中編3
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手相見

手相見

「おい、A!オレの手相見て言ってやってくれよ!」

Bが叫んだ

Aは半年ほど前に引っ越して来たヤツだ

お父さんが占い師でAも手相なら見れるという

しかしこのBの

「おい、A!オレの手相見て言ってやってくれよ!」は今に始まった事じゃない

毎日とは言わないが何度もAを呼び、自分の手相に金運の線があるのを他のヤツに説明させるのだ

もちろん、聞いてる方も、二回目、三回目ってヤツもいるが

Bは地元大企業の息子、ウチのクラスどころか、同じ学年の親の大半がBのところで働いてる

要は逆らえないのだ

「なぁA、オレの手相の金運はどうなのか、コイツらに説明してやってくれよ」

「あぁ、この薬指と・・・・・」

いつもの説明、そして聞かされてる方もいつもの答え

B君は凄いなぁ

だから、家が金持ちなんだ!

そう言えばBは納得して去って行く、ヘタに余計なことを言わない方がいい

実際、言って親が会社をクビになったヤツがいるくらいなんだから

そしてある日、

「おい、A!オレの手相見て言ってやってくれよ!」また始まった

AはBの手を持ち、チラリとBを見ると、手のひらを擦った

「おいA!早くコイツらに言って・・・」

Aが口を開いた

「B君・・・何故か解らないけど・・・金運線が・・・消えてる・・・」

「ええっ!」Bどころか、聞いていたヤツもBの手を覗きこんだ

オレも近づき覗きこんだ、オレも何度も見せられて知ってる

薬指と薬指と小指の間の下に長くくっきりとVが刻まれていたのが・・・無い

「嘘だろ・・・」

呆然とするBからソッと離れて行くAの後を追った

「A!ちょっと待ってくれよ、待ってくれよ!」

「なんだ?何か用か」

「手相って1、2日あんなに変わるもんなのか?」

「まぁ、有り得ると言えば有り得るよ」

「あと、お前Bの手を擦らなかったか?あれは何?」

「ハッハッハッハ!見られてたのかよ、つまりそういうことだ」

「ええっ!どういう?」

「まぁ、誰にも言うなよ?オレがBの金運線を消したんだ」

「手相ってそんなことも出来るの?」

「ウチは特別だな、普通の手相見には出来ん」

「じゃ、Bは・・・」

「アイツが原因で金持ちから転落だ、人を何度も呼びつけやがってよ!ちょっとオマエ手を貸せ!」

Aはオレの手を引っ張り、ぐりっとなぞった

「ちょ、ちょっと、止めてよ!」

「心配すんな、とりあえず今日の事は内緒にしとけ、誰も信じないだろ?その変わりオマエには礼の変わりに結婚線を引いた、オマエは必ず22才で結婚のチャンスがある、それで結婚したら幸せな結婚生活を送れる、但し、22才までに結婚したり、22才過ぎて結婚したらうまくはいかない、オレはしばらくしたら引っ越すからよ」

Aはそれから一週間で引っ越しした

Aが引っ越しした次の日、Bの父親が脱税で逮捕された、スーパーで万引きしたBが逃げる時に落とした鞄から

隠し口座の通帳や印鑑が見つかった、それが原因で脱税が見つかったらしい

オレはハタチまで全然女にモテなかったのに21で彼女が出来、

22の誕生日に彼女の妊娠が発覚、それで結婚を決めることになった

あなたの周りにいませんか?

手相を見るときに、手を擦る人が・・・・

怖い話投稿:ホラーテラー ががまんさん  

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