野○病院とかわいそうな松村君

中編4
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野○病院とかわいそうな松村君

沙羅です。

今回はあまり怖くありませんが、また体験談です。

プレハブ事件から時が流れ、自分は見事高校三年生に昇格していた。通っていた高校は五年生でその性格上、大学のようなシステムになっており、油断していると容易に留年してしまうのだ。

自分の親友の一人、松村は抵抗虚しく留年。後輩となった。松村はかっこつけのダメキャラというか、面白いやつで、色んな面白武勇伝をもっている、大の親友だ。

ある日、クラスメイトのM男が自分のとこにやってきて、「野○病院につきあってくんねーか?」と切り出した。

??野○病院?

どうやら自分の学校のあるT木県では有名な心霊スポット?となっている、廃墟と化した病院の事らしい。

「なんでまたそんなとこに?」

M男が真顔で自分に話しかけていたのを珍しく感じたのか、バイクチームメイトのT男が「どしたん?」と寄ってきた。

M男が語り始めた…

「実は先日、夕方家に帰ると電話がなった。家の人誰もいなかったので出たらば

………して下さい

…………さい

なんかボソボソ言ってて、聞き取れないから、もしもし!もしもし!と聞き返したんだけど、ずっとボソボソ。

よーく聞いてみると

…の…返してください

わたしの…返してください

わたしの注射器返してください

気味が悪くなって電話きったんだ。その後はかかってこなかったから、イタズラだと思って、晩飯の時に家族にその事話したんだ。

そしたら飯の後、兄貴が青い顔して部屋に来て、これ見せてきたんだよ」

そういってM男は一本の注射器を出した。

どうやら兄貴は、野○病院に肝試しに行った際、注射器を持って来てしまったらしい。そんでもって怖いから弟に返して来てくれと頼んだらしいのだ。

「うまいね〜♪ありそうな感じの話♪でもそんな手の込んだ誘い方しなくても行くよ」と自分が言うと…

「マジなんだって」とT男

「だっておめぇ、おかしいべよ。私の注射器って?看護婦さんマイ注射器つかわねぇだろ。」

と突っ込んだが、どうしても一緒に来てほしいと言うので、行く事にした。その日は金曜だし、バイトもなかった。

せっかくなので後輩になった松村も誘い四人で行くことに。

夕方から単車四台で現地へ

その頃には自分のバイクもNSR250に成長し、爆音Jhaチャンバーは夕暮れの町にけたたましい騒音を撒き散らし走っていった。

病院到着。一応途中のコンビニで塩をかっておいた。M男が懐中電灯を持っていたので先頭で突入。ケツ持ちは自分。

病院内はボロボロで、落書きだらけ。落書き無かったらもっと怖い雰囲気なんだけどな〜。

注射器は三階の病室?ベッドのある部屋から持ってきたとのことなので、まずまっすぐそこに向かった。

向かう途中、T男が靴紐なおしたりしたため、順番が入れ替わり自分は三番目。

三階の廊下を歩いていると右手にトイレがあった。

真ん中に廊下にそって水道と鏡があり、そこから左右に男女別れる形になっている。

ひび割れた鏡には自分が映っていた。

すると…

自分の後ろを人が、進行方向に通り過ぎた。

自分はT男が自分を抜いていったのだと思い、「なんだよT男、また俺がケツかよ〜」と進行方向に向き直ると…

あれ?T男がいない?

「なに?」

と後ろから声が…

ん?もしかしてアレか?

やっぱいるのか?

まあ気にせず任務を遂行しよう。ということでミッションコンプリート。無事マイ注射器を返した。

そのまま、屋上まで上がり一服した。円く座り病院についてあれこれ感想などを話してた。

ふぅ〜 ぷか〜〜

ん?んん?

「あんま怖くねーな、霊より現地ヤンキーのがこぇーよ」とヤンキー座りでタバコをのむ松村の肩に、手がのってる…

みんな松村の方を見てたが気付いてないようだ。

ん〜女の人の手だ。

なんか血の気が無い。

「よし帰るか!」

これは…長居は無用、早く離れた方がいいなと思い、みんなを促した。

下におり単車まで戻る。松村の肩に手は……よし見えない。

皆で塩をかけあい、単車に股がる。松村のXJRはキュルキュルいうだけで一向にエンジンがかからない。

「どれ、かしてみ」

T男がセルをまわす。「キュル、ブォン!」かかった。

その足でみんなでカラオケに行った。松村が歌うと度々画面にノイズが走った。

「ちとヤバイかな」

その後は自分のプレハブでマージャンをすることに。

その途中、松村は何てことないカーブで転倒。田んぼに転落。幸い擦り傷ですんだ。

その後、マージャンではハコられ、踏んだり蹴ったり…

次の日、「実は…」と手の事を話し、松村と共に以前自分が世話になった坊様を訪ね、祓ってもらった。

その後の松村は元気いっぱい。M男の兄貴にも異常は無く、野○病院事件は無事全て解決した。

はずだった…

(おまけ)

数年前、自分が26の時、地元を離れて随分年月がたったある日、仕事でたまたま茨○に行った際、デリ○ルを呼んだ。話してみると訛りが一緒、同じ地元かと思い、色々話し込んでみた所、な、なんと………

松村の彼女だった……

勿論、何もせずお金だけ払い終了。

ふと思った

「あいつ………まだ取りつかれてんのかな……」

怖い話投稿:ホラーテラー 沙羅さん  

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