【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

交通事故…

ウチの辺りにはマナーの悪いドライバーが多い。

歩行者を無視して猛スピードで右折、危ない目に会った人は数知れず…

先行車をハイビームで煽ったり、追い越し禁止区間で無理な追い越しをしたり…。

特に多いのが片側一車線道路での無理な追い越し(当然追い越しは禁止)。 

あまりに腹立たしいので、最近じゃ後ろの車が車線を変えたところでスピードを上げることにしてるんだ。

コチラのスピードが上がれば当然抜かすことが出来ないので、対向車が来たところでオレの車の後ろに戻ることになる。

モチロン、トラブルに巻き込まれない程度にさりげなくやるにはコツがいるんだけどね。

敵さんは相当イライラしてるのが分かるけど、それを見ながらニヤニヤ…

性格悪いな、オレも…。

一か月ほど前のあの夜もそんなカンジで後ろの車をからかってたんだ。

その日の後続車は今では絶滅危惧種となった走り屋風のホンダのスポーツタイプ。

マフラーの音がうるせえ、うるせえ…

「抜かせねぇ~よ!!」

しかし業を煮やしたスポーツカーが強引に抜いていったんだ。

時速にしたら、あんな狭い道で100キロ以上は出てたと思う。

そのまま、オレの前の車ごと強引に抜いていこうとしたみたいなんだけど…

「アッ!!!」

という間だった。

対向車の大型のダンプにもの凄い音とともに正面から突っ込む黒のスポーツカー…

車は大破という言葉が控えめに聞こえるくらいの状態……

一応、ハザードをだして停車して、携帯で119番に連絡したんだけど、フロントガラスの内側が一面真っ赤なのと、半開きになったドアからも血がぼたぼた流れ落ちているような惨状…

引き続き警察に連絡しながら、これは救急車じゃなくて霊柩車だろ…なんてことを考えていた…。

救急車とレスキューが、現場を見たとたん緊迫感が抜けたのが印象的だった。当たり前のことながら即死。救急車は用をなさないということなんだろう……

さてその後、現場検証にも立ち会ったが、倫理的にはともかく道交法的に悪いことは何もしていないオレは簡単な事情説明だけで放免、家に帰った。

家に帰ってシャワーを浴びながらもオレは不思議なくらい罪悪感がなかった。

無謀運転の末の自業自得…、むしろ「ざまあみろ」なんて思ってさえいた。

その晩、早速夢に現れた……

頭なんか原型をとどめていない…

肉のかたまり…

いたるところから鮮血が垂れ落ちている…

唯一、下顎の歯が何本か確認できる…

「ヒューッ、ヒューッ…」

と息が漏れるような音が聞こえる…

右手は付け根から切断されているようで、切断面からボタボタと血が滴り落ちている…

左手は、指が親指以外存在しない…

もちろん血だらけ…

右足がありえない方向に曲がっていて、足首の関節が変な方向を向いている…

胴体からはなんか血じゃない黄色の液体が漏れ出ている…

強烈な悪臭を発している…

そして、覚束ない足取りで段々オレに近づいてくる…

「うわっ!!」

と飛び起きたが、もちろん目の前には何もいない。

ただ、夢の中で嗅いだ悪臭がほのかに匂っている気がしていた…

その日以降、毎晩ヤツは現れる…

最近では眠ることが怖い…

いつも寝不足で頭がいたい…

一瞬、寝ていたのかなぁ?

気がついたら車線をハミ出して、目の前に大型ダンプ……

強烈なクラクションを浴びせかけられ、間一髪よけたんだ。

当然のように先日の事故現場…

ほのかに鼻腔に残る悪臭…

今はまだ大丈夫だけど、時間の問題な気がしてきた…

もう、どうでもいいやぁ………

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
0
2
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