短編2
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怨霊と血の巻物

平成22年の夏、俺たちと友人Aは、四国の霊山を訪問することになった。

父親曰く、

「徳川家康の霊が忍び寄る。その夜には人は滅びる」

この言葉を投げかけられ、霊山へ登った。

家を出る前、地下室で徳川の霊を見た。

彼が指差す方向の地面を掘ってみると、小さな巻物があった。

父親は巻物を広げ、中から滴る血をぬぐった。

内容は、驚くべき呪いの言葉が彫られていたのだ。

霊山の麓の村に着いた。

この村の入口には、次のような看板がありけり。

「徳川の呪いを呼び覚ます者に災いあれ」

友人Aはそれを見て、こんなものは迷信にすぎないと足で蹴り飛ばした。

その時、向かいのスーパーから出てきた髭の老人が言った。

「俺には伊達政宗が乗り移っている。お前らの相談に乗る」

老人の話によれば、このあたりには夜になると、徳川の怨霊が徘徊し、

付近の住人達を恐怖に陥れているという。

巻物を見せながら俺と友人Aは説明した。

老人は言った…

「ついてこい。この先には味方が隠されている」

老人の後に続いて歩いていると、10分くらいして神社に辿り着いた。

神社の周りでは、現代とは思えないような、平安時代の支障をまとったお坊さん達が

狂ったように太鼓の音に合わせて儀式をしていた。

老人と共に俺はその中央に割って入った。

「徳川の霊は滅亡せり。我々に続く者はここに集まれ。」

お坊さんの中から出てきたのは、一人の落ち武者だった。

彼は、自分こそが武田信玄であると名乗った。

その時、もの凄い勢いで、老人と武田信玄は、徳川の霊に突進した。

世界に閃光が走った。

まるで稲妻のような…

強大な怨霊に打ち勝つ力が必要なのだ…。

半日にも及ぶ戦いの末、怨霊に勝った。

家に帰って父親に報告すると褒美をくれた。

父親は言う…

「徳川の怨霊、それはあの村に居た私たちの先祖と関係があるのだ…。」

俺たちは驚愕した。父親は俯いたまま話を続けた。

「血塗られた歴史、徳川家に伝わる怨霊は今も生き続けている…」

村で倒したのは一人だけだったのか…。

絶望が脳裏をよぎった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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