短編2
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聞いたはずなのに

あまり怖くないとは思いますが・・・友達のYちゃんとTちゃんが教えてくれた話です。

Yちゃんたちが中学生の時、移動教室で山に行ったそうです。

最初はみんな元気に登っていましたが、だんだん疲れてきて一休みしました。

すると次第に霧が出てきたので急ごうということになりまた歩き始めました。

Yちゃんは昔から霊感が強く、その時に何かを感じたそうです。

歩いてしばらくすると、山の崖の方から自転車をこぐような音が聞こえてきました。Yちゃんは『自転車の音がしない?』と聞いたのですが、Tちゃんも、みんなも聞こえないようです。でもそこは山・・・。

そんな音が聞こえるはずありません。Yちゃんは怖くなって急いで歩きました。

そしてその夜、宿泊施設で寝ていると、押し入れの方から『ぎり、ぎり・・・』と引っ掻くような音が聞こえてきたのです。

しばらくすると『どん、どんどん!』という叩く音に変わりました。

Yちゃんの頭の中には押し入れの中の映像がはっきりと浮かびました。

小さな男の子が体育座りをして、うつむきながら押し入れの壁を叩いているのです。『開けて、開けて』といいながら。押し入れの扉は釘や木片、ガムテープなどでとめられて開かないようになっています。

Yちゃんは怖くなって布団を被り寝ました。

翌朝Yちゃんは、Tちゃんたち、みんなにその話をして押し入れを開けました。

中には古くなってボロボロのカバンが入っていたのです・・・。

YちゃんとTちゃんは本当に怖かった、と震えながら話してくれました。

その話をしたとき、私とYちゃんとTちゃんを含め五人いました。

みんなで『怖いね〜』と言いながら話したのを覚えています。

しばらくたってYちゃんとTちゃんが他の友達にその話をしていたので、私と、前一緒に聞いた二人も話の中にはいりました。

前と同じように話しは進んでいき、怖い怖いと言い合いながらクライマックスまで行きました。

しかし、Yちゃんたちの話しは『どん、どんどん!』という音が聞こえたというところで終わっていたのです。以前話を聞いた私たちは、『あれ?男の子の映像は?古いカバンは?』と口々に言いましたが、YちゃんもTちゃんもキョトンとしています。

あんなにはっきりと話してくれたのに、あんなに震えながら話してくれたのに。私たち三人は不思議でたまりませんでした。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

長文乱文失礼しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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