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中編7
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恐怖の怪談

これは私が大学三年生の頃に体験した、とても印象に残っている怖い話です。

(長文なので暇な時用で)

当時、私は大学生活をより充実したものにするために、入学時から二年間続けていたアルバイトを辞めて、思い切ってサークルに入ることにしました。

今まで勉強とバイトに明け暮れた日々(ほとんどバイトが中心ですが・・)を過ごしていた私は、学校内での知り合いも少なく、どのサークルに入ろうか迷ったものでした。

結局、私自身が自然と触れ合うことが大好きだったので、二ヶ月に一回は山でキャンプすることを活動内容としているサークル(名前は忘れました)に所属することに決めました。

私のほかに、前から所属していたのは二人だけで、人数が少ないのと、趣味が同じということもあり、すぐに打ち解けることが出来ました。この友達について少し説明を加えると、一人は好奇心旺盛でガッチリとした体格の奴、もう一人は頭がやたらに良くて若干臆病者の奴で、ここではそれぞれA、Bとさせていただきます。

ともあれ、このサークルに馴染んだ私は早速、次に予定しているキャンプ地についてのミーティングに混ざって、その準備を進めていきました。AとBは、今までに県外も含めて沢山の場所にキャンプに行っているので、地図を見て30分もかからないうちに目的地を決めてしまいました。

さて、いよいよキャンプ当日となり、各々必要なものを持って、待ち合わせ場所の大学から出発しました。と、言っても山までの移動手段は自転車であり、その両脇や後ろに荷物を付け、リュックを背負うという奇抜なスタイルで山に向かいました。

俺「二人はなんでこのサークルに入ったの?」

A「俺は釣りが好きだからキャンプ地から渓流釣りに行くのが、何と言っても夢だったんだよな〜」

B「俺は大自然に囲まれたなかで、何も考えずにゆっくりと読書したくてさ。」

とまぁこんな感じでお互いの身の上話から、くだらない世間話をしながら自転車をひたすら漕ぎつづけました。

それから休憩も入れて5時間ぐらい自転車を漕ぎましたが、相変わらず目に映る景色は大きな国道と、遠くに見える山々だけでした。すると、Aが

「新人も入ったことだし、もう少し味のあるルートから行くか?」

と私を気遣かって、飽きさせないように、国道ルートから近くを流れる川沿いルートへの変更案を持ち掛けました。

俺「俺は全部大丈夫だよ。気にすんなって!」

B「いや、Aの言う通りだよ。初めてで、いきなりこの景色の連続は確かに辛いよ。」

正直、私自身も少しウンザリしていたので、Bの同意により、早々とその案が可決され実行されました。

川沿いのルートは、景色もさることながら、道が多様に変化していて、つい時間が経つのを忘れる程に三人で、はしゃいでしまいました。

ふと、気が付くと雨が降り出しています。

B「こりゃ絶対強くなるな。A、W(私)どうするよ?」

私に聞かれても、分からないのでAの方を見ると、彼が

A「おい、あそこに家があるぞ、助かったわ〜!」

と言って50メールぐらい先にある、大分錆びれいる一応2階建ての家(廃屋)を指差しました。

俺「え〜、流石にあれは無理だろ」

B「いやね、俺らは山に向かう途中で大雨にあうと、結構ああいう廃屋で雨宿りするんだよ。」

俺「合羽じゃ駄目なの?」

B「ちょっと自転車漕ぎながらだと面倒なんだよね。だから、それは最終手段かな」

最初は不気味でしょうがなかったけど、経験者の二人が言うんだから間違いないと思い、渋々従いました。

そして、いよいよ廃屋の前にやって来ると、二人は手際よく自転車を雨の当たらない所へ避難させて、三人で中に入っていきました。

室内は草木が生い茂り、ガラスが割れていて、所々雨漏りをしていましたが、より一層強くなった雨を防ぐのに支障はありませんでした。

とりあえず、一階の居間と思われる場所に固まって、話しあった結果、時間も夕刻を迫っており、雨が止む見込みもないことから、寝袋をひいてそこで一夜を過ごすことになりました。

