俺には霊感というものがまるで無い
無いからこそ刺激を求めて、ホラー映画や、このようなサイトに来てしまうのだが…
そんな俺でも一度だけ、恐怖体験をしたことがある
当時は幽霊という意味での怖さはなく、何となく怖い!という印象だったのだが、改めて思い返しみて、あれは現実的におかしいよなという体験である
思い出しながら書くので、乱文は我慢してほしい
前置きが長くなったが、さっそく話したいと思う
あれは俺が小学1年生くらいの頃
ある日俺の家にジイちゃんが遊びに来た
久々にジイちゃんに会い、テンションの高かった俺は、ジイちゃんが買い物に行くと言うので、俺も付いて行くことにした
その帰り道、俺の家から目と鼻の先にある児童公園に、ジイちゃんを引っ張って寄り道したんだ
確か時間は夕暮れ前だったはず
その日は珍しく公園には誰もおらず、俺はすべり台で遊んだり、砂場で山を作ったり等、自由に遊んでいた
そんな時、俺が砂場で遊んでいると、不意に一人の少女に声をかけられた
「ねぇ!一緒に遊ぼう!」
ちなみに当時その公園は俺の憩いの場であり、毎日のように来ていたので、大抵の人と知り合いだったのだ
しかし、声をかけて来た少女は見たことが無い
明らかに新参者だ
年は俺より1つか2つ位下で、おかっぱの様な髪型、赤い服を来た、まるでアニメに出てくるトイレの花子さんのような感じ
俺は人見知りなので、その子のことは完全に無視した
少女も俺に無視されて、そのままどこかへと行ってしまった
しばらくすると、先ほどの女の子の笑い声が聞こえる
振り返ると、俺のジイちゃんにブランコを押してもらい、楽しそうに遊んでいるさっきの少女がいた
『うわなんだよ、ジイちゃん。あの子と遊んでるよ」
少しムッとした俺は、そのまま気付かぬフリをして、山作りを続行した
またしばらくすると、笑い声がした
しかしよく聞くと、声がダブって聞こえる
振り返ると、なんと少女が二人に増えていたのだ
しかも二人してジイちゃんと遊んでいる
増えてる!?と思ったが、よく見ると片方は少し背が高い
どうやら一人はお姉ちゃんらしい
年は俺と同じ位か一つ上
そして妹と同じ髪型、同じ服装だ
なるほど
姉妹そろって俺のジイちゃんをたぶらかしているんだな
あいつらめ
そう思った俺は、ジイちゃんをその子たちから離そうとした
「ねぇジイちゃん。もう帰ろうよ」
「そうだな。ジイちゃんも疲れたし、そろそら帰るか」
するとさっきまで笑顔だった少女たちから笑みが消え、
「ねぇ、もう帰っちゃうの?」
「もっと遊ぼうよ~」
人の良いジイちゃんは、仕方ないなぁと言いながら、再び姉妹と遊び始めた
「ほら、お前も入るか?」
「僕はいい。待ってる」
理由は分からない
なぜかその子たちと遊んじゃいけない気がしたのだ
まぁ人見知りもあるけどさ
そのうち、公園から帰宅を告げるチャイムが鳴りはじめた
このチャイムが鳴るということは時間は夕方の5時
俺は待ってましたとばかりに、
「ジイちゃん!チャイム鳴ったよ!帰ろう!」
「お、もう5時かぁ。帰らないとな」
しかしまたしても、あの少女たちが
「もう帰っちゃうの?」
「まだいてよ」
「もう帰っちゃうの?」
また呼び止める
そしてジイちゃんはもう少しだけだぞ!と、またも遊び始めるのである
そんなこんなで、帰ろうとすると呼び止められ、結局8時ちかくまでジイちゃんは少女たちと遊んでいた
さすがに帰らないとマズいと思い、俺はジイちゃんの手を無理やり引っ張り、
「もう帰ろう!早く!」
とジイちゃんをその子たちから引きはがした
それを見た少女たちは、俺らに手招きしながら
「ねぇ、もう帰っちゃうの?」
と、クスクス笑いながら呼び止めてくる
さすがの俺も危険な雰囲気を感じ取り、ジイちゃんの手を強引に引きながら公園から抜け出した
その間も、ずっと少女たちは「もう帰っちゃうの?」と呼び止めていたんだ
それから無事家に着き、夕食を済ませ、さっきのことなんか忘れかけていた時、ふとジイちゃんが言った
「あの子たち、家に帰ったかな?」
時間はもう夜の11時近く、さすがにいるわけが無い
「いるわけないじゃん!こんな夜遅くに!」
「いやもしかしたらな、親が仕事とかで家に入れないのかもしれないだろ。ちょっと気になるから見てくるよ」
ジイちゃんをあの子たちに会わせちゃいけない
俺は直感的にそう思ったが、ジイちゃんは足早に家を出ようとする
俺は変な勇気から、ジイちゃんに付いて行くことにした
夜の公園は、昼とは違い静まり返り、異様な空気をかもし出していた
だが案の定、さっきの少女たちはいない
「ほらいないじゃん!早く帰ろうよ!」
「そうだな、もう帰ったんだな。じゃ帰るか」
と、俺らが元来た道を帰ろうと振り返った
「もう帰っちゃうの?」
?!
いる
たった今歩いて来た道に、あの姉妹が手を繋いで立っているのだ
その瞬間身体中から鳥肌が立ち、恐怖が身体を貫いた
俺は我を忘れ、ジイちゃんの手を強く握ったまま、別の道から逃げ、家路を急いだ
ジイちゃんは何が起こったか分からない様子であった
それから6年が経過し、俺は中1になった
あの日以来、俺はあの公園にはあまり行かなくなった
しかし、時間が経つにつれ、あの時の恐怖は日に日に忘れていった
そして6年も経つとそんなことなど、ほとんど覚えていない
そして俺は昔のように、あの公園で入り浸るようになった
そんなある日
俺は友人といつもの公園へと向かうと、既に公園ではクラスの女子数名が遊んでいた
「おおー、あんたらも来たんだ!」
「来ちゃ悪いかよー」
「いや悪くないけどさ。あ、そうだ!この子たちの面倒見てよ」
「え?どの子?」
「この子だよ」
すると、彼女の後ろから、ひょっこりと一人の少女が顔を出した
幼稚園生くらいで、髪はおかっぱ
赤い服を着ている
その子が顔を出した瞬間、心臓が激しく鳴り出した
身体からは冷や汗が出てくる
『ヤバいヤバいヤバい…その子見たことある!誰だっけ???』
誰かが思い出せない
しかし確実に知っている
そして分かることが一つ
今、絶対にヤバいことが起こってる
俺は一人脳をフル回転させ考えた
誰だっけ??
…あ、思い出した
それと同時にクラスの女子が言った
「あれー?もう一人いたのにな?あ、なんだ!あんたの後ろにいるじゃん」
俺は頭が真っ白になり、ゆっくりと振り返った
そこには、あの時の少女が笑いながら真後ろに
そして
「もう帰っちゃうの?」
それ以降、俺はあの公園に近付いていない
ちなみに、ジイちゃんは今だにピンピン生きているので
怖い話投稿:ホラーテラー KHさん
作者怖話