僕には霊感はあまり無いので自分の実体験の話は少ないのですが、
小さい頃から人から怖い話を聞くのが好きでした。
特に霊感が強かったのが父親の妹の、ひとみおばさん(仮名)でした。
僕と弟は父の田舎に行く度に、「おばちゃん。新しい怖い話して!」と、せがんでいたのを覚えています。
ひとみおばさんは産まれた時から病弱で、
僕が小学校に入学した年に一度病気で死にかけました。
実際には手術中に二度心臓が止まったそうです。
それでもなんとか助かったのですが、
その手術を境に霊が見えるようになったんだと言ってました。
そんな、ひとみおばさんは四年前に亡くなりました。
死因は心不全でした。
産まれた時から病弱だったので
長く生きたほうだと親戚の方々に涙ながらに父は説明していました。
「おばさんの顔を見てはいけないよ。
お前らは、おばさんと仲良しだったから顔を見られたらきっと 、ひとみが悲しむよ。」
と、白い布が被さってる、おばさんの死体を見ていた僕と弟に父は言いました。
もちろん見る気はありませんでした。
でも父がその場から居なくなってから白い布が少しずつ勝手にずれていきました。
そして、おばさんの顔を僕と弟は見てしまいました。
目、口は大きく開き、心底驚いたような顔でした。
まるで何か見てはいけないモノを見てしまったかのような。
それを見た僕と弟はサッと白い布を被せ、
手を合わせました。
「死ぬ時ってあんな顔するもんなのかな?」
弟が独り言のように呟きました。
「いや、普通じゃないだろ。」
僕も、今まで見たこともない顔に言葉が詰まりました。
葬式が終わり、おばさんの部屋を片付けていると、僕と弟宛ての封筒を見つけました。
中には、手紙とお守りが二つ入っていました。
以下、手紙の内容です。
私はもうすぐ死にます。
もう怖い話を○○(僕)、○○(弟)にしてあげる事は出来ないね。
おばあちゃんが凄く寂しがっています。
私はそれが辛いのです。
一人になってしまった、おばあちゃんは、いつも私を呼んでるんだ。
どんどん近づいて来ているのが分かる。
連れて行かれるのは私だけでいいから。
同封した、お守りは私の念をしっかり込めたモノです。
悪い霊が近づいてきても、持ってれば大丈夫だからね。
最後に、今まで気味悪がらずに接してくれてありがとうね。
私の大事な家族○○と○○へ。
そう書いてありました。
祖母は、ひとみおばさんが死ぬ一年前に死にました。
本当に祖母が、ひとみおばさんを連れて行ってしまったのかは今は分かりません。
去年。おばさんから貰ったお守りの紐が切れることがありました。
その日、祖父もまた、心不全により帰らぬ人となりました。
これも祖母の仕業なのか自分には全く分かりません。
ただ今も肌身離さず、ひとみおばさんから貰ったお守りは身につけています。
怖い話投稿:ホラーテラー りーくさん
作者怖話