しばらくすると、今までの疲れもあり、みんな死んだように寝てしまいました。

ふと、何故だか妙な気配を感じ目が覚めてしまうと、隣にいたはずのAがいません。Bは相変わらずスヤスヤと寝ていました。

すると、突然2階から

「ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!」

と、静寂を切り裂くようなノック音が聞こえ、私は恐怖で鳥肌が立ったのを今でも覚えています。

B「今の音何なの・・・?」

見ればBは、起きていて、完全に怯えきった表情でガタガタと震えていました。

俺「分からん、ただあまりいい予感はしな・・・」

そう言いかけた時、今度はドッドドッドドッドドッドドッドドッドという、まるで誰かが2階の部屋を走り回っているような、奇妙な音が聞こえて来ました。

B「もう勘弁してくれ」

Bはそういって寝袋に顔を隠し、ガタガタ震えています。

・・・そういえばAの奴、何処行ってんだ。恐怖に堪えながらそんなことを考えていると、

「ギャ〜〜〜!!」

というAの悲鳴が聞こえて来ました。

見ると、血相を変えたAが凄い勢いで走ってきます。

俺「どうした?」

A「ここは駄目だ、今すぐ出よう!!」

しかし実際は、雨がより強さを増していて、雷混じりになっていたため、今からの脱出は困難でした。

少し時間が経ち冷静さを取り戻したAは、

「じゃ、これから朝の間まで3人で固まったまま、絶対に離れないようにしよう。」

その一言で、居間のパニック状態が何とか収まりました。もちろん、この時点でAが何を見たのかを問い詰めることは出来ませんでした。

しかし、その廃屋に潜むものは黙って見過ごしてはくれませんでした。

しばしの沈黙のあと、突然「ギィ〜ィ〜〜ィ〜〜」と2階のドアが、ゆっくり、確実に開く音がしました。

誰も、一言も発することが出来ず、互いの存在を感じながらじっとしていると、

「ゆるさん」

本当にいきなり2階からそんな声が聞こえてきて、同時に、ズルズルズルズルと明らかに何かが階段を下りるというか、這うような音が聞こえてきました。

「ヤバい!」そう思い、逃げようとしたが体が動かすことが出来ません。焦りながら、これが金縛りってやつか・・・なんて思ってたら実は、そうじゃなかった。

俺達の寝袋の上に首のない人間が乗ってたんです・・

止まりそうな心臓を必死で動かしながら、周囲を見回して見ると、Aは必死に動く事を試みていて、Bは既に気絶していました。

三体の首なし人間は、血だらけの手でこちらの自由を奪ってきます。 その間にもズルズルと2階の何かは、確実に降りてきていた。

ついにそれは一階に到達しました。いや、到達したはずなのに姿が見えない・・

はっと、気づくと上に乗っかっていた化け物の姿も無く、素早く立ち上がろうとした、その時

「ゆるさん」

なんと俺とAの間に、両目のない女が口を目一杯に広げて、立っていたのです。

「うぁぁぁぁぁ」

声にならない叫び声を上げたところで、意識が飛んでしまいました。

A「おい、しっかりしろ!」

Aの呼びかけで目を覚ますと、すっかり周囲は明るくなっていました。

B「荷物は片付けた。早くここを出よう。」

そういったBの肩に、長い髪の毛が何本かついていてギョっとしました。

当然、こんな事があったので、その後のキャンプ計画は実行されず、行きとは打って変わって皆寡黙のまま足早に帰宅しました。

後に、情報収集に長けたBの調べによると〜〜あそこでは昔、両親と小学生の子供達三人の計五人の家族が住んでいたらしいのだが、ある日、妻に失業したことを理由に離婚を切り出されると、逆上して、納屋にあった斧で妻をあっさりと殺してしまう。

また、同時にお母さん子だった子供たちも疎ましく思い、妻を殺したその斧で寝ている子供達の首を跳ねたのだという・・・

その後、妻は2階の部屋の押し入れに、子供たちはまとめて、浴槽に隠したあと自身はあの川で、自殺してしまったのだという。

遺体が発見された時には既に腐敗が進んでおり、まるで地獄絵図のようだったらしい。〜〜

ちなみにAの、あの時の単独行動については、後にこう言っていました。

A「実は、俺があの時一番最初に目が覚めただろ。それで淋しいから、お前起こそうとしたら遠くから子供の笑い声が聞こえてきてさ。何だと思って、居間を出て廊下を渡って突き当たりの部屋に行ったんだ。当然もう暗いから、部屋の中でライターを明かり代わりに付けてみたら・・・・・・子供の生首がこっち見ててさ。流石にあれには参ったよ」

こんな事があってからは、もうにキャンプに行く気分にはなれず、サークルに顔を出すこともほとんど無くなってしまいましたが、ほかの二人は頑張って続けていたようです。

私の不思議な体験は以上です。駄文でしたが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 迅竜さん  

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