休日の午後、居間で寝てると玄関の呼び鈴がなった。
俺は重い頭をかかえながら玄関のドアを開けると、若い男がスッと中に入ってきた。
見知らぬ男だった。
ボサボサの髪に赤いTシャツ、古びたジーパンをはいたその若い男は、いきなり俺に謝り出した。
「あ、あの…す、すみません…す、すみませんでした…ほ、本当にごめんなさい…」
なるほど。
分かった。この男は家を間違えてるのだ。
そう思った俺は、男に言った。
「多分君は家を間違えてるんじゃないかな。俺は君を知らないし、会った事も無いんじゃないかなと…」
俺がそう言い終らないうちに、男は急に泣き出した。
そして俺をジッと見つめながら話出した。
「こ、この家で…間違いありません…
俺…さっき…この家に強盗にはいったんです…そ、そしたら…あんたに見つかって…
揉み合ってるうちに…あんた…机に頭をぶつけて…
た、倒れたんだ…
俺…俺…倒れたあんたの首を絞めて…
お、俺…あんた…こ、殺…たんだ…」
男は号泣していた。
強盗?
俺を殺した?
サッパリ話が飲み込め無かった。
だが、玄関に置いてある鏡にうつる自分を見て俺は驚愕とした。
俺の首には、ハッキリと人の手形が赤く浮かんでいたのだ。
多分こいつの言ってる事は本当なのだろう…
俺は頭をぶつけて、一時的に記憶が無くなっているのだ。
俺は男に言った。
「君が言ってる事が本当だとしたら、俺は君を警察に突出さなければならない。
立派な強盗犯だからな。君はそれを承知で、ここに戻ってきたのかい?」
男は泣くのを止めて、小さな声で呟いた。
「む、胸の痛みが取れないんです…
強盗と…さ、殺人は…ど、どちらが罪が重いんですか?」
「大丈夫。君は殺人者じゃないよ。」
俺がそう言うと、男はホッした顔になり、Tシャツの下に隠していた物を俺に突出して言った。
「良かった…
じゃあこれお返しします。」
それは血の付いた包丁だった…。
それを見て、俺は全てを思い出した。
そう…
こいつは強盗だった。俺の首を絞めてきた…
俺はそれを振り払い、台所にあった包丁で、こいつの胸を刺した…短い悲鳴をあげながら、こいつは包丁が刺さったまま玄関から逃げて行ったんだ…
男は呆然とする俺を、充血した目で睨み付けながら言った。
「俺は、あんたに、殺されたんだ。
これだけは伝えておきたくて…」
怖い話投稿:ホラーテラー ビー玉さん
作者怖話