先日…我が息子がサッカー部の合宿で体験した話です…。
7月の終わりに信州方面に夏の合宿に行った。
1週間の予定で最終日は地元の中学生との交流試合をして、親睦を深めていた。
最終日の夜…。
息子の友達が変な事を言い出した。
それは…
『3日前の夜中、小便に起きた時に山に行く女の人を見ちゃったんだ…。
後を付いて行くのは怖かったから、便所の窓から女の人が帰って来るのを待っていたんだ…。
そしたら…聞こえたんだよ…。微かにだけど、木に何かを打ち付ける音が…。』
その友達の話だと約20分後に女は山から降りて来たそうだ。
皆はいろいろと質問をし始め、白装束だったとか…ろうそくを持っていたかだとか…その友達は一つ一つ質問に答える。
『服は普通にTシャツにジーンズ、ろうそくは持っていなかった。何か紙袋は持っていた。髪は長いんだろう…ポニーテールにしていたよ。
普通に山を登っているけど殺気立っているのが判ったんだ。
降りて来た時は達成感なのか足取り軽やかでそのうえ…、
笑っていたんだ…。』
誰かがポツリと一言…
『それって、藁人形を打ち付けに行ってんじゃね?』
するとそこは野郎共の集まりだけあり、見つけに行こうと言う事になった。
夕飯の後は消灯までは自由時間。
先生には周辺を走って来ると言い、外に出る事に成功。
しかし、最終的に出たのは息子と目撃した友達いれて6人だった。
宿泊施設の脇から山に登るとそれは直ぐにあった…。
山を5分くらい歩くと大きな杉の木が無数に広がっていた。
その周辺は木に遮られており暗く、異様な空気だったそうだ。
少しづつ奥に行くと他の木とは違う大木がそそり立っていた。
その大木には無数の打ち付けられた藁人形…。
中には写真を貼ってあるもの、布に包まれているもの、一番怖く感じたのはその恨んでいる人のものだと思われる髪の毛の束を人形に絡ませ、見た事のないくらい太い釘が刺さっていたものを見た時だった…。
『やべぇーよ…。戻ろうぜ…。』
その時…声をかけられた。
『君等、こんな所で何やってんだ…。』
一斉に振り返るとリュックを背負った中年男性がそこにいた。
皆は言い訳のように山にジョギングしていたら奥まで来てしまっただの、足腰を鍛える為にやってきたらこんな所まで来ちゃっただの言っていると、
『此処は負の漂う場所だから近寄ってはいけない。
すでに君等に憑いているかも…一応、神社やお寺にお参りに…後で良いから行きなさい。
絶対に此処には来てはいけないよ…いいね…。』
ちょっと怖い顔で言われ、逃げるように山を下りた。
宿泊施設に戻って風呂に入っている時、そこは現代っ子。怖かったなぁなどと笑いながら話しているとその中の一人が風呂場をシィーンとさせる話をした…。
『お前等…見なかったのか?あのおじさん………、
リュックの中に藁人形入れてあるのが見えたぜ…。
脇から人形の手の部分が出ていたの見ちゃったんだよ…。』
翌日…息子達は近くの神社にお参りに行ったのは言うまでもなく…今のところ、うちの息子はじめ皆は元気にやっているらしい…。
息子は一言…
『あれって、《丑の刻回り》って言うんでしょ?
見なきゃ良かったと思ったよ!
世の中、見なくても良いモノってあるんだね…。』
息子にとって勉強になった一夏の経験だったのかなと思い、こうやって大人の階段を登って行くんだなと感じた今日この頃です…。
文章にすると面白味に欠けるかなと思いました。
つまらない話で申し訳ありません。
怖い話投稿:ホラーテラー 濱っ子とうちゃんさん
作者怖話