はじめて投稿します。
本当に自分にあったことなので怖いと感じないかもしれませんが…
私(男)は地元を離れた大学に通っていました。
これは、今から5年前、地元に帰省した大学2年生(確か…)の時の話です。
高校生の時は人並みに悪さをしていました。
といっても、飲酒とか喫煙とか夜の徘徊とかたまに喧嘩したりだとかですが…
とにもかくにも、私の周りには「悪友」と言うべき、それなりの友達がいました。
大学生になっても交流があり、帰省する度に連絡が入っていつも遊んでたんですが…なぜか基本、集合は夜11時過ぎてからでした(笑)
で、そのころよくやってたのが、自分たちが住んでいる市内から市外の友達の家に山道通って車で行くことでした。
ぐねぐねした山道を、夜中爆走して…1時間かかる道のりを30分で行ってました…
もうその時点でちょっとしたホラーだったんですが。
で、ある日のことです。
市外にある友達(夜中に連絡もせずにいきなり向かう)のところに行く前に、私たちの中の一番のボスが、どこから仕入れてきたか分からない情報ですが
「廃墟ホテル行こうぜ」
と言いました。まあ田舎の夜だから特に何もすることはないですし、車はボスのものだったので主導権はボスにあります。
その日も一緒に遊んでたいつものメンバー(私、ボス、A、B…男4人組…)で行くことにしました。
その時はそれがどこにあるか知らなかったのですが、廃墟ホテル?は県境の国道沿いにありました。
ちなみに、「廃墟ホテル?」と書いたのは、ボスがホテルと言ってただけであって、実際は何の建物か全然わかりませんでした。
まあ、ここでは仮に廃墟ホテルとしておきます。
海沿いに続く県境をず~~~っと走って、
「あれ~この辺だけどな~」とか
「なくなったんじゃない?」なんとか言って1時間近く迷っていると…
国道から少し入った坂を下ったところに、ふっと黒くて大きい影が見えました。
国道でも街灯が少なく、月明かりも無い日でかなり真っ暗だったので、「ぼやっと大きな影が出てきた」そんな感じでした。
そんな明りが皆無な上に、私は鳥目といいますか…暗いところでは全く目がききません。
お化け屋敷なんか行くと「怖い怖くない」以前に「全く見えねえ!」という現象が起きます…。
肝試しなんか最悪です。足元が怖くて、お化け的なものに怖がれません。とにかくこけます…。
話がそれました。
廃墟ホテルは道路から少し下ったところにありました。道路からみて、ホテルの裏には海が広がっています。ホテルに下るための道にはチェーンがしてあって、車では入れませんでした。しかたがないので車を路中し、歩きで坂を下って行きました。
しばらく下ると、廃墟ホテルの正面に出ました。明りが一切なく、何階建てなのかは分かりませんでした。見上げると、ただただ真っ黒な影がずっと続いて見えました。
懐中電灯を持ってきてなかったので(なんという無計画!)、携帯のライトをつけて廃墟ホテルの入口を見てみると、入口は板が無造作に打ちつけられていて完全に塞がれていました。
その板にはスプレーで余すところなく落書きがされていました。よく見ると、入口だけでなく、窓という窓にも外から板が打ちつけられていました。(1階しか見えませんでしたが)
「なんじゃこりゃ、これじゃ入れんやん」
「ほんとやな~…」
と言いながらぐるっとホテルの周りを右回りで歩いていると…ちょうど入口から裏辺りに来たとき
「お、ここの窓、板ついてないぞ」
とAが言いました。
見ると、板もガラスもついていない窓がありました。
その右手側…1mほど離れたところに、同じように板もガラスもついていない窓がありました。どちらも肩の高さくらいのところにあり、人一人が頭から突っ込んで何とか通るくらいの大きさの窓でした。
何度も言いますが真っ暗です。ホテルの裏側なので、国道の電灯の明かりも届きません。というか、あらゆる窓に板が打ちつけられていたので、中には全く光が入りません。
「…どうする?」
なんて、私が若干ビビりながら言うと
「入ろうぜ!」
とボス…。
他の二人もOKということで、じゃんけんをしました。
一人ずつしか入れない窓です。「誰が一番初めに行くか」はとても重要です。最初はグーにも力が入ります。
じゃんけんの結果…
ちょっと肉付きが良いAが一番手、
ボスが二番手、
私が三番手、
小さい坊主頭が四番手(何気に最後も怖い!)に決まりました。
特に相談して決めたわけでもないのですが、右回りで裏に回ってきたからでしょう、自分たちに近かった左側の窓から一人ずつ入りました。
