の方を見てたが気付いてないようだ。
ん〜女の人の手だ。
なんか血の気が無い。
「よし帰るか!」
これは…長居は無用、早く離れた方がいいなと思い、みんなを促した。
下におり単車まで戻る。松村の肩に手は……よし見えない。
皆で塩をかけあい、単車に股がる。松村のXJRはキュルキュルいうだけで一向にエンジンがかからない。
「どれ、かしてみ」
T男がセルをまわす。「キュル、ブォン!」かかった。
その足でみんなでカラオケに行った。松村が歌うと度々画面にノイズが走った。
「ちとヤバイかな」
その後は自分のプレハブでマージャンをすることに。
その途中、松村は何てことないカーブで転倒。田んぼに転落。幸い擦り傷ですんだ。
その後、マージャンではハコられ、踏んだり蹴ったり…
次の日、「実は…」と手の事を話し、松村と共に以前自分が世話になった坊様を訪ね、祓ってもらった。
その後の松村は元気いっぱい。M男の兄貴にも異常は無く、野○病院事件は無事全て解決した。
はずだった…
(おまけ)
数年前、自分が26の時、地元を離れて随分年月がたったある日、仕事でたまたま茨○に行った際、デリ○ルを呼んだ。話してみると訛りが一緒、同じ地元かと思い、色々話し込んでみた所、な、なんと………
松村の彼女だった……
勿論、何もせずお金だけ払い終了。
ふと思った
「あいつ………まだ取りつかれてんのかな……」
怖い話投稿:ホラーテラー 沙羅さん
作者怖話