※ずいぶん前に投稿した「動物園(番外)」の続きです
内容忘れてしまった方、そもそも動物園シリーズを知らない方は
そちらのほうを参照してから読んでいただけると幸いです。
この部屋に囚われてから、2週間が過ぎた…。
当然ながら、私はいまだ条件を満たすような投稿が出来ていない
私は、そもそもの条件が厳し過ぎるのではないか?
と思い始めていた
私の投稿は普通にこのサイトを利用していたのでは見ることは出来ない
幾分注意力のある人が、暇をもてあまし
偶然その事実に気付いたときにだけ私の投稿を見ることが出来る
私は一昔前にはやったホラー映画「リング」を思い出した
今私の身を捉えているこのシステムは
映画の中の呪いのシステムとはまったく逆の発想から
作られたシステムである
映画の中の呪いのシステムは
ビデオを複製し、人に見せることで呪いが伝播し
呪いの影響を受ける対象者は鼠算式に増えていく
それに対して、このシステムは
対象者を徹底的に孤立させるべく作られている
私の方からは誰にも私の存在を知らせることは出来ない
いや、させないように設定されているというべきなのだろうか?
私は次第に、囚われていること自体より
孤立していることに焦り始めた
しかも、状況は悪くなる一方だった
最近このサイトは荒れ始めており
管理人によって削除される不適切な投稿が増えてきている
つまり、穴あき自体が珍しくなくり始めており
それだけ、私の投稿に気付く可能性が少なってきているのだ
そんなある日、ついに変化が訪れた
私の投稿にコメントがあったのだ!!
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傍観者:
素晴らしい、非常に良い作品だと思います
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短いコメントであったが私はあまりの嬉しさに気が狂うのではないかと思った
しかし、ここで焦ってはいけない
果たして、コメントに対して返事をするような投稿者の作品を
コピペするような人は居るのであろうか?
あくまで、投稿者は投稿に対して一定の距離を置いている
と思わせたほうが、人はコピペをしやすいのではないだろうか?
私はあえてそのコメントには何も返事をしなかった
結局その投稿はコピペされる事はなかったが
それ以降、そのコメンターは注意してサイトを見るようになったのか
私の投稿があるたびにコメントしてくれるようになった
私は、コメントを返したい誘惑に駆られながらも
ひたすらに我慢をし、待ち続けた
そのコメンターが罠にかかるのを…
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傍観者:
今回のも素晴らしい、次回作にも期待しています
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傍観者:
あなたの作風はかなり好きです
次のも期待して待っています
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傍観者:
いや、本当に素晴らしい
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そのコメンターは毎回、私の投稿に対して賛辞のコメントをくれた
私はすでにこのコメンターについては諦め始めていた
おそらくこのまま続けても
この人はコピペをするような人ではないのであろう
私は意を決し、ダメ元で以下のような返事を書いた
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投稿者本人:
毎回読んでいただきありがとうございます
折り入ってあなたにお願いがあります
ネットワークの状態がいけないのか?
私の端末の設定がおかしいのか?
どういう状況でそうなっているのかはわかりませんが
私のPCからはなぜか、新着の投稿として通常に登録されません
そこで、私の投稿内容をコピペしてあなたのPCから
投稿してもらうことはできないでしょうか?
私は、自分の書いた投稿をもっと他の人にも読んでもらいたいのです
どうかよろしくお願いします
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多少、無理があるだろうか?と疑問を感じたが
とにかく、これ以外の書き方を思いつかなかったので仕方ないと思った
そして、暫くして
相手から『あの返事』があったのだ
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傍観者:
はははは、
それはできませんよ
それはそうと私の方でもちょっと気づいたことがあります
それは、『なぜ私はあなたの作品が好きなのか?』
という事です
しかし、よくよく考えてみたら
それはある程度必然性のあることなのかもしれませんね
つまり、私と貴方とは非常に似ているのだと思うのです
それはただ単に好きになる作風が似ているというセンスの問題だけでなく
いや、もちろんそれもあるのでしょうが
さらに、行動原理、考え方といったもっと根の深いところで
私たちはきっと似ているのですよ
だから、貴方が書いたものは、私もきっと良いと思うのでしょう
人に良いと思わせようとするもの作るには
まず自分が良いと思うものを作るのが大前提です
貴方は自分で良いと思ったものを書く
そして、貴方に似ている私もそれを良いと思う
実に必然性のある現象なんだと最近気づきました
今、貴方はきっと孤独感に悩まれていますよね?
解りますよ、私もそうでしたから
これだけ言えば、なぜ貴方と私が似ているか解りますよね?
さて、貴方の投稿にコメントするのも
このサイトに関わるのもこれで最後にしようと思います
何か余計なことをして
また、今あなたのいる境遇に戻ってしまうのは願い下げですのでね
では、頑張ってくださいね
その部屋の前の住人より
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怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話