曖昧な眠りの中で男は夢を見ていた。
妻と子供がこちらをみて笑いかけている。
男が近寄っても一向に近づかない。 それどころか 男は闇にどんどん包まれていった。
「!! ・・・夢か」
外はすっかり朝になっていた。カーテンのすき間から漏れる光が眩しいくらいだった。
「よし、行くか」
足の痛みはもうほとんど無くなっていた。
包丁と鎮痛剤、懐中電灯を持ち家を後にした。
「今日中に着きそうだな」
太陽は丁度真上に来ていた。大体昼ごろである。
そして、あの夜以来怪物には会っていない。
「太陽が出ているときには活動しないのか?」
そんなことを考えながら歩き続ける事2時間以上遂に家に着いた。
4分の期待と6分の恐怖心に駆られながら 扉を開ける。
とても静かだ
「メアリー、ジェシーいるか?」
男の声が響くだけで返事が全くない。
絶望に沈み涙が流れる。
ふと、男はテーブルの上にある一通の手紙を発見した。
乱暴に封を切り中に入っている紙を読む。
急いでいたせいか字が所々潰れていて読めなかったが大体こんな事が書いてあった。
「ジャンへ
あなたがこの家に来るかどうかは分からないけどこの街の真実を書き留めておきます。
あなたはもう気付いているかもしれないけど、この街にはカープスと呼ばれている生きる屍がいます。なぜこのような怪物が現れたかは政府側も正式な発表していません。
しかし、テロによる攻撃と言われています。
それから逃げるため街の人たちは全員非難しました。私もその一人です。娘の事は心配しないで下さい。私と一緒に居ます。
この街は絶望的ですが、希望を捨てないで下さい。まだ街には武装した兵隊や民間人が潜んでいます。その人たちと協力をして生きる術を探してください。
ジャン、あなたを置いていって本当にごめんなさい。しかし、あなたを愛しています。どうか生き延びてください。また逢える日を望んでいます。
メアリーより」
最後の文は涙のせいか文字が滲んでいた。
大粒の涙が手紙に落ちる。とめどなく流れてゆく。
・・・・
しばらくしてから男は起き上がり 生存者を探しに行く覚悟を決めた。
いつかまた妻と娘に会うために。
手紙、家族の写真、護身用の銃を持ち家を後にした・・・
怖い話投稿:ホラーテラー ジャンさん
作者怖話