昔ビデオで見た怖い奴だったから。
ある学校で、奇妙な噂があった。リリーさんと言うよ怪物だ。
リリーさんとは昔その学校で教師をしていた女の先生なんだけど、冬のある日に学校が火事になった。その時に逃げ遅れた生徒を助けようとして、焼け死んでしまったとの事。
リリーさんを興味本位で呼んでは行けないのだが、トイレの鏡に向かって「リリーさんリリーさんこっちに遊びにおいでなさい」と言った後に指を三回鳴らすと言うのだが、、、、。
ある時、女子生徒A子とB子がいて、B子がトイレで「ねぇ知ってる?鏡に向かってリリーさんリリーさんこっちに遊びにおいでなさいって言うと、リリーさんが来るんだって〜。」
A子そんなの有るわけ無いじゃん、第一あったら今やったアンタんとこに来るでしょ?(笑)
B子ううん、この後、三回指を鳴らすの。
まぁそれより教室に戻ろうよ。
その時、馬鹿にしたようにA子は指を三回鳴らしてしまった。
A子は陸上部に入っていて、性格は強気な子だから、、、。
それにしても、その時は何も起こらなかったため、授業に戻りました。
A子とB子は、授業が終わった後別れて、A子は部活に出ました。
そして、1人で放課後、体育館に行きモップを持つと陸上の大会を想像しながら、クラウチングスタートの姿勢をとり、スタートを想像しながら、「パァーン!!」と音がなる(想像です)と同時に、勢い良くモップを掛け始めました。
その時です。体育館の真ん中当たりまで来たときに、視線がA子に突き刺さります。
そう、リリーさんが来てしまったのです。リリーさんは体育館の壁下にある小窓からA子をジッと見ていました。
A子は振り返り、小窓に目をやると、そこにはリリーさんは居ませんでした。
その日も、A子自身は気のせいだ!と思い掃除をして学校から帰りました。
しかし、この日を境にA子にリリーさんの恐怖が始まります。
翌日、授業を受けているときに、A子はシャーペンを落としてしまい、それを取ろうと机の下を覗き込んだ瞬間、リリーさんと初めて目があってしまいました。包帯でぐるぐる巻きにされ、髪の毛が包帯の間から無造作に生えた顔が逆さまになって、こちらを睨んでいます。
A子「きゃぁぁぁ!!」
教室に悲鳴が鳴り響きました。
先生・「どうした!?大丈夫か?」
A子「あっ、いや、虫がいたんで」
A子はもう一度机のをみましたが、リリーさんは消えていました。さすがにヤバいと思ったA子は休み時間にB子に聞きます。
A子・「ねぇ、リリーさんてどんな奴なの?」
B子・「なにぃ?もしかして一昨日の話気にしてんの〜?」
A子「べ、別に気になんかしてないけど!どんな奴なのかなぁって」
B子「聞いた話だと、ワンピースに全身包帯だらけで、凄い速さで追いかけて来るんだって!んで捕まったら最後、殺されちゃうんだ。」
A子は一瞬凍りつきました。
机の下で見た奴とB子が言っている姿が一緒だったからです。
その日は先生との個人面談があり、先生は最近どう?と聞くと、A子は大丈夫ですと言いました。
先生は続けて、お母さんがいないから、大変でしょうに。
A子の母は既に病気で他界していて、気に障ったのか、
「関係無いじゃん!」と突っぱねます。
先生「そう、ならいいんだけど、最近授業にも身が入ってないようだから」と怒り口調で言った後
教室から出て行こうとしたときです。
教室の外はでるとすぐに階段があるんですが、その階段から下りてくるワンピース姿で包帯が全身に巻かれた奴の姿が教室の半透明な窓ごしに映りました。
A子「先生!!」
先生「何?」
A子「教室の外に何かいる!」
先生はスライドドアをガラっと開けたが、何もいなかった。
先生「気のせいでしょ」
若干切れ気味に出て行った。
A子が再び階段のほうに目を向けると、リリーさんの姿はまた消えていた。
少しずつ近づいてくる恐怖に、A子は何とかしなくてはと思い考えていると、ある事を思い着いた。
「そうか!噂を広げた本人に会えば、リリーさんの対処法を知ってるかも知れない!」
次の日、A子はB子に聞きました。
A子「ねぇB子、リリーさんの話、誰から聞いたの!?」
B子「私の小学校の時の同級生からだよ!それより何でまだそんな事聞くの?」
A子「何でもない、これは私の問題だから。後、小学校の友達の家教えてくれないかな?」
B子は少し感づいた様子でしたが、何も聞かずにその友達の家を教えると、A子はその人の家に向かいました。
A子はB子の友達に会いに行きました。リリーさんの噂の件をたずねると友達は、私は他の友達から聞いたのよ、その人は良く近くの喫茶店にいるから、そこに行けば会えるんじゃないかな〜?
