長文です。誤字脱字、その他読みにくい箇所があるかもしれませんがお願いします。
私はとある市で生活相談員の仕事をしています。
昨年の今頃のことです。
その日は、役所内の冷房の効きも悪くなるほどの猛暑日でした。
ふと、湿り気のあるヒヤッとした空気が流れてきました。私は前の席の相談員と顔を見合せ、冷気の流れてくる方を見ました。
すると、そこには明らかに負のオーラに包まれた1人の女性がいました。
『あ〜完全に終わってるな…』
それが彼女に対する第一印象でした。
世の中には時々いるんです。
誰が見ても不幸だって分かるようなオーラの持ち主が。彼女もそういった人種でした。
一先ず、窓口で詳しい話を聞くわけにもいかず、面接室に通そうと、彼女に声をかけました。
面接室で話を聞くと、彼女は私が想像していたよりもハードな人生を送っていました。
7歳で、両親が離婚。
母親と二人で暮らし始める。
中学卒業後、家計を支えるために工場で就労。
18歳の時、母親が統合失調症を発病し、母親に切り殺されそうになる。
その後、母親は措置入院(強制的に入院させられこと)となった。
19歳で付き合っていた男性との間に子供ができ、結婚。
しかし、結婚してまもなく、男から暴力を振るわれる。
子供は5歳で交通事故死。
裁判を行うも、運転手の過失が認められず、敗訴。
母は入院中に若年性アルツハイマーを発病したため、今は退院したものの自分では何もできない状態で介護が必要である。
夫が傷害罪で逮捕されている。
彼女はまだ27歳にも関わらず、髪の毛は白くなり、目も窪んでいました。
一通り話終わり、一息ついたところで、彼女は急にカッと目を見開き突然叫び出しました。
「母を殺した!私も今からここで自殺する!!」
彼女はすごい勢いで鞄からナイフを取り出し自身を刺そうとしました。
しかし、我々相談員はそんなことには慣れています。机の下に常備している催涙スプレーを噴射し彼女を取り押さえました。
彼女は病院に救急搬送され、そのまま精神科のある病院に入院しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 相談員さん
作者怖話