これは友人のAとSと一緒に割りと山の方にあるKの家に泊まりに行った時の話だ。
離れに泊まってた俺たちは本家まで行くのが面倒で、家の脇で立ちションをしてたんだ。
ふと顔を上げると、森の中を人影がうろついていた。
怖かったが、俺達は好奇心から、その人影が何をしてるのか、近くで見てみる事にした。
近づいてみると、人影は男だという事に気付いた。
だが、近づくにつれて、その男に違和感を感じた。
その男の姿がハッキリと見える所まで来た時、その違和感の正体が分かった。
なんと、その男の顔は、普通の人間より遥かにデカかったのだ。
その時、男が俺達に気付いた。
俺達が逃げようとすると、男は、
「あなた達はぁぁぁ!!」と、森中に響く大声で叫びながら追いかけてきた。
俺達はパニックになり、
「うわぁぁぁぁ」
「怖ぁいよぉ」
などと叫びながら家まで全力で走った。
その間も男は、
「あなたた達あなたた達」と、叫び続けていた。
無事に家にたどり着いた俺達は、部屋でじっとうずくまっていた。
男は暫く家の周りをうろついていたが、やがて気配が消えた。
その間もずっと、
「あなた達、あなた達」
と、言っていた。
男の気配が消えたので、
俺達がホッと胸を撫で下ろした瞬間、Kが突然、
「あなた達は本当にかわいそうだよぉぉぉ!!!」
と言って暴れだした。
「あなたた達あなたた達」
「本当にかわいそうな人達だよぉぉぉ!!!」
「デスネ、デスネ、デスネェ」
あまりの恐怖に、俺達は部屋を飛び出し、Kを部屋に閉じ込めた。
暫く中の様子を見ていたが、
「ノウ●ノウ●ノウ●ギギギギギ」
(何て言ってるかよく分からなかった)
と叫んでKは頭をかきむしっていた。
その瞬間、俺達の恐怖は頂点に達し、みんな全力で自分の家まで逃げ帰った。
翌日、Kの様子を見に行くと、何事もなかったようにマンガを読んでいた。
どうやら、部屋での出来事を全く覚えていないようだった。
それからはあの男を見る事も、Kがおかしくなる事もなかった。
あの男は、一体何だったのだろうか。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話