A子は御礼をするとその店に向かいました。
喫茶店に着くと、数人で話をしている男女がいて、A子がこの中に○○さんはいますか?と尋ねました。
すると、その中の1人が、「俺だけど、どうしました?」
A子は今までの状況を伝えて、リリーさんの事を○○さんに聞くと、
○○さん・「ん〜実はオレも知り合いからきいたからリリーさんを追い返す詳しい方法は分からないんだ」
A子はがっかりしながら、軽くお辞儀をしてお店を出て行こうとした時、一緒にいた1人の男性が
「そう言えば、この近くのゲームセンターに、オカルトマニアの中学生の子が、良く遊んでるみたいだぜ、そいつならなんか知ってるんじゃないかな〜?たしかみんなにゲゲってあだ名で呼ばれてたはず。」
A子はその話を聞くと、またお辞儀をして、藁をも掴む思いでそのゲームセンターに向かいました。
ゲームセンターに着くと、A子は男性の言っていた中学生の男の子を探し始めました。
違う……違う……違う…
なかなかゲゲらしき少年は見つかりません。
A子は焦ります。
何としてもゲゲに会わなくては、明日自分はこのまま学校にいったら殺されてしまうかもしれないとの思いが強まり、必死なって探します。
すると、マイナーなレースゲームのコクピット状のイスに1人の少年が座って、必死にゲームをしていました。A子はゲーム中の少年にお構いなしに話かけました。
A子「あなたがゲゲ君ですか?」
少年「………」
A子「ちょっと聞いてんの!?」
少年「あぁぁぁっっ!!途中で話しかけんなよ!負けちまったじゃねぇか!」
A子「あっ、ご免なさい…もう一度聞くけど、あなたがゲゲって子?」
そうだよ!まったく!ボンボンの集まる有名学校のお嬢様が俺になんの用だよ!?
A子は間髪入れずにききました。
あなた幽霊とかに詳しいんでしょ?リリーさんって知ってる?
ゲゲ「知ってるよ、あいつは足がとにかく早いし、タチが悪いから間違っても呼んだりなんてしない事だな」
A子はゲゲの言葉を聞いて、絶望感に襲われましたが、続けて聞きました。
A子・もし仮に奴がでて来たらどうすればいいの?
ゲゲ・奴は学校の外には出られない…だから学校に行かなきゃ良いのさ!
確かにA子が学校以外で襲われた事はありませんでしたが、学校に行って友達と遊んだり好きな部活が出来ないなんてA子には無理な話でした。
A子・リリーを追い返す方法とかは無いの!?
