結構前のことですが、私の家の周りではよく自殺が起きていたんです。
あるときは、隣のおじいさんが・・・
またあるときは、向かいのおばさんが。
私の家の前には川が流れているのですが、その川沿いにある大木の枝で首をつる人が多々いました。
その影響なのか、私の家の近くでは、幽霊を見る人が多く、ちょっとした心霊スポットとして村の人に有名でした。
私の家はまさに、そこにドンピシャリの場所。
私は、よく幽霊を見ていました。
外ではなく、家の中で。
私が部屋で遊んでいると、どこからともなく風が吹いてきて、その直後に部屋の窓に女が現れたり、
洗面台で歯を磨いていると、玄関のほうに老婆が立っていたりと
まだ幼かった私は、「お客さんかな?」ぐらいにしか思っていませんでした。
でも、一つだけ怖いことがありました。
寝ていた私は、深夜に目が覚め、トイレに行きたくなったんです。
一人では怖く、隣で寝ていた母を起こして行こうと思い、母に声をかけました。
「ねぇお母さん、トイレ・・・」
すると母は、目をこすり、眠いながらもトイレに付き合ってくれました。
母にトイレの前で待っていてもらい、オシッコをしようと便器に腰掛けると、
おそらく、換気扇の中?だと思うんですが、ものすごいうめき声。
例えるなら、牛の鳴き声のような感じ。
夜も遅かったので、さすがにビックリし
急いでトイレをすまし、お母さんに泣きついて、そのことを話しました。
実は、母も霊の存在には気付いていて、少し怖かったようです。
これをきっかけに、私の家はお払いをしてもらうことになりました。
神主さんがやってきて、家の前から、一部屋一部屋お払いしてくれました。
お祓いが終わった後、神主さんが、
「ここは霊道になっています。
しかもかなり大きい・・・家にある鏡は全て、霊道が別のところに移るまで、外しておいてください。」
神主さんが言うには、霊道は、小さくなれば どこかに移ってしまうんだそうです。
やはり鏡は良くないらしい。
そういわれ、家の鏡を全て外し、倉庫にしばらく、しまっておくことになりました。
鏡の無い生活は思ったよりも不便で、私はいつも、窓のガラスに自分を反射させたりしていたんです。
ふと思いました。
これも鏡と似たようなものなんじゃないかと。
案の定、その瞬間はすぐにおとずれました。
いつものように、ガラスに自分を映して服の確認をしていると、廊下の方に女の人が立っているように見えました。
ゆっくりと、廊下を行ったり来たり・・・
私は、ガラス越しにそれを見ていました。
まるで道にでも迷ったかのように
最後に、こちらに歩いてきて、私のすぐ脇を通り過ぎていき、どこかに消えてしまいました。
しばらくして、またあの神主さんがやってきました。
周り一体をお祓いした後、「鏡は、もう大丈夫ですよ」と言っていた。
どうやら、霊道はどこかに移ってしまったらしい。
お祓いのあと、私は神主さんにあのときのことを話してみた。
すると神主さんは
「それは、多分霊道が狭まって、通れなくなってしまったから、少し困っていたんだと思うよ」
と言っていた。
後日、あの大木から、女性の遺体が発見された。
同じ村の住む、大学生の女性だった。
私が見た女が、その女性だったのかは分からないが、おそらくそうだと思う。(勘ですが)
なぜ自殺が多かったのかは、今でもよく分かりません。
それ以来、私の家に幽霊が出ることは無くなりましたが、
今でも鏡を見るたびに、ふと自分の後ろに視線がいってしまうんです。
また、誰かが立っているような気がして・・・
怖い話投稿:ホラーテラー ネギさん
作者怖話