子供の頃の不思議な体験。
皆さんはトワイライトゾーンというのを知っているだろうか。俺もよく分からないけど、出口がないみたいなそんな感じの場所だと思います。
小3ぐらいだった頃。当時仲が良かった、友人4人で近くの山に探検しに行った。別段どこにでもありそうな、なんの変哲もない小さな山だった。
だけど、そのころの俺たちにとってはアマゾンのジャングルにもまさる広大な冒険地域だった。
そこでしばらく変わった虫を見つけては驚いたり、変な種類のきのこを見つけては喜んだりして遊んでいた。
太陽も西の空へと傾きはじめ、そろそろ帰ろうかというときになった時、ふと気がついた。友達の一人が居なくなっていた。
皆で遊んでいる途中にはぐれてしまったようだ。俺たちはそいつの名前を呼びながら、汗だくになるまでそいつのことを探した。あったりは真っ暗。夜はもうすぐそこまで来ていた。
いくら探してもそいつのことは見つからなかった。しょうがないから、帰って大人に言って探してもらおうということになった。俺たちは並んで、山の出口を目指した。出口に通じる道には、ところどころの木に、石で削ったりして目印をつけていた。俺たちはそれをたどりながら進んだ。
・・・数分あるいた頃、俺たちは何かがおかしいことに気づき始めた。いいかげん歩きすぎだった。山はそこまで広くない。それに目印をつけた木はたったの3本だったはずなのに、目印と思う木をとうに10本は過ぎていた。
俺たちは次第に不安になってきた。友達の一人が腕時計を持っていたので、今何時かを聞いてみた。・・・しかし時計は5時43分で止まっていた。冒険者気取りで持ってきた磁石も、どこに置いても針がくるくる回るばかりで、まるで方向が定まっていない。その時はじめて俺たちは、自分たちが遭難してしまったことに気づいた。
とうとう友達の一人が泣き出した。俺も必死にこらえていたが、不安と恐怖でこぼれるしずくを抑えることはできなかった。このまま俺たちはどうなるのだろう、そう思ったときだった。
・・・遠くのほうで俺たちのことを呼ぶ声が聞こえた。絶望に満ちていた俺たちの心に一筋の希望の光が差し込んだ。俺たちは死に物狂いでその声のするほうへと走った。そこにはなんと迷子になっていたはずの友達がいた。
「どこに言ってたんだよ。心配したんだぞ。」っとその友達が言った。俺はまけずにこう言った。「お前こそ。俺たちお前をずっと探してたんだぞ。どうすんだよこんなにくらくなっ・・・!」
そこで俺は初めてあたりを見回した。太陽がまだ落ちていなかった。暗くなりつつはあるが、まだ真夜中ではない。
「おい!今何時だ!」俺は時計を持っている友達に叫ぶように尋ねた。
「5時44分だ・・・。」時計は動き出していた。混乱する俺たちに、迷子になっていた友達はこうつげた。
「ずっとって。ほんの数十秒離れてただけだろ。おおげさだなぁ。」そういってその友達はあはははははと笑った。俺たちはその友達の笑いと、この山とが怖くて怖くてしかたなかった。
今思い出しても、あの山での出来事は不思議でなりません。その後たまに実家に帰ってもあの山は極力みないようにしています。
怖い話投稿:ホラーテラー メアさん
作者怖話