ゲゲ・あるよ…鏡だよ。鏡を向けるのさ、だけどアイツはとにかく速い奴だからなぁ……
A子はそんな簡単な事だったのか!と思い、ゲゲに有り難う!と一言いうと走ってゲームセンターを出て行ってしまいました。
ゲゲ・なんだったんだアイツ…汗
それよりも鏡を見せてからやることがまだあんのによ!。
A子はそんな事を知らず自宅に帰ると、運動靴を取り出して祈りを込め、手鏡を準備して、その日の夜に学校へ向かいました。
学校はシーンと静まり返っています。
異様な空気が立ち込める中、A子はこっそり学校の中に忍び込みました。
学校に忍び込んだA子は、早速運動靴に履き替えました。そして上の階のトイレに行くことにしましたのです。薄暗い廊下は不気味に静まり返っていました。
トイレに着くとA子は恐怖に負けじと、「リリーが何だっていうのよ…あんな奴…怖くもなんともないんだから!」
そう呟いていると、急に空気が変わりました…。
………アイツが来る……。
直感でA子はリリーさんがくると感じました。
……………………………その時です。
……………………………………………………………タタッ…タタッ…タタタッ…タタタッ………………………………タンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンダンダンダンダン!!!!
トイレの外から物凄い勢いで走って来る足音をきき、A子は震えながらもバッグから小さな手鏡を取り出し、その鏡をトイレの出口に向けた瞬間、A子ゾッとしました。
リリーさんは既にトイレの入り口に来て鏡越しにこちらを覗いています
A子は鏡を向けたまま「お、お、前なんか!お前なんか!お前なんか!!」
ガシッ!…………
A子が鏡を向けた筈なのに、リリーさんは荒い息遣いで近づき、A子の肩を掴みました。
「キャアァァァァァァ!!!」
A子は何故!?と思いながらも必死でもがくと、一瞬A子の肩からリリーさんの手が外れました。その隙にトイレの出口に思い切って走り廊下にでると、A子は無我夢中で階段を駆け下ります。
すぐ後ろからも物凄い足音が聞こえて来ましたが、A子に振り返る余裕など有りません。全力で階段を降りると、すぐ近くのトイレに駆け込み、ドアを閉め鍵をかけました。と同時に「ドンドン!!ドンドンドン!!ドンドンドンドンドンドン!!!」と今にもドアを突き破って来そうな勢いで叩いてきます。
A子はトイレでかがみ込んで目を瞑り、必死で耐えます。
…………………………………………………………………。
気がつくと、辺りは静まり返っていました。A子は過ぎ去った恐怖にホッとしておもむろに顔を天井に向けると再び戦慄が走ります。
リリーさんがトイレの上からジーっとA子を睨み付けていました。
A子は声にならない声で叫び、再び目を瞑りうずくまります。
A子「もうやめてっ!」と叫びますが、ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!と激しいくドアを叩く音が響きました。A子はもう駄目だと諦めかけましたが、ドアを叩いて叫んでいるのは聞いたことのある声でした。
「俺だよ!俺!ゲゲだよ!開けてくれよ!」
A子は心の中で《ゲゲなの?本当かな〜?もしアイツだったらもう逃げられないよ!》と疑いながらも思い切ってドアを開けると、そこに立っていたのは背の低い夕方に会った少年、ゲゲでした。
胸をなで下ろすA子にゲゲは非常に焦った様子で言います。「全く!まさかと思って来てみたら廊下をすげー勢いで走ってるのを見たんだ!無事に撒いた様だけど、まだ終わってねーぞ!お前最後まで俺の話聞かないで行っちゃったろ!」
リリーを追い返すには鏡を向けてから、リリー去れ、リリー去れ、リリー去れ、って三回唱えないといけないんだよ!」
A子は《どうりで…》と心の中で奴が消えなかった理由が解った事と、同時に奇跡的といえるくらい今生きている事、何よりゲゲが来てくれた事に、この上ない安堵感に包まれたようだった。
しかし、それを察したゲゲは更に声を荒げた。「おい!だから、まだ終わってねーんだよ!!こんな所にいたらまた奴が来ちまう!それに奴に鏡を向けて三回唱えるのだって簡単じゃねーんだ!だから俺に作戦があるから聞け!時間が無いから一回しか言わねーぞ!」
A子はコクリと頷くとゲゲはA子に聞いた 「この学校にでかくて動かせる鏡はあるか!?なるべくデカい鏡だ!」
A子は必死に冷静さを取り戻しながら考えました…………………………。そうだ!確か体育館の倉庫に、演劇の人達が自分を見ながら練習するために使っていた大きくて動かせる鏡が何台かあるはずよ!