頭から窓に体を突っ込んで、後ろから体を押しながら中に入りました。
最後の人間は誰が押したんだ…
なんて怖い話ではなく、最後は腕の力で普通に入りました。
中に入ると、ますます真っ暗。携帯のライトをつけても、手の先ほどしか見えませんでした。
ただ、暗いほど怖いものはありません。
何かが見えるときは、いきなり見えてしまいますから…。
真っ暗の中周りを照らしながら見てみると、右手に道が続いていました。
手さぐりでゆっくりと進んでいくと、左手の壁に道が現われ、そこを進むとまたすぐに左手の壁に道が現れ…そこをまたしばらく進むと、前に腰の高さほどの高低差のある床が広がりました。
少しずつ慣れてきた目(それでも私はほとんど見えない…)を凝らしてみると高低差のある床はステージのような感じでした。
しばらく辺りを散策しましたが…特に何があるわけでもなく、布切れとかゴミが落ちているだけでした。
で、ステージまで来た道を戻ったんですが…これが今でも何なのかわかりません。
ステージまで来た道(幅1mほど)の左右に4つか5つずつ小部屋?がありました。
中は3畳くらいの広さで、壁は木でできていて、扉などはありませんでした。
馬小屋?とも思いましたが、床は砂ではありません。普通の室内の床でした。
これが何なのか分からないので、廃墟ホテル?と書いたわけです。
「これなんだろ…」
「馬小屋か~?」
「牢屋かもな」
「いやいや、牢屋壁が木製か?」
「あのちょっとしたステージは何なんかな~」
とかなんとか言いながらまた散策していると、もう一本隣の通りにも同じように小部屋が…その一本奥にも…
結局、そこは結構広い所で、歩いた感じでは廃墟ホテルの入口辺りまで続いていたのではないかと思います。
その後、二階に上がる階段を見つけましたが、あまりにも目が慣れてこないので、もう出ようということになりました。
(へたれですみません…でも本当に暗すぎて見えなかったんです…)
入ってきた窓から同じように一人ずつ出て
「ん~…特に何もなかったな」
「あの小部屋はなんだったんかな~」
なんて言いながら、もともとの目的地であった、友達の家に向かいました。
友達の家に着いて、私は熱が出ました。
こういう肝試しっぽいのをすると、よく熱を出すんです…。
ま、そんな熱には慣れっこの私ですので特に気にもしませんでした。
翌朝は案の定、熱は下がってましたし。
で、ここからは翌朝の話なんですが、ボスが
「昨日の廃墟ホテル、今からもう一回行こうぜ」
と言いました。なんせ、昨晩はほとんど見えなかったですからね。
で、また路中をして坂を下ると廃墟ホテルの前に着きました。
昨日は全然見えませんでしたが、後ろは真っ青な海が広がっています。
でも、廃墟ホテルは全体的に暗く、きれいな海と異様なコントラストでした。入口はやっぱり落書きだらけで、ひどく汚れていました。
で、昨日入った窓のほうに行くため、ぐるっと裏手に回ったとき…愕然としました。
二つあった窓。
私たちが何気なく入ったのは左の窓から。
右の窓は…下がぽっかりと穴が開いていました。
穴といっても建物の一部として作られたものでしょうが、深さ5mほど、建物からの幅が1mほど、奥行きが5mほど
柵も無ければ階段も無い。壁と床はコンクリート。
小部屋といい…何のために??
もしあの夜、右の窓を選んでたらそこに落ちていたわけです。
命を落とすような高さではなくても、真っ暗の中、そんなとこに落ちたら…
気持ち悪かったので、もう廃墟ホテルの中には入りませんでした。
気晴らしに、別の道から回って廃墟ホテルの下にある砂浜に行きました。
砂浜から見た廃墟ホテルはちょっとした崖の上にあります。見上げるとやはり不気味でした。
で、その崖、結構な高さの草が生い茂ってたんですが…なんでそんなことをしたのか、今でも不思議です。
広がっている草むらの一部を、ただただ何となく私がかきわけました。
すると、岩の上に手のひらサイズの顔だけの仏像がありました。
その仏像は微笑んでいましたが…ひどく怖かったです。
なんでここに…なんで顔だけ…なんで私はここをかきわけたんだ…
「なんで」ばかりになってしまいましたが…本当に不思議でした。
ちなみに、この廃墟ホテルですが、今グー○ルマップで調べてみましたが、どうも残っていないみたいです。
おそらくここだったという場所は「管理用地」の看板がたてられていました。
以上、長々とすみませんでした。
怖い話投稿:ホラーテラー ひろんさん
作者怖話