新入社員の高村は再び、先輩の吉原に言葉を投げ掛けた。
『いや…さっきから人の気配がしてまして…先輩、来ていると思って……。』
タッタッタッタッタッ…。
その時、階段を駆け上がる足音がした…。
『先輩!!聞きましたかぁ今、誰かが階段上がっていきましたぁ!!』
『あっ…あぁ…。確かに、誰かいるな…?』
吉原も驚き(ビビってる)、冷や汗をかきながらも冷静を装い、指示を高村にするのであった。
『おっ…お前、車から懐中電灯と御守りを持って来てくれ…。』
『おっ…御守りですか?交通安全のヤツですか?』
『無ぇより…ましだ。』
『・・・。』
高村が車から懐中電灯と交通安全の御守り(?)を取って来て、二人は二階に上がった。
二人は開けていた窓を閉めながら、周囲を見渡しキョロキョロと落ち着きをなくしていた。
全部の窓と雨戸を閉め終わると、思った通り真っ暗になった。懐中電灯を付けて、吉原は御守りを握りしめ二人共、早足に一階へと階段を降りる時だった…。
カリカリ…カリカリ…。
何かを引っ掻くような音が…。そして……。
キィィー……
奥の部屋であろうドアの開く音がした。
『奥の部屋…窓もドアも、ちゃんと閉めたよな』
『全部、雨戸まで閉めたじゃないですかぁ…!』
すると…また引っ掻く音がして、その音がだんだん近づいて来る。
二人は一目散に逃げ出し、外に出た。
車に乗り込みエンジンをかけ、直ぐに発進…!
車の中で二人は震えながら無言で会社へと急いだ。
走っているうちに少し落ち着きを取り戻し、吉原は自分の知ってるあの家の事を話し始めた。
『あの家であった事は話したよな…。
地下室があるのを知ってるか?』
『はい…。聞いた事があります。』
『じゃあ、B1とB2になっているのは…?』
『二段になっているんですか』
そう…。あの家には地下室があり、広いB1階にもう一段下に狭く出来たB2階もあったのだ。
そのB2の地下室は奥方が宗教信仰の為に後から造った部屋らしい…。
『実は俺の同期で望月ってのがいてな、前にあの家の担当だったんだ…。
そいつにあの家の事はいろいろ聞いててな…。B2に行くって言っててな…。』
『その望月さんは…?』
『行方不明だ…。』
そこから会社に着くまで、二人は一言も喋らなかった。
会社に着き、部屋に入るなり部長が高村を呼び寄せた。
『明後日の日曜日にお前の担当している、あの家を見学したいと言う電話があったから明日、綺麗に掃除しておいてくれ!
思ったよりも早く見学者が来たな…。まっ、あの広さでこの価格なら…。』
すると同時に、
『高村さぁ〜ん…。高村さん、帰ってます?』
『はい!』
『あの担当の家の近所から電話で門もドアも開けっぱなしらしいですよ!』
すると電話を受けていた女性社員が耳を疑うような事を言った…。
『近所の人が怒ってましたよ。ドアや門ならまだしも、全ての窓まで開けっぱなしってどう言う事!って…。』
高村と吉原は顔を見合わせ再び震えた…。
…つづく
※長らく投稿しないでスミマセン…。
実はこの話を書くにあたり、私の幼なじみが絡んでまして…。
同窓会があり、久しぶりに前に住んでいた所に行って、この《忌》の家の話を聞いて投稿したくなりました。私の幼い頃の話は知っていますが今、書いている話は全て幼なじみから聞いた事を投稿してます。
いろいろと聞いた話をまとめていました。
メールを打ったり、電話で確認したりで時間がかかっています。
この幼なじみはずっとその土地に住んでおり、話に出てくる不動産屋で働いています。
ですので、何話にも続きます。長くなりますので興味のある方は楽しんでください。
なるべく誤字、脱字はしないように心掛けますが、あった時はご勘弁を…。
ちなみに、私なりに解釈して投稿してますが、ベースは本気話(マジバナ)であります。
台詞部分は半分は本当、半分は自分なりです。
読みかたは《きのいえ》です。
それでは次回まで!
怖い話投稿:ホラーテラー 珠唸童子さん
作者怖話