ゲゲは「よし!俺がその鏡を全部出してくるから、お前は奴が追いかけて来たら全力で体育館まで走って来い!そしたら鏡を奴に向けて囲うようにするんだ!」
A子が大きく頷くと、「こいつを持っとけ」と自分の首にぶら下げてた御守りをA子の首にかけました。そしてゲゲはトイレから出る間際「いいか、絶対つかまんじゃねーぞ!」と言い放ちながから走って体育館に行きました。
すぐにA子もトイレから出て、出来るだけ体育館に近い廊下に向かいます。一人になった途端再び恐怖感がA子を襲いました。
そして、なんとか体育館が窓から見えた位の所まで来た時でした。
………タタッ……タタタッ……
リリーさんの足音が再びA子の耳に響きます。
A子は足音が聞こえてくる方向にジッと目を向けていると、廊下の一番奥から影が見えました。それがこちらを向いた瞬間、髪をバサバサ揺らしながら再び物凄い勢いで追いかけて来ます。
A子は一瞬固まってしまいましたが、すぐに体育館の方向を向くと無我夢中で走り出しました。
しかし、どんどん近づいて来る足音に耐えきれず、A子は遂に後ろを振り返ってしまいました。が……いない?…………………と思った次の瞬間、A子の足元から、ヴォォォォォォォと唸りをあげながらリリーさんが顔を覗かせました。再び走る戦慄にA子は声にならない声でまた走りました。そして何とか体育館に着くと、ゲゲが設置したと思われる鏡が、布を被って体育館の隅に置いて有りました。
A子はそのうちの一つに思い切り走って、布で覆われた鏡の前に立つと、それを背に体育館の入り口を見ました。そこにはリリーさんが既に立っていて、A子睨んでいたと思うと一直線に走って来ました。そしてA子の目の前に立つと「ヴァァァァァァァァァ」と低い声をたててA子を掴もうとした時です。
バサッ!!!とA子は自分の後ろにあった鏡の布を下ろしました。次の瞬間、鏡に映ったリリーさんは「ヴォォォォォオオッ」と唸りその場でもがき始め、それと同時に他の鏡がリリーさんに向かってきます。ゲゲが必死に鏡を押していました。
A子も他の鏡に急いで向かうと一気にリリーさん目掛けて鏡を走らせます。
鏡がリリーさんを四方から囲んだ時、ゲゲが「今だ!!」と言うとA子は祈るように叫びました。
リリー去れ!リリー去れ!リリー去れ!!!
A子は心の中でも《お願いだからもう消えて》と必死に叫び、三回唱え終わると、リリーさんは唸りながら消えていきました。
終わった………。遂に戦慄から解放された二人は、その場で座り込むとA子が震えながら「あ、有り難う!あんたの御守りのおかげだよ」と感謝しました。するとゲゲは「それか?それは受験の御守りだ!」そう言うと、よろめきながら走って外に向かいました。A子も「てんめぇ!!」と言いつつも笑いながら体育館を後にしました。
しかし、リリーさんは追い返す事が出来ただけです。今回は足に自身のあるA子とオカルトに詳しいゲゲの二人だったからこそリリーさんを退ける事が出来たのです。
しかし、残念な事にどこかの学校で、またリリーさんを呼んでしまったと聞きました。その人がどうなったのかは分かりません。あなたは絶対にリリーさんを興味本位で呼ばないで下さいね。
今まで読んで下さり本当に有り難う御座います☆また至らない所ばかりでしたが、怖そうなのがあれば、また何か投稿しようと思いますので、宜しくお願いします!では!
怖い話投稿:ホラーテラー あたまさん
作者怖話