ホラーテラーを利用するようになってから
早一か月が過ぎた
元来、怖い物好きで
こういうオカルト系のサイトはよく利用していたが
ここはかなり好きなサイトの一つになっていた
ある日、いつもの様に新着の投稿から読んでいた時
ふとしたことに気付いた
URLが連番になっていない
サイト利用初心者の人はわからないかもしれないが
このサイトは新着の投稿があると
現在の投稿の最大の通番からプラス1されたURLが割り振られる
//horror-terror.comr……xxxx01.html
の次の投稿は
//horror-terror.comr……xxxx02.html
というようにだ
しかし、私が発見したのはその連番が穴抜けになっているものだった
先程の例でいえば
//horror-terror.comr……xxxx01.html
の次の投稿が
//horror-terror.comr……xxxx03.html
となっているものを見つけたのだ
このサイトでは不適切な投稿があると
よく管理によって投稿自体が削除されることがあり
穴あけになる事自体は珍しくない
しかし、私が見つけたのは比較的に新しい投稿であり
投稿時間を見る限り、たとえ削除依頼があったとしても
管理人の対応するには早すぎる時間帯にあった
私は興味を持ちその穴抜けとなっているURLを直打ちで入力した
意外にもサーバーからの応答があり
ブラウザはそのページを表示した
私は期待を込めてその投稿内容を読んだ
その投稿は、とても秀逸なものであった
私自身の評価ではこのサイトに来て読んだ投稿の中で最高のものであった
私はVeryGoodを入れるためコメント欄まで画面をスクロールし
誰一人としてコメントしていないコメント欄に
賛辞のコメントとともにポイントを入れた
それから数日たった
私はその投稿のURLをブックマークしており
時折その投稿を眺めていたのだが
投稿者自身のコメントはおろか、他の利用者のコメントすらなかった
私はこの素晴らしい投稿が埋もれていくのが
非常に残念でならなかった…
私は意を決し、この投稿をコピペすることに決めた…
投稿内容を範囲選択し
そして、一度テキストエディタに張り付け
改行等がおかしくなっていないことを確認したうえで
投稿ボタンを押下した…。
気づくと私は見覚えのない部屋の中にいた
あたりは壁が見えないぐらいに暗い
そのせいで、この部屋がどのくらいの広さなのかも解らない
部屋の中にはパソコンが一台置いてあり
そのディスプレイにはホラーテラーのサイトが表示されていた
「ようこそ、いらっしゃいました」
突然背後から聞こえてきた声に驚き反射的に振り向いた
そこには、一人の男が立っていた
「ここは…貴方の部屋ですか?」
混乱する頭の中で、まず最初に出た疑問だった
「いえ、違いますよ。この部屋の住人だった者は、既にここには居ません」
男はよどみなく答えた
「その出て行った人とはどこに行ったのでしょうか?
不思議と思われるかもしれませんが私はこの部屋に入った時の記憶がありません
まずは、勝手に入ってしまったことを詫びたいのですが…。」
「その事なら心配いりませんよ
なぜなら“この部屋は”これからあなたが自由に使って構わないのですから」
私は背筋にうすら寒いものを感じた
ひょっとして…ここは…
「そんな…ここは…」
私は思わず声を漏らした
「貴方のその予感はおそらく正しいものだと思いますが
念のため、この部屋のシステムを説明します
前の住人はあなたのお蔭でこの部屋を出れました
逆に言うとあなたはこの部屋を出るにはある条件を満たさないいけません
その条件とは、まさに今貴方が行ったことです
と言えば、もうお分かりですね?」
「そんな!!
いったい私が何をしたというのですか!!
私はただ、あの投稿が埋もれてしまうのが惜しくて…
ただそれだけで…」
「本当にそうですか?では聞きますが…
貴方は何故、投稿内容に複製であることの断りを入れなかったのですか?
何故、投稿者の欄に自分のHNを入れたのですか?」
「……」
「でも、安心してください。
誰もあなたを恨んだりなんてしてませんよ
むしろ、そのおかげでここを出れたんですから投稿者は喜んでますよ」
男は言い終わると嫌な笑顔をした。
「さてと…私はそろそろ動物園に戻らなくてはなりません
頑張って人に盗まれるような良い作品を書いてください」
そういうと男は私に踵を返すと
闇に向かって歩き出した…
闇の奥から男の最後の声が聞こえる
「そうそう、言い忘れてましたが
他の投稿のコピペは無効ですからね」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話